18歳の頃、バイト先のカフェで知り合った2歳年上のYさんを好きになってしまった私。バレンタインデーに告白することを決意し、気合いを入れて初めての手作りチョコに挑戦したのですが… 今でも忘れられないトラウマ級の展開となってしまいました。
初めてのバレンタイン告白計画
バイト先のカフェでは、私はホール、Yさんはキッチンを担当していました。お客さんが少ない時間帯は、キッチンカウンターを挟んでよく一緒にお喋りをしていたのですが、大学のサークルや車のことなど、年上だけあって私の知らないことを沢山話してくれるので楽しかったです。
また、キッチンで片手でフライパンを振るYさんはとてもカッコよく、料理なんて学校の家庭科の時間にしかやったことのない不器用な私にはとても魅力的に映りました。すっかりYさんを好きになっていた私は、バレンタインデーに手作りチョコと共に告白することを決意。
同じくホールで働く先輩に色々と相談に乗ってもらいました。先輩は可憐な見た目はもとより普段から手作りクッキーを差し入れするなど、皆から「お嬢」というニックネームで呼ばれるほど女子力が高かったのです。そんな「お嬢」はバレンタインデー当日の可愛いメイクやファッションについて私にアドバイスをしてくれました。
初めてのチョコレート作り
チョコレートを作るのは初めてでしたが、食べることは大好きな私。（こんな美味しいチョコ、初めて食べた！ って言ってもらえるようなチョコを作ろう）そう思いながら、湯煎で溶かしたチョコに私の好きなコーンフレーク、マーブルチョコ、ピーナッツ、レーズンなどを投入しました。
最近釣りを始めたYさんのためにチョコを魚の形に整えてアルミホイルに包み、リボンを掛け、自分でも満足のいくものができました。バレンタインデー当日は「お嬢」の配慮で、お昼のまかないの時間をYさんと同じにしてもらうことに成功。
「Yさんが大好きなので、チョコを作ってきました！」告白の緊張とチョコの反応へのワクワクで興奮気味な私。
「え、まじ？ ありがとう」Yさんは少し驚いた顔をしていました。
Yさんがリボンをほどき、アルミホイルを開くと中からサツマイモサイズの立派な魚チョコが姿を現します。
「え、ちょっと待って、何コレ？」Yさんの反応は私が期待したものではなく、何ならちょっと笑いを堪えているようにも見えました。
「何コレ、つらら？ 土器？！」
「え… 違うよ魚だよ」
「ああ、魚のホイル焼きか！」反応はショックでしたが
「見た目は悪いけど味は美味しいから」と食べるように促すと、Yさんは少しかじって
「歯が折れそう」と言い、笑い出したのです。そして…
「女の子はね、ふつうこんなのをくれるんだよ」と言い、ゴソゴソとポケットの中から可愛くラッピングされたチョコを取り出して私に見せました。それはカラフルな可愛いカップに入った小さなチョコの上にスプリンクルチョコレートがトッピングされたもので、それが4つ、可愛い袋とリボンで包装されていました。
「これ、どうしたの？」
「お嬢からの義理チョコ」お嬢が作った義理チョコと並べて置かれた私の本命チョコは、悲惨なほど女子力の差を物語っていました。
トラウマになった酷評チョコ
結局、
「おまえは可愛い妹みたいな存在だからごめんな！」と気持ちよく振られた私。元々勝算があったわけではないので、気持ちを伝えられただけ満足だったのですが、お嬢が作ったチョコと比較されて笑われたことがショックでした。
更にショックなことに、「ちゃんと食べるから」と、チョコは受け取ってもらえたものの、食べきれないと思ったのか他のバイト仲間とシェアされていたのです。
「おまえがYさんに作ったチョコレート、俺、さいしょウ○コかと思ったわ」
「味は美味しかったよ、ドンマイ」
そんなことを他のバイト仲間たちから言われ、私の告白はギャグとなり、衝撃的な手作りチョコについてことあるごとにイジられるようになりました。
初めてのバレンタイン告白でウ○コみたいなチョコを作ってしまった私は、すっかりトラウマになり、以降はずっと既製品です。餃子を皮から作れるほど女子力が上がった証拠に、今年は旦那にチョコを作ってみようかな…
（ファンファン福岡公式ライター／あそうママ）
