福岡の書店員さん、君の推薦する本が読みたい【第53回福岡キミスイ本】

 福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。53回目は紀伊國屋ゆめタウン博多店(福岡市東区)の白山善史さんを訪ねました。あわせて、この時期に読みたい話題の7冊を紹介します。

目次

小説紹介クリエーター けんごさんが描く恋愛小説

紀伊國屋ゆめタウン博多店の白山善史さんに聞きました

―こんにちは! 今回白山さんが紹介されるのはどんな本でしょうか。
 けんごさんの「ワカレ花(ばな)」(2022年5月双葉社発行、1,375円、税込み)です。けんごさんは、TikTokやInstagramで本を紹介する小説紹介クリエーターで本作が初小説。春夏秋冬や花をテーマに8編からなる短編集で、春から冬にかけてストーリーが展開される恋愛小説です。切なくも、心温まる物語が詰まっています。

―この本を選んだ理由は?
 季節に合わせて物語が進んでいくため、最後は冬で終わります。冬でお別れではなく、新しい出会いのある春につながっていくというメッセージ性が込められているように感じました。今の時期にぴったりで、これから読みはじめるのにオススメの一冊です。また、あまり知られていませんが、著者であるけんごさんが福岡県出身という点も選んだ理由のひとつです。

「ワカレ花」けんご作

―読んでみて面白いなと感じたところは?
 本の初め3行ほどがプロローグになっているのですが、ここの部分が物語の最後につながる点です。「最初の3行を読んであなたはどう感じましたか?」と読者に考えさせる内容ですが、最後まで読むと「こういう話だったのか」と読み解けます。各物語のつながりも上手く構成され、それぞれの“ワカレ”が表現されています。

―どんな人にオススメしたいですか?
 4月から新生活や新学期などが始まるので、高校生や大学生、新社会人など10〜20代をメインにオススメしたいです。文章がとても読みやすいので、普段本を読まないという人にもオススメですよ。

けんごさん直筆のサイン色紙

―本書が刊行された際、紀伊國屋ゆめタウン博多店にけんごさんが来られたとか?
 はい。「ワカレ花」が発売されてから、各書店さんに足を運ばれたようで、紀伊國屋ゆめタウン博多店にもお越しになりました。若いのにしっかりされていて、すごく丁寧な方でした。
 来店された際は、ご本人直筆のサイン本を作ってもらったほか、サインを書いていただきました。その時の色紙は今も店頭に飾っています。

紀伊國屋ゆめタウン博多店 外観

―紀伊國屋ゆめタウン博多店がオープンしたのはいつですか?
 2007年5月にオープンし、今年で16年になります。改装により縮小しましたが、当初は約900坪ほどの大型店舗でした。当店では書籍のほか、雑貨やCDなども取り扱っており、全体で約24万点の品をそろえています。

―アイテム数がとても多いですね! 取り扱い書籍の特徴を教えてください。
 ファミリー層が多く来店されるので、児童書や学習参考書、コミックが充実しています。また、職場で役立つような専門書なども取りそろえているため、お父さんお母さんも一緒に本選びを楽しめます。

現在「化石・鉱物フェア」開催中!

紀伊國屋ゆめタウン博多店ではイベントも実施しているとか?
 当店では4月末まで「化石・鉱物フェア」を開催しています。アンモナイトなどの実物化石や美しい天然鉱物を展示・販売中です。手頃な価格の商品もあり、手に取りやすいラインアップとなっています。みなさんも、ぜひお立ち寄りください!

―ありがとうございました! 今後もどんなイベントが開催されるのか楽しみですね。続いて話題の7冊を紹介します。

「黄色い家」【中央公論新社】

川上未映子 著/2,090円(税込み)

提供:中央公論新社

 17歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解(がかい)します。人はなぜ罪を犯すのか、世界が注目する作家が初めて挑む圧巻のクライム・サスペンスです。

「ぼくは古典を読み続ける」【光文社】

出口治明 著/1,760円(税込み)

提供:光文社

 「古典の何が面白いのですか?」「現代を生きる私たちの役に立つんですか?」そんな問いに答えるポジティブな読書論。脳出血で倒れた後に復帰した今、改めてその魅力を再認識している著者が5冊を通じて紹介します。古典を読むことによって得られる「人間力」や「考える力」。世界とつながる一歩を踏み出してみませんか。

「宙ごはん」【小学館】

町田そのこ 著/1,760円(税込み)

提供:小学館

 育ててくれた母のもとを離れ、産んでくれた母・花野(かの)と暮らしはじめた宙(そら)。しかし、子どもの世話をしない花野は、時々会えば楽しい人ということに気づく。宙に手を差し伸べた料理人の佐伯にパンケーキの作り方を教わり、料理が人を癒やす力をもつことに宙は気づきます。周囲の人々との交流や、家族が再生していく姿を描いた感動の一冊!

「宙ごはん」特設サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/sora/

「リスクに備える最新情報版 大学生が狙われる50の危険」【青春出版社】

三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済生活協同組合連合会・奈良由美子 著/1,100円(税込み)

提供:青春出版社

 新型コロナウイルスの流行で大きく変わった大学生活。いまどきの大学生が巻き込まれやすい「50の危険」とその予防&対応策を、マンガや図表を使って徹底解説します。“知らなかった”でせっかくの大学生活を台無しにしない、学生と親のための安全・安心マニュアル決定版! いざという時の相談窓口も掲載していて“超役立つ”一冊です。

「僕らの未来が変わる お金と生き方の教室」【学研】

池上彰(監修)/1,870円(税込み)

提供:学研

 累計65万部突破「新時代の教養シリーズ」最新刊。お金の意味、社会の仕組み、貯蓄や投資、稼ぎ方、使い方など、絶対に知っておくべき「お金」の話を物語と図で解説します。これから社会に出る若者、お金のことを知らずに大人になってしまった人にぴったりなほか、自分の人生を充実させるために何をすべきか考えられる一冊です。

「逆転美人」【双葉社】

藤崎 翔 著/836円(税込み)

提供:双葉社

 抜群の美貌のせいで、幼少期からいじめや犯罪の被害に遭い、不幸な人生を歩んできたシングルマザー。娘の学校の教師にまで襲われ、事件が大々的に報道されたことを機に、手記を出版することに。しかし、その手記には社会を震撼させる驚くべき秘密が隠されていました。ミステリー史に残る驚愕(きょうがく)のトリックが炸裂する一冊!

「『大地の再生』実践マニュアル」【農文協】

矢野智徳著・大内正伸 著(大地の再生技術研究所 編)/2,860円(税込み)

提供:農文協

 独自の自然観察をもとに提唱する新たな「土・木」施工。身近な農地、庭先、里地・里山を空気と水の浸透循環を回復することで環境を再生させる技術です。造園技師・矢野智徳氏が長年培ってきたその手法を、ふんだんなイラストと写真でわかりやすく解説します。反響が大きく、発売と同時に増刷された一冊です。

 いかがでしたか。新しい出会いの季節に向けて、新しい本を迎えては。次回もお楽しみに!

著者情報

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