もの忘れや頭がぼんやりする感覚など、原因が分からない身体の違和感。そんな時には脳を疑うことも大切かもしれません。脳と神経の障害について、あだち脳神経外科クリニックの安達直人先生にうかがいました。
【脳神経外科専門医】あだち脳神経外科クリニック 安達直人先生
広島県出身。山口大学医学部・大学院卒業。スイス・チューリッヒ大学病院客員医師、厚生労働省保険局特別医療指導監査官など、脳のスペシャリストとして培った経験を活かし、2015 年「あだち脳神経外科クリニック」を開業。
新型コロナウイルス、脳への影響についても研究が進む。
もの忘れや、頭がぼんやりする感覚。新型コロナウイルスが脳へも影響?
世界中を震撼させ、私たちの生活に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症(以下「COVID‐19」)。感染すると重症化しやすいと言われている、基礎疾患を持つ高齢の方々は、日々を慎重に過ごされていると思います。 ところで、COVID‐19に罹った場合、呼吸器、特に肺が悪くなるだけと考えていませんか。COVID‐19で肺の機能が低下するのは事実ですが、実は脳にも影響があるのではないかと言われています。感染後、頭がぼんやりする、もの忘れがひどくなったなど、脳梗塞に似た症状がアメリカの論文サイトで発表され、注目を集めています。 例えば、ヘルペスウイルスが脳に感染する「ヘルペス脳炎」は、言語や記憶をつかさどる側頭葉や、生命維持に関わる大脳辺縁系が冒され、記憶障害やけいれん、嗅覚・味覚障害、その他さまざまな障害が発生します。 COVID‐19の症状の1つに、「味覚がなくなる」「鼻が効かなくなる」などがあることは、これまでにも各種メディアで報じられてきました。コロナウイルスは主に、鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭にかけての上気道粘膜に感染します。 匂いは、「鼻から入った刺激が神経を介して脳に伝えられて感じる」もの。つまり、鼻が効かないという症状は、上気道ではなく、脳に何らかの問題が起こっている可能性も考えられるのです。 このように新型コロナウイルスは、呼吸器官だけでなく脳にも大きなダメージを与えているのではないかと推測され、現在、世界中で研究が進められています。 もちろん、COVID‐19に罹ることなく健やかに過ごせることが一番ですが、もしご自身や家族が罹患してしまい、治癒した後も頭がぼうっとするなどの違和感があれば、ぜひ脳神経外科を受診されることをおすすめします。
高機能MRI装置で自分の脳内をリアルに可視化。万全のフォロー体制の脳ドック。
原因が分らない違和感は脳を疑ってみることが大切
新型コロナの影響で、医療機関での受診をためらっている方も多いと思いますが、緊急を要する症状でなければ、「原因が分からない違和感は、まず脳神経外科で」と、脳を疑うことが大切。 そこでおすすめしたいのが、「脳ドック」です。特に受診を検討してほしいのは、「脳卒中の可能性がある方」。例えば頭痛やめまいなどが頻繁に起こる方、更年期に該当する方、生活習慣病の方、肉親や直系の親族が脳血管障害に罹ったことがある方などです。 当クリニックは、糸島市唯一の日本脳ドック学会認定施設であり、解像度が高く正確に脳内を診察することが可能な「1.5T(テスラ)デジタルMRI装置」での検査を行っています。 モニターに映し出されるリアルな脳や神経、血管の3D映像に、多くの患者が驚かれます。この高性能なMRI装置を活かした短時間+高解像度の検査なら、じっとしていられない幼児や、認知症で動きをコントロールしにくいお年寄りでも撮影最短3分ほどで済み、さらに4D画像になり、大幅に向上した解像度でより細かな診察ができます。
脳ドック認定施設とは、高機能な設備を備えていることはもちろん、何よりも「丁寧な診断とフォロー」ができる施設でなければいけません。別の病院を受診して報告書をもって来院される患者さんの中には、「この人の脳はこうだった」という事実だけをポンと手渡され、どういう治療を行えば良いか書かれていないこともあります。 みなさん、「何だか怖いから来た」と言われるだけで、果たしてそれが本当に脳ドックなのでしょうか。しっかり検査した後、患者にわかりやすく説明し、例えば「動脈瘤がここにあるから今後こういう治療をしましょう」という説明までするのが、真の脳ドックだと考えます。 治療せずに悪化させるより、まず受診。必要以上に新型コロナウイルスに怯えず、それぞれが健康維持に努めましょう。