寒い時期に流行するインフルエンザ。家族で誰か一人でも発症してしまったら、家族間で感染が広がってしまうかもしれません。それだけは絶対に困る! と元医療従事者の私がとった対策は、「完全隔離」でした。
努力むなしく、夫がインフルエンザに感染
数年前のことです。夫の職場でインフルエンザが大流行しました。
「絶対に家庭に持ち込まないでね!」と、マスクの着用や手洗い・うがいを夫に徹底させたのですが、その努力もむなしく、ついに夫もインフルエンザに感染。仕事中にどんどん熱が高くなり、具合が悪くなった夫は仕事を早退して自宅に戻ってきました。
そのとき夫は、すでに40度近い高熱でした。悪寒と関節痛でひどく辛そうな姿に、かいがいしく看病をしてあげたい気持ちになったものの、私は心を鬼にしてそのまま夫を自宅の2階へ追放。
さらにはリビングや寝室への立ち入りを禁止し、インフルエンザが完治するまで自宅内別居を宣言しました。
まるで「鬼嫁」? でも、これには切実な理由があるのです。
3日間の自宅内別居、用事があるときは
実は、当時3歳だった次男が、生まれつき呼吸器の病気を持っていて、インフルエンザなどに感染すると99%の確率で入院を余儀なくされてしまうからだったのです。
そうなると、母親の私は泊まり込みで付き添い入院をしなくてはなりません。私と次男が入院した自宅に残るのは、5歳の長男とインフルエンザで弱った夫。長男大ピンチです。
仮に、次男でなく長男が先に感染したとしても、長男の看病で濃厚接触する私がインフルエンザに感染してしまうのは目に見えています。私が発症すると家庭が回らなくなるうえ、医療的なケアが必要な次男にも、結局は感染させてしまうことにもなりかねません。
子どもが感染しても地獄。私が感染しても地獄。ここは慎重にいかねばなりません。被害を最小限に抑えるため、夫にはしばらく孤独に耐えてもらうことにしたのでした。
「完全隔離」の効果は?
その日以降、夫との接触は私のみ。もちろんお互いにマスク着用で最低限の用事だけ。夫が喉をやられて声が出なかったこともありますが、
「着替えが欲しい」
「水が飲みたい」などの用事は、自宅内ですがメールでやりとりしました。
夫は熱に浮かされながらも、階下から聞こえてくる子どもたちの声を慰めに丸3日間耐えました。子どもたちの顔を見ることができず、声を別室から聞くだけの生活は、インフルエンザの症状よりも辛かったとか。
夫が頑張ってくれたおかげで、なんとかインフルエンザを誰にも感染させることなく、夫は快方に向かいました。自宅内での別居もついに解除です。
数日ぶりに顔を合わせた夫と子どもたち。やはり寂しかったのでしょう。普段は私にばかりくっついている子どもたちが夫から離れようともせず、しばらくは夫にべったりでした。
(ファンファン福岡公式ライター/minimix)