「50周年50曲ライブ」福岡で再現 2月に西日本新聞紙齢5万号記念 郷ひろみさん

歌手の郷ひろみさん(67)が50曲を披露するコンサートが2月11日、福岡国際センター(福岡市)で行われます。西日本新聞紙齢5万号を記念した特別公演で、デビュー50周年の集大成となった昨年のファイナルコンサート(東京・日本武道館)を再現したものです。50周年に対する郷さんの思いとファイナルコンサートの様子をお伝えします。(文・西日本新聞社 山本孝子)

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郷ひろみさんインタビュー

昨年はデビュー50周年でしたね。

郷>3種類のコンサートを全国で行い、その締めくくりが昨年12月26日の日本武道館でした。
2月のコンサートは(西日本新聞)5万号という大変な数字の時に僕に白羽の矢を立てていただき、とても感謝しています。

再び50曲を披露します。

郷>無謀ですよね(笑)。無謀なのは昨年で終わるかと思ったんですけど。
初めてご覧になる方も含めて、僕が昭和・平成・令和と駆け抜けてきたことを分かっていただくには50曲歌うのが一番いい。普通に歌うと6時間くらいかかるから、集約してね。

私事ですが、初めて行ったコンサートが郷さんのライブで、あのとき輝いていた郷さんが、年齢を重ねるごとにきらめきを増しているように感じます。

郷>いやあ、きらめきを増しているかどうか分かんないですけどね。

読者のみなさんも人生の1ページの中に郷さんの歌があり、コンサートで自分の人生を振り返りながら郷さんと50年を共有できると思います。

郷>どの時代で自分が一番思い出されるのかというのは、この曲あの曲ってあると思うので、選択肢が多いほどいい。
でも50曲って(リリースした)シングル108曲の半分ですよね(笑)。

デビューからどんな50年でしたか。

郷>振り返ってみるとね、忘れてることも、覚えてることもたくさんあるかなあって。
昭和と今の音楽は全く違い、アナログからデジタルに変わった。
コンサートでは古いものと最先端のものが共存してるところを見ていだたければと思います。

50年を終えて次の目標は。

郷>51年ですもんね(笑)。
僕にとって郷ひろみというのは名前も含めて最高で、すごく魅力的な人間なんですよね。いつも郷ひろみだったらこうするかなあ、これはしないかなあ、って取捨選択できる。
だから自分がイメージする郷ひろみ像と一緒に歩いていきたいというのが目標ですね。先に進むことはないんです。

著書「黄金の60代」には60代が最高の時代だと書かれています。よりよく60代を生きるための助言を頂けますか。

郷>いやあ、僕の方が聞きたいくらいですよ(笑)。
僕は経験したことを生かせる時期は60代だと解釈したんです。人間はどっちを大事にするのかと考えると、後半生なんですよね。そう思うと生きるエネルギーが生まれてきた。
僕の中でいいと思うものを取り入れるのは一つだけで、あとはオリジナリティーを出していく。それで十分。やり過ぎもやらなさ過ぎも良くない。「ファインライン」に入るのが難しいんです。

そのためにはジムでの厳しい体づくりやボイストレーニングなどの努力を続けています。

郷>努力って思わないんです。当たり前のことなんです。歌手なんだからね。
「郷ひろみとしていたいの? いたくないの?」って自分に問いかければ「やるよね」って。
だから体重を維持しようっていうことも考えたこともないんですよ。自分が気持ちのいいところに行きたい、常にうそのないところに行きたいんですよ。うそはいずればれますからね。どんなに深く沈めても、ぽっこり表面に出てくるっていうことを知ってるだけに、うそはつかない方がいいというふうになってきたと思うし、誰が見てるって自分が見てますよね。
それと神様は絶対見てる。僕は自分が見てるっていうところが嫌なんでしょうね。人に見られている方が楽なんです。自分一人でいるほうが苦しいんですよ。

古里・福岡での思い出は?

郷>福岡県須恵町におじいちゃんとおばあちゃんが農業を営んでいて、そこで生まれたんです。
志免町で暮らして、4歳からは東京なんですが、夏休みや冬休みに須恵町に帰っていたのは覚えてます。でもおふくろからずーっと「あんたは九州男児なんだ」ってたたき込まれてきました。だから僕は九州の男だという思いしかないです。
女の人に優しく、うそをつかない、人のことを悪く言わない。これはたたき込まれましたね。

世間で言われている「九州男児」のイメージとは少し違う部分もあるように思いますが…。

郷>よく分かんないですけどね。でも九州の男っていわれると、すっと背筋が伸びますよ。
二つ思い出があるんです。子どもの頃、横断歩道をポケットに手を突っ込んでゆっくり歩いてたら、おふくろが「小走り。赤信号で待ってる人が、あんたみたいにちっちゃい子がポケットに手突っ込んでちんたら歩いてると、嫌な気持ちになる」って。今でもその癖は抜けなくて、横断歩道は青信号でも小走り。
それと中学生のとき、近所の方が応募したオーディションに行く途中の交差点で、おふくろに「やっぱり行きたくない」って言った瞬間にばーんとたたかれて。うちはスパルタだったんで。
「あんたね、東京で育ったかもしれないけど九州の男なんだよ、絶対最後までやるんだよ。行きなさい。行ってやめよう。行ってやめるのはあんたの自由だから」って言われたんです。
頰はみみずばれで、何をやったのか覚えていないです。それで落ちたのかは知らないけど。その後、男の人が近づいてきて、それがジャニー(喜多川)さんだったんですよ。

それをきっかけにデビューした後も、心の中には九州の男だという思いがずっとあると。

郷>もうずーっとです。だから僕は人のことを悪く言ったことはないし、(周りの人たちも)聞いたことないはずですよ。
それから愚痴を絶対言わない。やるって決めたらやる。それまでは自分の言いたいこと言う。
でも一度やるって決めたら絶対文句言わない。

福岡でのコンサートにはどんな思いがありますか。

郷>やっぱり違いますね。帰ってきたという感じです。
「50 times 50」という東京でのショーを、福岡でもお見せできるのはすごく感慨深いし、多くの方に素晴らしいショーを見ていただきたいですね。

ごう・ひろみ

1955年10月18日、福岡県出身。72年1月、NHK大河ドラマ「新・平家物語」で芸能界デビュー。同年8月、シングル「男の子女の子」で歌手デビュー。これまでにシングル108曲をリリース。

西日本新聞紙齢5万号記念 郷ひろみ特別公演 in 福岡(主催:西日本新聞社、テレビ西日本 特別協賛:オクゼン不動産)

2月11日午後4時から、福岡国際センター(福岡市博多区築港本町)。
アリーナ席1万2000円、2階席8800円、3階席5500円(税込み・全席指定)。チケットぴあ、セブン-イレブン店頭、ミュージックプラザ・インドウ(福岡市・天神)で発売。
問い合わせは西日本新聞プロダクツ=092(575)6158(平日午前10時~午後5時)。

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