明治生まれの祖母のちょっと怖くて不思議な思い出をまとめた連載「祖母が語った不思議な話」、多くの方からいただいた「続きが読みたい」の声にお応えした第2シリーズ。今回はチョコ太郎が経験した不思議な話です。
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小学三年生の二月、母と二人でB町の親戚を訪ねた。
母も久しぶりに姪のYさんに会えて、話に花が咲いた。
横で聞いていたが話は終わりそうもない。
少々退屈し始めた頃、Yさんの三歳になる息子Kくんが顔を出したのでこれ幸いと遊んであげることにした。
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Kくんの希望でかくれんぼを始めた。
「相手は三歳…手加減するか」と思っていたが、どうしてどうして。自分の家を知りつくしているKくんを見つけるのはなかなかの手強さだった。
十分くらいかけてやっと箪笥(たんす)の裏に隠れているのを見つけると、今度は隠れる番。
あちこち見て回ったが、荷物が積み上げてある狭い部屋の奥に子供用の二段ベッドがあるのを見つけた。
「難し過ぎず簡単過ぎず…ここがいいな」
さっそく下の段に横になると、タオルケットを被りじっとしていた。
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トントントンと、廊下を走る音がする。「Kくんだ。こっちに気が付くかな?」と息を殺していたが、戸を開けることなく通り過ぎていった。
ギシ…
タオルケットから出た瞬間、上の段がきしんだ。
誰かが寝返りを打っている?
おそるおそる梯子(はしご)を登ってみたが誰もいない!
ぞっとして飛び降りると後も見ずに祖母たちのいる部屋に駆け込んだ。
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「そんなに慌ててどうしたの?」驚き顔で聞く母に
「二段ベッドで寝てたら、誰もいないはずの上の段に誰かいた!」と答えた。
母とYさんは顔を見合わせて、夢を見たんだろうと笑った。
納得はいかなかったが、言い張るのもなんだか良くない気がしてその話は終わりにした。
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さて帰ろうと靴を履いていたらKくんがニコニコしながらやって来た。
「またあそんでね」
「かくれんぼ楽しかったね。でもなぜ二段ベッドの部屋を開けなかったの?」
そう尋ねるとKくんは急に真面目な顔になりこう言った。
「だってあのへや……さっちゃんがでるもん」
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チョコ太郎より
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