九州大好き、福岡大好き、もう住みたくて仕方ない! と熱く語るチェリスト柏木広樹さん。
この3月にピアニスト光田健一さんと「二人旅」、
そして5月には葉加瀬太郎さん、西村由紀江さんとの初のトリオ・ツアーで福岡を再訪予定。
まさに「今!」の活動を語っていただきました。
光田健一との「二人旅」今や唯一無二最強の道連れに
僕が18歳、東京芸術大学でチェロを学んでいた時、健ちゃん(光田健一氏)は作曲科に籍を置いていました。音楽的な接点は当時まったくなくて、そのうち僕は「Gクレフ」というバンドでデビュー、健ちゃんはシンガーソングライターとして活躍、あれよあれよと彼はスターダスト・レビューの活動やらなんやらでお互い猛烈に忙しくなって、何かの現場で「やぁ元気?久しぶりだね」と声を掛け合うだけの関係。
その後、大分でスターダスト・レビューと僕が務める葉加瀬太郎さんのバンドの共演機会があって、その時になんとなく存在を意識したかな。
2007年の12月に大阪でクリスマスのライブがあって、主催者からチェロとピアノのデュオでとリクエストがあったので、「そうだ健ちゃんとやってみよう!」と思いつき、連絡したらなんと偶然、彼も大阪に居ることがわかり早速合わせてみたわけ。
一曲やっての感想、お互いに「なんで今まで僕たちは一緒にやってなかったんだろう?」と思っちゃった。これが“二人旅”の始まりです。
旅を本格的に始めたのは2012年から。だから今年は11年目の旅。
健ちゃんは作曲、歌うこと、ピアノを弾くことがライフワークの柱、僕は色々なところに行って様々な人に会って(美味しいものも食べて)ライブをやりたいという、とにかくライブありきの人間なので、彼との旅は楽しくて仕方ない。
二人旅の曲はすべて二人の共作。僕が最初に思いついたメロディやアイディアを健ちゃんが素晴らしく仕上げてくれる。
光田健一は音楽に「光」や「希望」を込める天才
彼の魅力ですか?
音楽ってジャンルがあって、かっこいいロックとかお洒落なジャズとか、素敵なクラシック音楽とか色々あるでしょ? たぶん僕にとって、「光田健一」は一つのジャンルなんですよ。琴線に触れる音楽を常に創っている。
人間の心って調子いい時も弱っている時も色々あるじゃないですか。健ちゃんは弱っている時に「明日は大丈夫だよ!」って音楽を創ってくる。
僕が曲を書くと弱っている時はどんどん暗くなるからね。(笑)
去年書いたバラードを聴いた健ちゃんは「なんでこんなに暗いの?」と言うので「仕方ないよ、ウクライナはこんなことになっちゃうし、世界情勢とか考えたら明るい曲なんか浮かばない」と。そこに光田健一は「光」とか「希望」を感じさせる要素を入れてくるんです。
音楽を人間がなぜ必要とするのか。音楽があったら少しばかり笑顔になれるよね、救われるよね、みたいなことが音符になって譜面に書かれてくる。
だから歌いやすいし、心を込められる。
自分が書いたつらいメロディに健ちゃんの手が入ると弾いている側も救われる気分になります。
音楽ってリアルだけど、そうじゃない部分もあって、やっぱり夢とかファンタジーがあるわけ。彼はそんなことを創り出す天才だと思うな。
Duo Live Tour 2023 二人旅が始まりました。
今回九州は3月12日(日)宮崎公演を皮切りに鹿児島、熊本、大分、長崎、そして最後に3月19日(日)に福岡へ伺います。すでに1月より愛媛、山口、広島公演をやってみて新たな手ごたえは感じています。
僕らはツアーを続けていく中で、曲が持っている意味合いやライブの意義、ストーリーは変わらないので、これをとことん追求してひたすら磨いていく。これが性に合っているんですね。
お客さんと一緒に思いっきり笑って、心地よい音楽に包まれる時間にしていくので是非一人でも多くの方に聴いて欲しい!
葉加瀬太郎・西村由紀江とのトリオ・プロジェクトもいよいよ始動開始!
そして、この5月7日(日)には葉加瀬太郎さん、西村由紀江さんのトリオ・ツアーで再び福岡に戻ってきます。
このトリオは新しいプロジェクトで、5年前から軽井沢の大賀ホールや八ヶ岳高原音楽堂で何度か公演をやらせてもらい、レコーディングもしました。初のアルバム「Adagio」を今月リリースします。3人それぞれの代表曲をぎゅっとまとめて、この5年間で切磋琢磨して温めてきた音楽を入れています。
毎年、葉加瀬太郎さんの秋冬ツアーは彼がセンターで、バイオリンが一番かっこよく聞こえること、見えることが重要だけど、ピアノ・トリオは3人が対等でなくては成立しないんですよ。音楽を創っていく上で、もう会話の仕方そのものが違う。それは太郎(葉加瀬氏)が一番感じていると思う。
バンドは太郎がやりたいことをみんなが支えるけれど、トリオはそれぞれの解釈や考えを徹底的にぶつけ合い、喧々諤々やり合いながら3人で一つの音楽を創り上げていくんです。
彼にしてみれば、学生時代に戻ったような気分かも。
ピアノ・トリオってある意味、最小のオーケストラと言ってもいいかもしれない。
ミニマムな音楽の幅が広がる編成とも言えるかな。太郎いわく、なにせ民主主義が成立する最小人数だからね。2:1という。(笑)
福岡滞在は万全の体制(体調?)で臨みますよ。
昼ごはんは「真」で焼き鯖定食か、「ひらお」の天ぷらか...(笑)
極力行列を回避して綿密にスケジューリング、目一杯楽しませてもらいます。
そして音楽でライブにいらしてくださったみなさんに必ず笑顔で帰っていただきます!
楽しみにしていてください。
(聞き手 樋口洋子)