前後に2人を乗せられる、子ども乗せ自転車。乗り始めたころは事故を起こさないことを第一に気を付けていたはずの私でしたが、一瞬の油断で、それを招いてしまいました。今でも後悔している、私の体験談です。
必須アイテム、電動自転車導入!
第二子出産後、仕事復帰に向けて、私にはどうしても欲しいものがありました。それは、2人子どもを乗せられる電動自転車。保育園まで、子どもと歩くと、スムーズにいって20分。さらにそこから、バスで20分かけて通勤…。
「考えただけで途方に暮れる! ないと絶対無理!」と夫を説得、晴れて購入することに。
とはいえ、しばらく自転車に乗っていなかった私。まずは1人で運転して、次に後ろに1人乗せ、それにも慣れてから前に乗せて、と練習を重ね、仕事復帰の頃には、安定して運転できるようになりました。
子ども達には必ずヘルメット、シートベルトを着け、安全運転第一! と決めていました。走りにくい道もなく、快適な自転車ライフを送っていました。しかし、慣れた頃が一番怖い、とはよく言ったもので…。自転車に乗るのが当たり前になってきた頃、私はやらかしてしまうのです。
バタバタしていた朝
その日は、いつもより出発の時間が遅くなっていました。バタバタと家を出て、荷物を自転車のかごに入れ、子ども達のヘルメット、シートベルトを装着し、いざ出発! 信号を渡るためにスピード落とした時、ポロっと荷物がかごから落ちてしまいました。停車し振り返ると、2mほど後ろに転がる娘のかばん…。
重たい自転車を押しながらバックさせるには遠く、わざわざUターンさせるには近い、微妙な距離。私は自転車を停めて、1人で拾ってくるのが一番早い、と判断してしまったのです。自転車を道の脇に寄せて停め、ハンドルが動かないようにロックをかけました。
「ちょっとだけ動かないでね!」
さっと自分だけ降りて、ダッシュでかばんを回収。自転車の方を見ると、前のシートに座っていた息子が、乗り出して後ろを見ようとしているところでした。
「だめ! あぶない!」そう叫んで走り出した時にはすでに遅く、自転車は子ども2人を乗せたまま、バランスを崩して倒れてしまったのです。
「痛いよおー」
「うわあああ」
2人の悲鳴があたりに響きました。私は真っ青になりながら、自転車を起こそうと思いました。しかし、電動自転車だけでも30kg以上、そこに1歳半の息子と3歳の娘の体重が加わって、かなりの重さ。1人で起こせずにいましたが、通りかかった人が助けてくださり、なんとか起こすことができました。
後ろに乗っていた娘はケガもなく、すぐに泣き止んだのですが、息子の顔が真っ赤。おでこを切って、出血していたのです。出血場所を押さえながら、どうしようどうしようと泣きそうになりました。
「救急車呼びますね!」自転車を起こすのを手伝ってくれた人がそう言ってくださり、
「お願いしますっ!」私は、そう伝えるので精一杯でした。パニックになっている中、状況を冷静に判断し親身に助けてくださったことは、本当にありがたかったです。
一瞬の油断と、消えない傷
幸いすぐに救急車が到着。泣き止まない息子を抱え、不安がる娘を支えながら、救急隊員が来てくれた時、心底ほっとしたのを覚えています。隊員たちは、息子の手当てをしながら状況の確認、娘の様子もチェック、搬送先を決定、自転車は近くのビルの駐輪場に停められるようにして…。全てをすごいスピードで進めてくれました。
病院での診察後、切ったおでこは縫うことになり、息子だけ処置室に通され手当てを受けました。待合室に響いた、息子の
「いたいよう、いやだよう」と悲鳴を上げて泣く声は、今でも忘れられません。あの日、家を出る時には、こんなことになるなんて思ってもいませんでした。
息子と娘に、事故のことを何度も謝りましたが、どんなに謝っても許されることではありません。その後、幸い2人とも元気に過ごしていますが、息子のおでこには5年経った今でも傷跡が残っています。
私は事故以来、自転車を停めると、まず子どもを降ろすことを優先にするようになりました。どうか皆さんは、私のような事故が起きないよう反面教師にしてください。安全に引き換えられるものは、何もありませんから…。
(ファンファン福岡公式ライター/かきくけ子)