公立小学校で10年以上教師をしていた冬野はなです。今回は、以前教師をしていた時に、教師間でも感心されたキャラ弁の話を紹介します。
キャラ弁賛成派ではなかった私
かわいくて色とりどりなキャラ弁の写真や作り方がネット上にたくさんアップされ、100均で道具も手軽に揃うし、お手軽に作れるようになっていますね。
実際子どもたちの中には遠足の時などにキャラ弁を作ってもらって、持ってくる子も小学生で2~3割ぐらいはいました。見せてもらったら華やかだし可愛いし、親御さんが朝早くから頑張って作っていらっしゃるのも想像できます。
しかし、私自身は教師をしている頃、キャラ弁にはあまり賛成ではありませんでした。否定もしませんが、肯定もしない。なぜなら、公立小学校には様々な家庭事情のある子が通っています。
経済的に苦しい子、親御さんが病気の子、祖父母と暮らす子、施設で暮らす子、親からの愛情を満足に受けられない子。色んな事情を抱えながら、健気に登校している子もいることを知っているので、誰もが持って来られるわけではないキャラ弁を声高らかに「賛成」とは言えませんでした。
もちろん、愛情はあるけれど、時間や体力、技術的にキャラ弁として表現できない親御さんもいらっしゃることと思います。私自身、作ってみたいとチャレンジしたことがありましたが、のりを少し切るだけでイライラしてしまい、その割に食べる時に崩れていたので、ショックで二度と作らないだろうなぁと思っています。
そんな私の立場や背景もあって、子どもたちにはキャラ弁だから、親の愛情が「ある」「ない」とは判断しないでほしいなぁと思っています。
教師が感心したキャラ弁
小学校に勤めていた頃、担任していた子たちを社会科見学に連れて行った時のことです。地域にある施設を訪れて、施設や地域の歴史などを勉強した後、公園で昼食を食べることになりました。子どもたちはそれぞれ嬉しそうに、お家から持たせてもらったお弁当箱を開けています。
教師たちはそんな子どもたちの笑顔を写真におさめて回っていました。そこに、ある一つのグループから歓声があがりました。近くにいた隣のクラスの先生が、そのグループを覗き込み、笑顔で私を手招きしてくれました。
いそいそと近づくと、女の子のお弁当が、午前中に訪れた施設のキャラクターをモチーフにしたお弁当だったのです。 周りの子どもたちも口々に、
「さっきの施設にいた○○だ!!」
「このキャラ、頭にこんなの付いてたんだね!知らなかった!」
「このキャラ、パンフレットにも載ってたよ!!」と言い、かなり食いついていました。
私は隣のクラスの先生と二人で微笑ましくその光景を眺めていました。二人で、
「社会見学に行く施設のキャラクターをキャラ弁にしようとしてくれる、その心遣いがありがたいね。子どもたちはお弁当のことも、施設のことも、ずっと良い思い出に残るだろうね。」と話しをしました。
人は興味や関心が高まることで、より意欲的に学習できますし、より定着することも期待できます。キャラ弁一つのことなのですが、そのキャラ弁から派生して、子どもの学習にも役立ったことと思います。
最後に
今までたくさんのキャラ弁を拝見してきましたが、どれもたくさんの親の愛情や思いがこもったもののように感じています。
かわいいとか、楽しみに食べてほしいとかだけでなく、こんな風に学習にもつなげてもらうお弁当の作り方があったのだなと思い、感心した体験談でした。
(ファンファン福岡公式ライター/冬野はな)