出産は色んなハプニングがつきものですが、数多くの分娩に立ち会い、様々なパターンに慣れているはずの助産師。そんな助産師が首を傾げる展開となった、2人目の分娩についてお話します。
弱い生理痛程度の痛みを感じて、産院へ
1人目の出産は、1分間隔でくるお腹を突き上げられる痛みに対し、3時間全力でいきみ続けたため、心身ともにボロボロになりました。初産にしては分娩の進みが早く、助産師いわく「2回目は分娩時間が半分になる可能性がある」とのこと。産院へ着く前にいきみ地獄がくる事態は避けたかったので、陣痛の可能性がある時は必ず産院へ連絡する、と決めていました。
出産予定日の前日は妊婦健診へ。子宮口の開きは2cm。赤ちゃんが下りてくるようにと、子宮口を刺激されました。刺激後からお腹に鈍い重みを感じていたものの、23時に就寝。ところが2時過ぎ、弱い生理痛のような痛みで目が覚めました。痛みの間隔は10～20分以上とばらつきがあります。
陣痛なのか半信半疑でしたが、4時頃に痛みの間隔が10分になったので産院へ連絡。内診の結果、子宮口が6cm開いておりそのまま入院、陣痛室で痛みが強くなるのを待ちました。
子宮口の開きが8cmに そのときの私の様子は…
6時半、これまでより少し強い痛みがあったので再び内診してもらうと、子宮口の開きが8cmになっています。
「痛みはどんな感じ？」と聞かれたので、生理痛程度で間隔が10分以上あくときもあると伝えると、助産師が不思議そうに首を傾げています。
十分耐えられる程度の痛みと間隔で子宮口が8cmも開くのは珍しいそうです。
「経産婦は分娩台に移動するタイミングだけど、まだ陣痛室にいても大丈夫そうだよね。どうしようかな…」と、判断を迷わせる事態に…。迷っていた助産師から、私の分娩が急に進む可能性もあるからと、分娩台へ移動するよう指示されました。
時折スクワットをしながら分娩が進むのを待っていると、7時半に助産師が朝食を運んできます。
「食事が刺激になって分娩が進むかも」という言葉に、期待を込めながら食べ始めました。満腹になり完食はできなかったものの7割ほど食べ、病室へ行って歯磨き。
ところが、陣痛が強くなる気配は一向にありません。じれったさを感じながら病棟を歩きまわっていました。
ついに子宮口が全開に なのにいきめない？！
10時前に子宮口が全開になり、いきみたいような痛みもあることを伝えると助産師から
「いきんで良いよ」と許可が出ます。いきむ時がついにきた…！
前回のいきみ地獄が脳裏をよぎりましたが、ようやくここまできたからと覚悟を決めます！ ところが…
あれ？ 力が入らない…。なぜか痛みの強さが1時間前に逆戻り。そして、あっという間に遠ざかってしまったのです。
その後も、痛みに合わせていきもうとするのに力が入らないという展開が2回ほど…。見守っている助産師も、力が入らない私に拍子抜けしている様子でした。
本格的な痛みがきたのは、子宮口が全開になってから30分後です。力をしっかり込めていきむと同時に、ようやく破水。これを合図に医師ともう1人の助産師、看護師が分娩室に入ってきました。
破水後からは、分娩時の全てを凝縮したような、強い痛みに。お腹を鈍器で激しく殴られている感覚です。何回目かのいきんだタイミングで、赤ちゃんの頭が子宮口にぶつかりました。しかし分娩台の態勢は整っておらず、助産師に、赤ちゃんの頭を抑えるよう指示していました。
「足をしっかり開いて！」
「身体を反らないで！」
「赤ちゃんに酸素を送るためにしっかり呼吸して！」と飛び交う声に必死の形相で従うこと15分、ついに息子が誕生。会陰切開はなく、いきんだ一瞬のタイミングで、助産師が子宮口を広げながら取り上げました。
子宮口が8cm開いた状態で食事して歯磨き、出産15分前までいきめない…。赤ちゃんを取り上げた助産師いわく、「数多くの出産に立ち会ったけれど、珍しいケースだった」そうです。私の子宮口が開きやすいのに対して、陣痛が追い付かなかったのかもしれない、との見解でした。
マイペースでのんびり屋な息子は現在2歳。分娩時のように振りまわされる毎日でヘトヘトですが、これからも息子らしく成長してほしいと思っています。
（ファンファン福岡公式ライター／坂 真琴）
