見逃せない!OPAMに雪舟・利休・等伯・探幽・若冲・応挙が一堂に

京都の名刹・相国寺は、1382(永徳2)年に夢窓疎石を開山として、室町幕府3代将軍の足利義満が創建した寺院です。金閣(鹿苑寺)、銀閣(慈照寺)、大光明寺は、相国寺の塔頭寺院として知られています。大本山相国寺をはじめとしたこれらの寺院は、日本文化を代表する貴重な文化財を数多く守り伝えてきました。

大分県立美術館の本展覧会では、禅画や墨蹟、唐物や茶道具などの美術工芸品の他、雪舟、千利休、長谷川等伯、狩野探幽、伊藤若冲、円山応挙、本阿弥光悦、野々村仁清、尾形乾山ら、室町から江戸期の巨匠や、さらには大分県日田市出身の日本画家・岩澤重夫の金閣寺客殿障壁画まで、選りすぐりの寺宝をご紹介します。日本文化が誇る「美」の世界を存分にご堪能ください。

目次

大本山 相国寺に守り伝えられてきた名宝!

京都の名刹・相国寺は、1382(永徳 2)年に夢窓疎石を開山として、室町幕府三代将軍の足利義満が創建した寺院です。幕府・朝廷が定めた「京都五山」という格式ある禅寺の一つで、中世より日本の文化をリードしてきた存在といえます。

本展では、世界文化遺産にも登録されている金閣(鹿苑寺)や銀閣(慈照寺)、大光明寺といった、相国寺の塔頭(小寺院、別坊、脇寺等のこと)を含め、各寺院が所蔵する名宝 73点を展示しています。禅画や墨蹟、唐物や茶道具の他、雪舟、千利休、⾧谷川等伯、狩野探幽、伊藤若冲、円山応挙、本阿弥光悦、野々村仁清、尾形乾山ら、室町から江戸期の巨匠や、さらには日田市出身の日本画家・岩澤重夫の金閣寺客殿障壁画まで、日本文化が誇る「美」の世界を存分にご堪能いただけるまたとない機会です。

伊藤若冲 《中鶏・左右梅図》 天明 9(1789)年 三幅対 鹿苑寺蔵
 

墨の魔術師・伊藤若冲の墨技に注目

相国寺の第 113 世住職・大典顕常(1719~1801)は、伊藤若冲(1716~1800)の支援者であり、親友でもあったことから、 相国寺には若冲の作品が数多く伝えられています。 特に本展では、水墨画の名品を数多く展示します。若冲といえ ば、相国寺に寄進した着色画の代表作《動植綵絵》(国宝、宮内 庁三の丸尚蔵館)が知られていますが、実は墨絵の名手でもあり ました。

筆の勢いを伝える大胆で力強い墨線は、まずは眼に飛び込ん でくる若冲の水墨画の特徴です。細部に注目してみると、筋目描きと呼ばれる隣接した墨面が混ざり合わずに境界に白っぽい線 ができる効果を用いた緻密な描法が見て取れます。 大胆さを見せながらも、繊細に墨を制御することができる高 い水墨画の技術をもっていました。本展では若冲の作品だけで も約 20 点を公開いたします。ぜひ奇才あふれる若冲の絵画作品 をお楽しみください。

伊藤若冲 《群鶏蔬菜図押絵貼屏風》(左隻部分)江戸時代 相国寺蔵

画壇を牽引した狩野三兄弟の合作!

狩野探幽(1602~1674)は江戸時代初期の狩野派の絵師で、狩野派が江戸時代を通じて最大画派となったきっかけを作った重要な人物です。徳川家康の御用絵師となったこと、桃山時代の狩野派の華やかで大胆な画風から一転、余白を取り、軽妙で瀟洒な画風への移行が、戦乱の時代が終わりつつある中で支持されたことなどが、探幽が狩野派の中で重要な転換点となった理由です。

