プロから一般向けへ!視点を変えることで生まれたアウトドアブランド

久留米市にある伊藤産業株式会社は、業務用鋳(い)物コンロを製造するメーカー。自社で開発した製品をはじめ、各メーカーのガス・電気厨房器具を販売しています。そんな同社が、新たに立ち上げたのが、アウトドアブランド「brigh+(ブライタス)」です。1946年創業のガス器具メーカーが、なぜ今、一般ユーザーに向けてアウトドアブランドを立ち上げたのでしょうか。今回は、ライターの戸田 千文さんが、そのきっかけや、クラウドファンディングでの取り組みについてお話を聞いてきました。

出典:フクリパ
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業務用厨房機器販売メーカーから生まれたアウトドアブランド「brigh+」

「brigh+(ブライタス)」は、伊藤産業株式会社が運営する“人生を、生活を豊かにするモノを”をコンセプトに掲げたECショッピングサイト「MONObASE(モノベース)」から誕生したアウトドアブランドです。

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これまでに、防災用の炊飯袋をヒントに誕生した「Cooking Bag(クッキングバッグ)」、自然に優しいアルカリイオン電解水「ion water(イオンウォーター)」の2つの商品を開発。いずれもクラウドファンディングで資金を調達しました。 新型コロナウイルス感染症の影響で、アウトドアレジャーに注目が集まる昨今、男性ソロキャンパーや新しいもの好きのキャンプ女子など、幅広い世代に注目されている新ブランドです。

飲食店向けのプロ用商品を一般ユーザーへ届ける「MONO b ASE」

プロに向けた厨房機器を製造・販売している伊藤産業株式会社。もともとの顧客は飲食店です。一方、「brigh+」を扱う同社運営のECサイト「MONObASE」は、一般ユーザーに向けて厨房機器を販売しています。 プロから一般ユーザーへ、販路を広げた理由や、アウトドアブランド「brigh+」開発のきっかけについて、企画開発を担当する同社の伊藤彰二さんにうかがいました。 伊藤さん 「ECサイト「MONObASE」を立ち上げたのは約2年前。販路拡大のため、これまでは、業者向けに販売していた商品をネットショップで販売し、一般ユーザーにも利用してもらおうと考えたことがきっかけでした。 ターゲットは、こだわりが強く、食材だけでなくキッチンツールも機能性が高い本格的なものをそろえる傾向が強い“料理好きの男性”。「MONObASE」では、そんな料理男子に向けて高機能の厨房機器を提案しています。とはいえ、プロ向けの商品をそのまま掲載するだけではありません。プロが使うものの中から、さらにデザイン性が高いものや一般家庭のキッチンでも使いやすいものを選定しています。 「MONObASE」から生まれたアウトドアブランド「brigh+」でも、男性がキャンプに出掛けて使えるようなキッチンツールを主に開発しています。 近年、グランピングやソロキャンプという言葉が広がり、キャンプに興味を持つ人が増加しています。でも、キャンプで本格的に料理をとなると、調理器具をたくさん持っていく必要があったり、洗い物が大変だったり、いろんな悩みを抱える人が多くいるんです。そんなお悩みを解消できるツールを作りたいと考え、自社で商品開発に取り組みました。」

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手元に置いておきたくなる見た目と高い機能性を備えた商品

アウトドアブランド「brigh+」から生まれた「Cooking Bag」や「ion water」。どちらも、キャンパーならずともつい手元に置きたくなる、見た目のおしゃれさが魅力です。 伊藤さん 「「brigh+」からはじめて誕生したのが、「Cooking Bag」です。袋の中に食材を入れたら、湯が沸いた鍋に袋ごと入れて調理することができます。」

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「1枚のCooking Bagで、お米1合分が目安。3枚使えば、ごはんと主食、スープをひとつの鍋で同時に作ることも可能です。もちろん、鍋を汚すこともありません。」

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「実はCooking Bagは、炊飯袋といわれる防災グッズをヒントに生まれたんです。災害時に、少ない水でも調理することができるもので、もともと当社の取扱商品でもありました。ただ、日本赤十字社でも使われるほど機能性が高いものなのに、日常的にたくさん売れる商品ではありません。 でも、見方を変えれば非常時だけでなく、キャンプグッズとしてとても有能。そこで“キャンプに持っていきたくなるおしゃれなデザインにしてみてはどうだろう”と思ったんです。そうすれば、キャンプグッズとして手元に置きつつ、非常時には防災グッズとして使っていただけますから。」

