ある土曜日の朝。メイクをしていると、いつもより化粧のノリがよくありません。不思議に思っていると視線を感じ、そちらを向くと様子がおかしな息子がいて「あ、何かやらかしてるな」と直感。問い詰めてみると、彼は私に隠れて壮大な隠ぺい工作をしていたのです…!
あれ? 今日は化粧のノリが悪い
土曜日の朝、私はお出かけに備えてメイクをしていました。フェイスパウダーをはたいてベースメイクが完成し、アイメイクに移ったところ、なぜかアイシャドウがうまく塗れません。肌の質感もなんだか全体的にぼそぼそしていて、さらっと感がないのです。
いつもはパックを10分くらいした後に乳液を塗ってメイクを始めるのですが、その日は試供品のオールインワンジェルを使いました。そのせいかな、と思いました。
それとも昨夜寝不足だったから?
部屋干しの湿気をフェイスパウダーが吸ったのかな? などと色々考えていたところ、ふと視線を感じ、振り返ると… うつむきながら口をぎゅっと結んで、気まずそうにしている5歳の息子が立っていたのです。
彼は目が合った瞬間、サッと視線を斜め上に向けました。まばたきが増え、指はもじもじ動いています。今までの経験と直感から「これは何かやったな!」と確信しました。
犯人は息子でした 巧妙な手口に脱帽!
問い詰めたところ、昨日夕食を作っている間にフェイスパウダーを使ったということが発覚! 息子は堪忍したのか、私の顔色をうかがいながらポツリポツリと話し始めました。
彼は本が大好きです。私が付録につられて買ったファッション雑誌をめくっていたら、たまたまメイク講座のページを見て真似したくなったそうです。
しかし色黒の息子はパウダーをはたいても色が白くならず、もともと残量が少なかったため使い切ってしまいました。
そこで悩んだ末、隠ぺい工作をすることに。まず
「今日のごはん何?」と聞いて私の注意をそらしつつ、背後の棚から小麦粉を取っていきます。
そして洗面台で容器に詰めた後、散らかった粉を流したそうです! すぐお風呂に入ったので、私は全く気付きませんでした。
ちなみに容器は開け方がわからなかったので、パフの下にたくさん開いている小さな穴から一生懸命入れたそう。だんだん饒舌になり
「ママが来る前に完成しないといけなかったから、任務がある映画みたいにドキドキした!」と興奮しながら語る息子を見て、私は「これは将来大物になるな…」と思いました。
失敗から対処法を学べた点は、結果オーライ?!
失敗した後に、代わりのものを探して元に戻そうとした行動力、私の注意をそらして最後までやり遂げた演技力、詰め替える場所として洗面台を選択した判断力については
「よくバレずに任務完了できたね」と認めました。
しかし何かまずいことをしたときは、まずママに相談すること。大きい失敗ほど早く相談するべきであることを伝え、
「やりたいことがある時は、先に聞いてね」と約束しました。
「もしママがフェイスパウダーの中身が違うことを知っていれば、今からメイクをやり直さなくても良かったんだよ」と言うと
「ごめんなさい」と反省した様子。
しかしお説教が終わり
「またメイクは最初からか…」とため息をつきながらクレンジングシートでふき取っている私に背を向けて
「そっか、小麦粉を顔に塗ればいいんだ!」と小さい声でつぶやいたのを、私は聞き逃しませんでした。5歳息子の、美への探求はまだまだ続くようです。
(ファンファン福岡ライター / bisuco)