動いたら腰が痛い、だから動かない 手術で普段の暮らしを取り戻す【福岡輝栄会病院】

 動くと背中・腰が痛い、だから動かない。その悪循環が寝たきりや認知症へつながり易くなってしまいます。そんな背骨を専門的に扱う「福岡輝栄会病院」の密川守先生に背骨の疾患や治療法についてお聞きしました。

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【整形外科専門医】福岡輝栄会病院 密川守先生

 大阪府出身。久留米大学医学部卒業。同大学整形外科、米国エモリー大学、および久留米大学関連病院などで脊椎外科の研鑽を重ね、2021年より福岡輝栄会病院脊椎外科部長就任。経皮的椎体形成術指導医。疼痛や麻痺など苦しんでいる方々に「最新かつ最善な治療」を届けることを信念とする。

背骨の痛みは年齢によってさまざま

 背骨(脊椎)とは背中を支える骨のことだけではなく、頸椎7、胸椎12、腰椎5、そして仙骨という全25個の骨のことを指しています。体を支え、動かすのみならず、内臓を保護するなど、いわば「人間の中心軸」としての役割を担う、重要な機能が集まる部分でもあります。
 「せぼね外来」を開設したのも、整形外科でなく、脊椎に関する悩みをより専門的に診察し、痛みに悩む患者にわかりやすい医療を届けたかったからです。

 背骨の疾患は、年齢によってさまざま。若年層は、体を動かしすぎで発症する「腰椎分離症」や先天性、神経性などで発症する「側弯症」、20~40代は「椎間板ヘルニア」、中高年になると加齢も原因となる「腰部脊柱管狭窄症」、そして高齢女性に多くみられる「(骨粗鬆症による)圧迫骨折」と、年代ごとに背骨は大きな病と隣合わせであることがわかります。どれもが痛みを強く感じ、動けなくなるため生活の質が大きく低下。それが高齢者の場合、寝たきりや認知症へと繋がる原因にもなります。

30分以内で終わる最小侵襲手術 回復も早い経皮的椎体形成術

 例えば圧迫骨折の場合、2~3カ月入院安静にする保存的治療が主でしたが、高齢者は入院が長引くほどに筋力が弱り、寝たきりになる可能性もあり、手術をして1週間ほどで通常の生活に戻す治療が重要だと考えます。

 この手術は「経皮的椎体形成術」と呼ばれ、5mmほどの傷から椎体の中にバルーンを挿入してふくらませ、骨セメントを流し込んで潰れた骨を固定させるもので、セメントの固まる時間を含んでも30分ほどで終わります。術後の回復が早く、翌日には負荷をかけたリハビリも可能で「高齢者」「合併症が心配な患者」「老老介護家庭」などにおすすめしたい最小侵襲手術です。

 誰でも骨は弱くなります。年1回でいいので整形外科で骨密度などの検査を行い「人間の中心軸」を健康に保ちましょう。

せぼね外来とは、骨だけでなく「神経」も診る分野

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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