福岡の書店員さん、君の推薦する本を読みたい【福岡キミスイ本 第30回】

 福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。30回目は、福岡市南区大楠にある「やず本や」の小野田麻衣子さんを訪ねました。さらに今話題の9冊を紹介します。

目次

“まるで体にしみこむメロディー”福岡市の書肆侃侃房が届ける現代短歌集

「短歌タイムカプセル」 東直子、佐藤弓生、千葉聡 編著

出典:http://fanfunfukuoka.aumo.jp

―今回は、日赤通り沿いで福岡赤十字病院の向かい側にある「やず本や」に来ました。店内は落ち着いた雰囲気です。こんにちは!  当店は健康食品通販を展開する「やずや」(福岡市南区)が2019年6月にオープンした書店です。カフェを併設していて、会員さんやドロップイン(一時利用)で利用できる“書斎”(コワーキングスペース)もあるんですよ。

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―書店がオフィスになるなんてわくわくしますね。それでは小野田さんおすすめの書籍を教えてください。  詩人で代表の田島安江さんが福岡市で2002年に立ち上げた出版社、書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)をご存じですか。同社から18年1月に出版された「短歌タイムカプセル」(東直子、佐藤弓生、千葉聡編著、1,500円+税)です。

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―歌集ですか。  現代歌人115人の作品20首ずつを載せた選集で、20首のうち1首に「一首鑑賞」という詳しい解説が付いています。故人など一部を除いて、作者が自選したラインアップというのも特徴です。万葉集や古今和歌集が現代の私たちに語り掛けるタイムカプセルといえるように、今多くの人に愛されている現代短歌が、“千年後の人にも届くように”とこの一冊に詰め込まれています。

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―短歌に触れる機会がなかなかなくて…。  私も初めはそうでしたが、書肆侃侃房さんのおかげで短歌が大好きになりました。五七五七七という音律数は実は私の中に懐かしいメロディーとして息づいていたようで、それを呼び起こしてくれました。  31文字に込められた作者の思いは、小さなメロディーとして体にしみこんでいきます。続きを奏でるのも膨らますのも自由といった寛大さを感じるところも短歌の好きな点です。 ―この中で特におすすめの歌人や作品はありますか。  笹井宏之さん(佐賀県出身、1982-2009年)です。中でも「一首鑑賞」で紹介されている「えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい」には、こういう世界もあるのか! と感銘を受けました。

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―主にどんな人が手に取られますか。どんなとき読むといいでしょう。  20、30代の若い方が多いようです。私は心が弱っているときに開きます。栄養摂取のような気持ちですね。そのときの自分の状態で感じ方が違って新たな気づきがあります。 ―ありがとうございました。現代短歌の軽やかでいて深い世界をのぞいてみたくなりました!  続けて注目の9冊を紹介します。

「サラ金の歴史」【中央公論新社】

小島庸平/著 980円(税別)

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 サラ金や消費者金融は、テレビCMや屋外看板で広く知られています。戦前の素人高利貸から質店、団地金融などを経て変化した業界は、経済成長や金融技術の革新で躍進しました。ですが、バブル崩壊後、多重債務者や激烈な取り立てによる社会問題化に追い詰められていきます。本書は、この1世紀に及ぶ軌跡を追い、知られざる経済史を照らします。

「2016年の週刊文春」【光文社】

柳澤健/著 2,300円(税別) 

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 なぜ政権を揺るがすスクープが取れるのでしょうか? 日本で最も恐れられる雑誌と、愚直な男たちの物語―。2人の名編集長を軸に、昭和、平成、令和の週刊誌の変遷と鮮烈なスクープの現場を緻密に描いた注目作です。各方面で大きな話題になり、発売即重版!

「フライパンひとつで魚のごちそう」【青春出版社】

ダンノマリコ/著 1,400円(税別)

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 「調理が難しい」「下処理が面倒」…そんな魚料理のイメージを一新! “フライパンひとつ”で気軽に作れる魚料理レシピを多数紹介。フードスタイリストの著者ならではのレシピは、見た目も美しく日常の中で魚の魅力を再発見できるものばかり! イタリアン、フレンチ、定食風などバラエティー豊かなメニューが満載で、毎日お魚ライフを楽しめる一冊です。

「なぜ僕らは働くのか」【学研プラス】

池上彰/監修 1,500円(税別)

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 累計44万部突破! 仕事とお金、AI時代の働き方、やりたいことの見つけ方、人生100年の幸せな生き方…。“生きる”“働く”の本質を、マンガと図解で伝えます。現在、贈り物にぴったりな特装版が数量限定で販売されています。新入学や新生活などのプレゼントにおすすめ。人生で何度も読み返す大切な一冊になるはずです。

「日本株爆騰! ’80年代バブルを超える大相場が来る」【講談社】

大木昌光/著 1,500円(税別)

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 2020年、コロナ禍で最も早く「株価3万円」予測を打ち出した、注目のファンドマネジャー・大木昌光氏。コロナ不況にもかかわらず、日本の株価が絶好調なのはなぜ? ドル安・円高でも株価が崩れないのはどうして? いま、株式投資の常識が変わりつつあります。株価の上昇はバブル期を超え、さらなる高みへと向かうのでしょうか。

「新 謎解きはディナーのあとで」【小学館】

東川篤哉/著 1,600円(税別)

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 執事探偵×令嬢刑事コンビが活躍するシリーズ累計420万部突破の大人気ミステリー、新章スタート! 令嬢刑事・宝生麗子の後輩に天然キャラの新米刑事・若宮愛里が加わり、警視庁に栄転した風祭警部も大きなミスを犯して国立署に舞い戻ります。新たなメンバーで難事件に挑みますが!? 毒舌執事・影山の推理がさえわたる、本格ミステリー全5編。

「覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子」【潮出版社】

伊東潤/著 1,800円(税別)

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 舞台は日本国創成の地・飛鳥。まだ日本が国として意識されていなかった時代に、豪族・蘇我氏を束ねる馬子は仏教を基盤に据えた国造りを目指して邁進(まいしん)していきます。政敵との死闘、推古大王と厩戸(うまやどの)王子(聖徳太子)の愛憎。その果てに馬子が見たものとは? 日本史上屈指の“悪役”の実像に迫る古代史浪漫小説!

「つまらない住宅地のすべての家」【双葉社】

津村記久子/著 1,600円(税別)

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 とある町の静かな住宅地。そこに、1人の受刑者が刑務所から脱走したというニュースが入ります。住民は交代で見張りを始めますが、見えてきたのは、それぞれの家の、それぞれの事情でした。ひょんな出来事をきっかけに、人生が少し動きだします。さまざまな思いを抱えて暮らす人々を巧みな構成と描写で浮き彫りにした長編小説。

「研究者が本気で建てた ゼロエネルギー住宅」【農文協】

三浦秀一/著 2,200円(税別) 

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 自分の家でも再生可能エネルギーを使ってみたい、作ってみたいと考える人が増えています。とはいえ、エネルギーを選び、取り入れる手順や方法は分かりにくいもの。省エネ・断熱、太陽光・太陽熱、薪(まき)・ペレット、蓄電など、住宅のエネルギー自給の方法を、建築とエネルギーの専門家が自らの実践を通して指南します。

 いかがでしたか? 新年度で気を張っている人や季節の変わり目でちょっと疲れモードの人も読書で一息ついてみては。来月もお楽しみに。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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