本展でご紹介するのはその探幽が二人の弟である尚信、安信と合作した《中観音図・猿猴図》という作品です。探幽が中心の観音像を、尚信が向かって右側の猿を、安信が向かって左側の猿を描いています。観音は白い衣をまとい、水辺の岩の上に座っています。光背が周辺を照らすように白く描き残され、周辺の竹林が光によっておぼろげに見えるのが分かります。柔らかい描線で、人々を救う存在である観音を穏やかに描きあげています。右側の猿は木にぶら下がって、恐らく池に映った月を取ろうとしているのでしょう。とても少ない筆数と墨の濃淡の使い分けで木やつる、猿の毛並みの様子などをうまく表しています。しがみつく子猿もかわいらしいですね。左側の猿はこちらも月を見上げ、指を指すような仕草を取ります。こちらの猿は右側の猿に比べて量感を感じさせます。岩や木の描写なども線の太さ、力強さが特徴といえます。しかし、三幅対全体を通して見ると余白を取り、軽やかな探幽らしさの表れた画面構成の優品といえます。ぜひ展示室で引き算の美といえる構成の妙、そして三者三様の描線の豊かさを実際にご覧ください。

狩野探幽、狩野尚信、狩野安信≪中観音図・猿猴図≫ 正保2(1645)年 相国寺蔵

金閣時客殿障壁画を公開! 岩澤重夫の集大成にして絶筆

戦後の京都画壇で活躍した大分県日田市出身の日本画家・岩澤重夫(1927-2009)が、最晩年に手がけた金閣寺客殿障壁画を公開します。

 制作を前にして岩澤は「今まで誰も描いた事の無いものを制作する」「三つの部屋を全く別世界にする」「堂本印象という師匠に学んだ証として再び抽象画に挑戦する」と意気込みを語っていました。構想に三年をかけて、北の間には「写実の梅」、中の間には「抽象の桜」、南の間には「プラチナと薄墨の山水」という主題のもと障壁画が制作されました。岩澤はこの障壁画が完成した二ヶ月後に肺炎により逝去しました。雄大で写実的な風景画を得意とした岩澤重夫の集大成でもありながら、得意な主題に安住することなく、あえて抽象画の世界にも挑んだ意欲作にして絶筆。各部屋の趣向を違えながら神々しい世界が表現されています。ぜひご注目ください。

岩澤重夫《金閣寺客殿・北の間南面襖絵(紅白梅の図)》平成21(2009)年 鹿苑寺蔵
岩澤重夫《金閣寺客殿 中の間北面襖絵(紅白梅の図)》平成21(2009)年 鹿苑寺蔵

OPAMからのお年玉 「大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝」年始キャンペーン

大分県立美術館は年末年始も休まず通常通り開館。年末年始の期間に「大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝」展に関して、よりたくさんの皆様にご観覧いただけるよう以下のキャンペーンを実施しています。

1.「大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝」展 冬休み期間中は高校生無料!

期間:12月24日(土)~2023年1月9日(月・祝)

上記の期間中、高校生は「大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝」展を無料でご観覧頂けます。

(通常 高校生当日券800円→無料)

※中学生以下は通常無料

2 成人の日は18歳~20歳の方が無料!

期間:2023年1月9日(月・祝)

内容:上記の期間中、満18歳~20歳の方は無料でご観覧頂けます。

展覧会概要

展覧会名  大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝    

特設サイト https://www.o-bje.net/lp/shokokuji/

会 期  2022 年 11 月 26 日(土)~2023 年 1 月 22 日(日) ※12 月 26 日(月)は展示替えのため休展

時 間  10:00~19:00  ※金曜日・土曜日は 20:00 まで(入場は閉館の 30 分前まで)

会 場  大分県立美術館 3 階 展示室 B・コレクション展示室

観 覧 料  一般 1200(1000)円、大学・高校生 800(600)円

※( )内は前売および有料入場 20 名以上の団体料金 ※中学生以下は無料

※大分県芸術文化友の会びび KOTOBUKI 無料(同伴者 1 名半額)、TAKASAGO 無料、UME 団体料金

※障がい者手帳等をご提示の方とその付添者 1 名は無料※学生の方は入場の際、学生証をご提示ください。

主 催  公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館、日本経済新聞社

共 催  大分合同新聞社、OBS 大分放送

後 援  大分県、大分県教育委員会、NPO 法人大分県芸振、西日本新聞社、エフエム大分、J:COM 大分ケーブルテレコム、大分経済新聞

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡在住。日本旅行作家協会会員・旅行ライター・ ㈱Amazing Public Relations代表取締役。複数の企業での広報や宣伝PRを経験し、現在は観光PRや企業や自治体の広報アドバイスやPR企画、広報コンサルティングを手掛けている。

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