認知症治療は究極の対症療法 「予防」と家族で事前に話し合うことが大切【池田脳神経外科】

 2025年には患者数が700万人を超えると予測される認知症。約35%は予防できると言われているのを知っていますか? 認知症の予防法や治療について、「池田脳神経外科」の池田耕一先生にお聞きしました。

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【脳神経外科専門医】池田脳神経外科 池田耕一先生

 南島原市出身。福岡大学医学部卒業。福岡大学医学部脳神経外科および関連病院にて脳血管障害や頭痛外来を担当。2008年春日市に「池田脳神経外科」開業。脳血管障害や頭痛などの専門的治療を行う。日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本頭痛学会などに所属。

ベビーブーム世代の老いが進み認知症患者はさらに増加中

 なんらかの病気や障害によって脳の認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出る「認知症」は、老化による「もの忘れ」とはまったく違う症状です。

 認知症患者数は現在約620万人といわれていますが、戦後のベビーブーム世代が高齢者世代に入ることでさらなる患者数の増加が懸念され、2025年には700万人を超えると予測されます。この10年間新しい治療法や新薬開発がほとんど進まなかったのが現状です。しかし、昨年アルツハイマー型認知症の治療薬「レカネマブ」の臨床治験で効果があることがわかり、実用的に使えるようになることが待たれます。

 認知症を疑って自身で当院に来院される方の9割が正常ですが、周囲が「意欲がない」「普段できていたことができない」などに気づいて来院される方のほとんどが認知症です。

認知症の35%は早いうちから予防できる場合がある

 診断はまず本人のエピソードを聞き取る問診、長谷川式と呼ばれる簡易知能評価のテスト、採血やMRIなどで現状を可視化します。ここで認知症と診断されたら、薬の処方と同時に、介護保険申請の手続きを指導します。認知症で最も重要なことは、名医を探すことではなく「面倒見のいい医師」と「良いケアマネージャー」と出会い、チームで介護に取り組むこと。脳の神経細胞が壊れる認知症治療は、進行すると治療が難しいため、できることは症状に対する対症療法だけになります。

 そして家族で「何歳になったら運転はやめよう」などの話し合いを進めるなど、認知症になったときに備えて話し合いの場を持つことは大変大事です。運転免許証更新時の認知機能検査は75歳以上からなので、もしそれより若く認知症が発症した場合は、特に大きな問題になるために普段から家族の対応が必要になります。

 認知症の約35%は予防できるといわれています。「視力や聴力を保つ」「自分の歯で食べられる」「糖尿病にならない」「趣味の集まりなど刺激のある生活をする」など、意識すれば簡単にやれることばかりです。発症前は予防を、発症後はチーム介護で見守りの環境づくりがポイントです。

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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