なるほど、防災グッズから着想を得るなど、裏に商品開発に至るまでのしっかりとしたストーリーが隠されているからこそ、たくさんの方に指示される商品が生まれたのですね。 “防災用”と謳われていれば、なかなか手にとる方が少ないものも、“キャンプ用”と謳われ、さらにデザインがおしゃれなものであれば、手にとる方も圧倒的に増える。それがまた防災グッズとしても活用することができるので、購入者の防災意識も高まり、一石二鳥。伊藤さんの“視点切り替えの柔軟性”がうかがえます。

伊藤さん 「第二段となった「ion water」は、調理道具の汚れを簡単に落とすことができるアルカリイオン電解水です。」

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「市販品のアルカリイオン電解水の多くがpH11程度ですが、ion waterはpH13と高く、より汚れが落ちやすいのが特徴。電解質に塩を使っていないため、大切な調理器具が錆びる原因にならず、界面活性剤や化学物質も含まれないため自然にも優しい商品です。もちろん、ご自宅で掃除用洗剤の代わりに使うのもOKです。」 キャンプに行くと、水場が遠かったり混んでいたりはもはや“あるある”ですよね。そんなストレスから開放されるだけではなく、人や自然にも優しい。日常生活にもぜひ取り入れたいアイテムです。

クラウドファンディングに失敗はない。改善し、成功へつなげて

「Cooking Bag」「ion water」は、クラウドファンディングで支援を募り、商品化されました。伊藤産業株式会社にとっては、初挑戦となったクラウドファンディング。いずれも多くの支援者が集まりましたが、特に「Cooking Bag」は、目標額の993%という凄まじい達成率を叩き出した。 「クラウドファンディングのデメリットはほぼなかった」と話す伊藤さん。その体験談を話してくれました。 伊藤さん 「以前、クラウドファンディングの勉強会で、「Makuake」の取り組みを拝見したことが今回の挑戦に繋がっています。実際にやってみると、普段はなかなか当社を知ってもらう機会が少ない全国の方から応援してもらえたのが、うれしかったですね。また年代や性別、居住地なども分かるので、どんな人に商品のニーズがあるのかも分かりました。」

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「すでにお伝えした通り、私たちは料理好きの男性をターゲットに商品を開発していたのですが、実際に支援者を見てみると女性の方もとても多かったんです。当社にとっては新しい発見で、これをきっかけに、女性キャンパーに向けての商品PRもスタートさせました。 また、支援者が、実際に商品を使った後に感想や改善点を教えてくれることもありがたいですね。支援者による応援購入のおかげで、在庫リスクもほぼなく、新商品開発にはもってこいだと思います。」

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「大変だったことは、いかに商品を伝えるかということ。小まめな情報発信も必要で、商品紹介のメインページだけでなく、最新情報をお伝えできる活動レポートもしっかりと更新していく必要を感じました。 とはいえ、リスクはほぼない。支援者からのフィードバックのおかげで、失敗しても次につなげることができます。改善すれば、「完成」に近づけられるんです。迷っている方は一歩を踏み出して挑戦してほしいですね。」

キャンプをもっと楽しく! 今夏、新商品も登場予定

クラウドファンディングで2回とも支援してくれた人もいるという「brigh+」シリーズ。早くも固定ファンをつかみ、新商品の登場が期待されています。今後、会社として、また「MONObASE」として、目指すものは何でしょうか。 伊藤さん 「ほかの会社が目をつけていないところに着目し、より多くの人に発信していける会社でありたいと思っています。 「MONObASE」としては、「brigh+」シリーズの新商品を開発中。まだ詳細はお伝えできませんが、今開発しているのがキャンパーに人気の調理器具「メスティン」にシンデレラフィットする新商品です。キャンプでの食事がより楽しくなられるよう、これまでにないアイデアを取り入れました。この夏には情報公開予定なので、お楽しみに!」 クラウドファンディングを利用したことで、男性だけでなく女性のニーズも発掘した「brigh+」。2021年3月18日に天神イムズにオープンした、女性キャンパーに向けたテナント「キャンジョストア」(運営/キャンプ女子株式会社)で取り扱い中。今後も、新しい取り組みに挑み続ける同社。開発中のメスティン仕様の商品についても、こっそりと非公開情報を教えてもらいましたが、絶対にキャンプが盛り上がる!というアイデア光る逸品でした。キャンパーの皆さん、夏の情報公開は見逃すことなくチェックしてくださいね。 文=戸田 千文

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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