披露宴、結婚式の準備ってワクワクしますよね。夫と二人で協力し、招待した皆さんに喜んでほしいという思いや、一生に一度の晴れ舞台でステキな衣装を着たいという理想があるかと思います。しかし、そんな私の思いとは裏腹に義父母が私たち夫婦の思いより、自分たちのメンツを優先させようとしたエピソードをお話ししたいと思います。
義父は付き合いを大事にする人
義父は元公務員で、顔が広く、地域住民との付き合いをとても大事にしている人です。しかも田舎に住んでいるため、
「あの家の息子さんが結婚したみたいなんだけど、結婚相手は看護師さんらしいよ」などという個人情報は噂話としてすぐに広まるような地域です。
そんな義父の親友は、実家の隣で美容室を現役で営んでいました。婚礼衣装も貸し出しているので、結婚式を挙げると決まると
「隣で美容室をしている親友が、結婚式の衣装も貸し出している。前からお世話になっとるけん、その美容室で衣装ば借りてほしいと思っとる」と義父がかしこまって言ってきました。毎日化粧を欠かさず、おしゃれに敏感な義母からも
「何件も婚礼の経験があり、着付けも上手よ~!」と太鼓判を押していたので試着の日程を合わせてもらいました。私はどんな衣装があるんだろうとその日がくるまでソワソワしていました。
楽しみだった衣装合わせが…
衣装合わせ当日、夫は仕事のため1人で美容室へ行きました。小さな田舎町の美容室でこじんまりとはしていましたが、満席状態だったので「やはり評判は良いんだな」と思い期待は高まります。
衣装合わせは奥さんとお嫁さんが対応してくれました。奥さんが
「好きな衣装を選んで。どれでも試着していいからね」と言われドキドキしながら衣装を見ると「超昭和」なドレスたち。
派手な原色で、ドレスの形はワンパターンで必要以上の装飾。いわゆる雑誌やコマーシャルで見るような私の思い描いていたスタイリッシュなドレスではありませんでした。
一気に表情が固まりましたが、そのまま帰る訳にはいかず試着してみることに。もしかして着てみたらいい感じになるのかも… と淡い期待を抱きますが、鏡で見ると想像通り。というより想像以上に昭和…。私は1着でも着れるドレスはないかと次から次へと衣装を試着しました。しかし理想の衣装はゼロでした。
奥さんは
「似合うね~! 今の人は背が高いから、なんでも似合う」と試着するたびに褒めてくれましたが私は苦笑いしかできませんでした。
「これが一番似合ってたんじゃない?」とドレスを進めてくる奥さん。お嫁さんもしきりに隣で頷いています。
初対面の奥さんとお嫁さん、そして義父母の紹介もあって「嫌」とはっきりと言えず首をかしげるだけで精一杯でした。すると奥さんが
「安くしとくよ~」と一言。私は値段じゃない…。と思いながらも、何と言っていいのか分からず
「夫と相談します」とその場を乗り切りました。
衣装を見た夫が激怒
義実家で夫の仕事が終わるのを待ち、
「衣装合わせどうやった?」と夫が帰ってきたので美容室で撮った写真を見せました。衣装には興味のなかった夫も
「これはひどい」と一気に表情が真っ暗に。やはり、私の感覚は間違っていなかったんだと
「そうよね!? ひどいよね!」と共感を得るように言いました。
夫はすぐさま義父母に
「あんな衣装で結婚式に出られるわけなかやん!」と言い放つと、いつもはニコニコしている義母が
「あんたに何が分かるとね!」と揉めてしまいました。しばらく夫と義父母は話し合いが出来ないぐらい雰囲気が悪くなってしまいましたが、諦めず何度も話をして夫だけその美容室で衣装を借りるということで義父母もなんとか納得してくれました。
ちなみに、夫の衣装はその美容室を通してカタログで注文して取り寄せてもらうという形をとったのでなんとか今でも通用するスタイリッシュな衣装を選ぶことが出来ました。
この一件で、結婚するって二人だけの問題ではなく、様々な人が関わりややこしく面倒くさいものだなと改めて感じました。
夫の実家へ行くと隣がその美容室なので、あの昭和なドレスを思い出し「流行りは繰り返す」といえど、時代遅れすぎて無理だなと改めて思うのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/S.happylife)