夫婦関係について描かれた映画は古今東西、数多あります。その中には夫婦の絆について描かれたハートウォーミングなものから、夫婦のすれ違いや別れをとりあげたビターなものまで、様々な切り口の作品が。 今回は、夫婦がすれ違い、傷つけあい、別離する・・・といった「夫婦崩壊映画」のオススメ映画を3つ(+α)ご紹介します。このジャンルは、あまりに恐ろしく、また息苦しいという意味においてもはやホラー映画。 しんどい描写を見ることで自分を改め、結果1周回って世の中のご夫婦の円満に繋がればいいなと祈念いたします!
1周回って夫婦円満!【夫婦崩壊映画】のススメ
既婚者のみなさん!夫婦関係うまくいってますかー!!! 私はうまくいってますよー!!!(目を伏せながら)
夫婦関係について描かれた映画は古今東西、数多あります。その中には夫婦の絆について描かれたハートウォーミングなものから、夫婦のすれ違いや別れをとりあげたビターなものまで、様々な切り口の作品が。 暖かい映画を見て、あぁ夫婦っていいもんだなぁ、と感じることがある一方で、よりリアルに受け止めてしまうのは「夫婦崩壊ジャンル」とでもいいますか「夫婦がすれ違い壊れゆく様」だったり「倦怠」「離婚」を描いたものだったりします。
腕のある監督やキャストであればあるほど、リアリティが半端なく、夫婦関係が非常にうまくいっている私ですら(思い切り目を伏せながら)、戦慄してしまいます。ホラー映画好きですが、100倍怖い。冷汗が止まらない。 そして見終わった後、思うのです。
「ちゃんとしよう」
というわけで、世の中のご夫婦の円満に結果繋がればいいなと思いながら、今回は私がオススメする夫婦の倦怠、不仲、別れ~などを描いた映画を3つ(+α)ご紹介いたします。
マリッジ・ストーリー(2019)
「マリッジストーリー=結婚物語」ですが、描かれているのは「離婚までの道のり」です。この映画のしんどいところは、この夫婦はすれ違って、絆にヒビは入り、離婚という選択はするんだけど、互いに対する「愛情と尊敬」は残り続けてるところ。
最初は、お互いが納得したうえで協議離婚というかたちをさぐるのだけど、それが各々が意図せぬ形で「離婚裁判」に発展し、やり手弁護士によってある種のドライブ感を持ちながらどんどんこじれていく・・・超痛いです。それでも相手への思いやりは残り続けてるのが、痛覚刺激されまくりです。
「対決」シーンで繰り広げられる感情のぶつけあいは、スーパーヘビー級のボクサーのパンチのごとく重たく、自分だったらワンパンでダウンしていたと思います。 全編通じて、スカヨハもアダムドライバーもめちゃくちゃ魅力的で、二人とも子どもを深く愛する良き父と母でもあり、ようは誰も悪くないと思うんですよ。夫婦としてなんとか幸せになってほしい気持ちが沸々と沸きあがり・・・「なんかもう・・・別れんなよ!!!頼むから!!!」と、赤の他人なのに泣きながら説得したくなりました。
ブルーバレンタイン(2010)
こちらの映画のホラーポイントは、出会って恋に落ち結婚するまでのキラキラした2人と、結婚して子供が生まれ、幸せだったはずが決定的なまでにすれ違っていく2人、それぞれのプロセスが交互に描かれ続ける点です。
キラキラ → どんより → キラキラ → どんより・・・【輝いていた過去】と【色褪せた現在】を交互に見せられることで、感情をぐらんぐらんと揺さぶられます。【恋のはじまり】から【その結末】に向かって、相当のエネルギーを消費、最後には号泣してぐったりです。
またシュッとしたイケメンが、時の経過とともに、良い感じに腹が出て、髪も薄くて、朝からビールを飲んでいる中年になっていく・・・それを非常にリアルにライアン・ゴスリングが演じています。 ライアン・ゴスリングに自分を重ねるなど本来おこがましいのは承知の上で、腹が出て髪が薄くて朝からビールを飲むけど子どもと遊ぶことが大好きなタイプの中年としては共感せざるを得ない、そんな素晴らしい演技でした。
ちなみに上映当時、この映画を見て非常に感銘を受け、飲みの席で離婚して間もない当時の先輩を捕まえ「見てくださいよ!」と勧めたところ、律儀に見てくれたようで後日「お前、なんなん。なんで俺にこれ勧めたん」と本気で詰められました。目がいっちゃってました。その節はすみませんでした。
永い言い訳(2016)
こちらの映画のホラーポイントは「妻が不慮の事故で亡くなった後も、全く泣けない自分」がいること。それでも「悲劇の夫」を演じること。そして死後、妻の携帯に残されていた「もう愛してない。ひとかけらも。」というメッセージ。
言い争うこともできない孤独の中で、自分たちって、夫婦って、なんだったのだろう・・・と突きつけられ、立ちすくむ感じがなんとも・・・絶望的でした。 その後、同じ事故で妻を亡くし憔悴しまくっている竹原ピストル演じる大宮と、その子どもたちとの交流を通し、徐々に人として「再生していく」。失ってから妻の面影を追い、愛しはじめるストーリーは、落涙ものでした。
番外編:ドラマ カルテット 第6話
最後に、こちらは映画ではなくドラマになりますが、脚本家・坂元裕二による人気作「カルテット」。松田龍平、松たか子、高橋一生、満島ひかりという実力派俳優と「This is 坂元裕二!」とも言える素晴らししい脚本の化学反応が生んだ名作ドラマです。その中でも一部で「神回」とも呼ばれるのが、松たか子と宮藤官九郎が演じる一組の夫婦の出会いと崩壊を描いた6話です。
この回のホラーポイントは、出会い惹かれあい恋愛関係になって結婚する~という「甘い期間」には気づかなったけれども結婚後「そもそも根本を共有できていなかった」ことを知ってしまう、絶望的なまでの悲しさです。 坂元裕二は「花束みたいな恋をした」において、互いが好む趣味やカルチャーの運命的な一致から恋愛関係になり、その後生活や価値観のすれ違いと共に、趣味やカルチャーにおける二人の距離も遠ざかっていく・・・・という描写を描いてます。
「恋愛や結婚に、趣味やカルチャーの共有は必要か?」という点は意見がわかれると思いますが「あまりにも共有できてない」ことは、時に悲劇を生むこともあるでしょう。
6話の中で「自分にとって大切なものが、相手にないがしろにされる」ことを描いたある名シーン(通称「鍋敷き問題」)のクドカンの表情は、もうホラー映画で殺される寸前の人の顔でした。もう、秀逸。けどこの話も、どっちが悪いとかではないという点が苦しいところです。そして理解はしあえなかったけど、愛情がないわけでもない。 ちなみに私もかつて、妻に「おもしろいから読んでみて」と好きな小説を渡したところ、数日後コースターのごとく本の上にコーヒーカップを置かれていて、クドカンと同じ表情になりました。
【まとめ】家内安全!夫婦崩壊映画を見て夫婦円満な家庭を!
一気に見てしまうと、感情のアップダウンの結果、体力を消耗しすぎると思うので、計画的なご視聴をおすすめます。 それでは皆さん、ぜひ「夫婦崩壊映画」をご覧いただき(いずれもご夫婦ではなく一人で見たほうが良いのではないかと個人的には思います)、崩壊する夫婦から学び、幸せな夫婦生活を築いていきましょう!