うしも「さくらねこ」になった 「サ日記」

 2月になりました。4日は「立春」だったそうで、それなら早くあったかくなって欲しい。いっときの鬼のような寒さに比べれば最近は昼間は少し良いが、朝晩は冷え込む。あとひと月もすれば、だいぶ過ごしやすくなるだろうか。

 さて、きょうはニュースがある。あの、近所で一番のデカ猫、うしがついに「地域猫」の仲間入りをした。

 先週木曜日、飼い主が捕獲器の中に冷凍の鶏のから揚げを仕掛けたら、15分もしないうちに、このデカブツが中に収まっていたという。同じようにして捕まえられたチョビは、「ギャアギャア」大騒ぎしていたと聞く。それに引き換え、このうしは落ち着き払っている。あまりほめたくないが、何年か武者修行していたせいか、肝がすわっておる。

 ペットクリニックに運びこまれたうし。色んな猫を診てきた先生も、「大きいですねえ」と驚いている。

 一日置いて、金曜日の夜に去勢手術が行われた。かわいそうだが、おれも通ってきた道だ。土曜日の夕方に先生から電話があって、「引き取りに来てもいいですよ」と言われた飼い主は大急ぎでクリニックに。ケージに入ったうしは、心なしか前より優しい表情になったようだ。黒目がちで、演歌歌手の大江裕みたいな感じになっている。先生は、「野良ちゃんだから、手術の前、暴れてちょっと怖かった」と言われてたそうだ。まあ、そうだろう。

 しばらく、おれたちと同じ居間でケージの中で過ごした。ちょいと上からのぞくと、神妙にしている。外と違って暖房が効いて心地よさそうだ。

 夜も8時近くなってきたので、元通り外に出してやる時間だ。飼い主は名残惜しそうだが、うしはもう出たがっている。

 ふたを開けてやると、ささっと茂みの向こうに走り去ったという。

 うしがいると、おれもなんとなく落ち着かんが、あいつが出て行ったので気を抜くと、いつの間にか眠り込んでいた。

 いつもながら、チョビはパッチリと目が冴えてなかなか寝つかない。

 おい、おれが下敷きにされとるぞ。

 一夜明けると、うしはなにごともなかったように、納屋の前の木の台の上で日向ぼっこしておった。身体の調子はダイジョブなようだ。よかった良かった。

 わかるかニャ。右の耳がカットされ、桜の花びらのようになっている。去勢や不妊手術を施された外猫、「さくら猫」になったしるしだ。さくら猫は、「地域猫」として、地域の人によって見守られることになる。あのどう猛な「くま」もいつの間にか地域猫になっていたから、二大デカ猫のうしとの争いも完全に無くなることだろう。

 納屋のあたりには、また別の地域猫が。こいつは左がさくら耳だ。

 この猫も左の耳が桜だが、上のと同一猫(にゃん)物なのか。別なのか。キジトラ猫の連中は似ていて見分けがつきにくい。

 さて、うしもめでたく地域猫になったところで、今月の地域猫のカレンダーもお見せしましょう。これ↑は、ピースキャットさんのカレンダー。お腹を半分見せているから、気を許している様子だ。おれと違ってカメラ目線がうまい。

 そして、こちら↑が福岡ねこともの会さんのカレンダー。上も下も二匹ずつこっちを見つめている。おれにもこげな子猫の時代があったのか。もう完全に忘れとる。

 子猫だと思っていた弟子のチョビもだいぶ大きくなってきて、もう1歳はとうに越しているから、人間でいえば、成人らしいぞ。そのわりには生活では成長がみられない。ドアの開け方も少しマシになったとはいえ、まだまだ全然ヘタクソだ。JAFMATEの表紙の猫と鏡みたいに写ってご満悦の様子だ。

 さっき、カメラ目線が苦手なことを書いたが、この感じがおれの限界だ。何で、スマホに向かって愛嬌を振りまかにゃならんのか、ようわからん。

 その点、チョビは弟子のくせに写真うつりが良い。なんか威張りくさってるようにも見えるが。

 そういうわけで、せっかく読んでくれてるみなさんにも良い表情を見せられないが、おわびに「ごめん寝」で締めるとしよう。

 ごきげんよう。ムニャムニャ。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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