昔は風邪をひくと「首にネギを巻き、額に梅干しを貼った」という話を聞いたことがありませんか? 私にとっては都市伝説みたいなものでしたが、出産後に手伝いに来てくれた78歳の義母を見ていると真実味を帯びてきました。義母の育児の常識に驚いたことをご紹介します。
義母とのジェネレーションギャップ
私は39歳の時に、13歳年上の52歳の主人と再婚したため、子どもを出産した頃、義母は既に78歳でした。
78歳といっても肌や髪はきれいに保たれ、社交ダンスや英会話を習うなどアクティブに過ごしているせいか言動も若々しいため、友達のような感覚でいました。
常に仁丹を持ち歩き、認知症予防に良いとされるアマニ油やえごま油を何にでもかけているあたりは年齢を感じましたが、「健康に気をつけているんだな」と思った程度。
ところが、私が出産をし育児を手伝ってもらうようになってから、今までそれほど感じなかったジェネレーションギャップを感じるようになってきたのです。
義母愛用の薬を勧められる
子どもの乳児湿疹に、小児科医から処方された薬を塗っていた時のことです。義母から
「その薬はどんな薬なの?」と聞かれたので、
「赤ちゃんにも問題なく使えるくらい弱いステロイドみたいですよ~」と答えると、義母は信じられないといった顔つきで
「代わりにこれを使うといいわ」と、バックから目薬のようなボトルを出して私に手渡しました。
薄い黄色の液体で、蓋を開けて鼻を近づけると草のような独特の匂いがします。
「これは、髪や顔、傷口に塗ってもいいし、点眼してもいいし、飲んでもいいのよ。植物エッセンスだから身体に優しいの」義母は「自然由来のもの」「生薬のもの」に、絶大な信頼を寄せており、西洋医学や新薬は身体によくないと思い込んでいたのです。
「目に入れてもいいし飲んでもいいんですか?」私が半信半疑で聞くと、
「そう。美容師さんに勧められたんだけど、何にでも効いて副作用もないの」と、義母は自信たっぷり。私は内心、「胡散臭いな、水と同じじゃないの?」と思いつつ、試しに1週間ほど塗り続けてみました。
やはり全く効果は見られませんでしたが、信じて使い続けている義母には言えず、病院でもらったステロイドをこっそり使ったものです。そのおかげで乳児湿疹はすぐに治まりましたが、義母は自分の薬の効果だと信じているため、子どもが怪我をしたり風邪をひくたびに、その薬が登場して困りました…。
昭和式子どもの出べそ対策
乳児のうちの出べそは臍(さい)ヘルニアといって、ウンチをしたり泣いたりして腹圧がかかった際に、皮膚の下の隙間から腸の一部が盛り上がってくるものなのですが、珍しいものではなく、1~2歳までに自然に治ると言われています。
わが子もよく泣いたため立派な出べそになったわけなのですが、私が義母にそれを見せると、
「あら、こんな時は昔から5円玉を貼るって決まってるのよ!」と、おもむろに財布から5円玉を取り出したのです。
え、5円玉? 何をするつもり?! と、脳の情報処理が追いつかない私をよそに、義母は手際よく5円玉をガーゼで包んで子どもの出べその上に置き、絆創膏でバッテンの形になるように止めました。
オムツをつけて綺麗な洋服を着ていても、そのおへそには5円玉が張り付いていると思うと思わず笑ってしまいます。絆創膏でかぶれるので長くは続けられませんでしたが、わが子が1歳になった頃にはいつの間にか治っていました。
5円玉のおかげか自然治癒か否かは未だに分かっていませんが、調べてみると現代でも出べその圧迫療法はあって、圧迫により早く治ることが期待されているそうです。もちろん病院では5円玉ではなく綿球やスポンジが使われるのですが、あながち間違っていなかったのかもしれません。
変わる常識・変わらぬ愛情
おばあちゃんの知恵袋の中には、「母乳の代わりに米のとぎ汁」「鼻水は口で吸う」など、今の常識では考えられないものが多々ありますが、将来自分がおばあちゃんになる頃には、その時代の育児に驚くことでしょう。
情報を常にブラッシュアップして、何でも知っている頼れるおばあちゃんに… いつかなりたいと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/あそうママ)