「人生は問いを立てて自分と向き合うこと」株式会社コテンのヤンヤンさんがコテンで働く理由に迫る!

コテンラジオで人気の「株式会社コテン」のメンバーを追う「コテンリレー」。第二回目は、コテンラジオにも出演している株式会社コテン・広報のヤンヤンこと楊睿之さん。中国と日本を行き来するヤンヤンさんの中で芽生えた生き方、働き方に、今回も大学生ライター・砂畑君が迫ります。

出典:フクリパ

「僕は違和感と誠実に向き合っていくことが働くことであって、人生を過ごしていくことであると考えています。自分とは何かという問いを立て続けることで道が開けていくような気がしています」 1時間の取材の中で特に印象に残ったのは、働いていくうえで、生きていくうえで大切にしていることはなんですか?という質問に対する楊睿之(通称:ヤンヤン)さんのこのお話しでした。 コテンリレー第二弾は、株式会社コテンの広報として活躍されながら、コテンラジオのパーソナリティも勤めていらっしゃるヤンヤンさんにお話を聞きました。

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目次

違和感と向き合いながら築いてきたキャリア

小学校4年生まで中国で教育を受け、その後、お父様のお仕事の関係で、福岡で過ごすようになったヤンヤンさん。 九州大学文学部人文学科の比較宗教学研究室で就活生を対象にフィールドワークしていたヤンヤンさんは、もともと高校では理系だったそうです。理系に進んだ理由は、漠然と就活に有利そうだから、カッコイイからというように、主体性のある判断ではなかったとヤンヤンさんは言います。 ただ、理系の勉強が好きだったわけではなかったようで、九州大学の理系学部への進学を試みますが不合格。一年間浪人をして文学部に入学したそうです。 ヤンヤン 「今振り返ると、文転という判断は自分にとってとても大きいものだったと思います。文転をするというのは自分にとって”逃げだ、恥ずかしいことだ”という罪悪感があったんですね。それまでは、理系に対する漠然としたイメージに囚われてキャリアを形成しようと思っていましたが、“違和感のある環境”で出せるエネルギーに限界を感じていたんです。 そこで初めて“違和感のある環境”から抜け出して、自分が自然にエネルギーを出せる環境に移るアクションを起こしました。それまでの自分は、人生に対してあまり主体的な思考は持っていない節がありましたので、文転する覚悟を持ったというのは大きな出来事だったと思います。」 ご自身が違和感なく自然にエネルギーを発揮できる環境で過ごすには、自分の属性を吟味して、自分の属性に紐づいた価値観を正確に捉えることが重要なようです。

そのお考えは大学生以降のヤンヤンさんのキャリア形成に大きく影響していきます。 大学4年生になり、周りの友人たちがスーツに身を包み、就活の情報を交換し出した時期にヤンヤンさんも企業説明会に一度だけ参加したそうです。 ヤンヤン 「一度だけ企業説明会に参加して感じたのは、組織に属する自身のイメージへの本能的な拒絶でした。自分が組織に入って働くことをイメージできませんでしたし、サラリーマンになる覚悟もなかったので就職活動を諦めたんです。ただ、時間は過ぎていくわけですから大学院に進んでモラトリアムを確保しようと考えました。 ちょうどその頃に、中国で自営業をしている家族から、農業事業を始めるから手伝って欲しいと言われ、ほかに取り立ててやりたいこともなかったので、結局中国に戻ることにしたんです。」 大学院には進まず、ご家族が経営されている会社で農業を始めたヤンヤンさん。経営に関わりつつ、現場農場でのお仕事をされていたそうです。このお仕事に関しては、組織に属しているという感じではなく、事業に参画するという感触を持っていたようで、違和感はなかったようです。 7年ほど農業をしていたヤンヤンさんですが、諸事情で福岡に戻ることになります。 まずはご自身で稼いで食べていかねばいけない状況の中、一度はサラリーマンを経験して社会常識を身につけたいという思いもあって、環境系のコンサルティング会社に就職しました。

ヤンヤン 「サラリーマンとして働いてみて、もちろんたくさんのことを学ばせてもらいました。ただ、組織に属するという面だけでいうと、やはり自分が就活をしないという判断をした時のように、組織に属することは自分に向いていないと実感しました。 あえて、“普通の人”という言葉を使ってお話ししますが、普通の人は違和感に対して我慢する力や、違和感をなくすための努力に長けているように思えます。これはとても凄いスキルやマインドだと思うんです。しかし、僕自身は違和感に対する許容範囲がとても少ないということが実際に社会人になってみて初めて分かったんです。 もちろん、自分が持った違和感の解消を100%優先してわがままを貫き通すことはできませんし、望まない環境に対する忍耐も時には必要でしょう。だから僕がしたのは、人や社会との関係から自分の立ち位置というものを判断して、そのバランスを取りながら違和感に向き合うことでした。違和感を無視せずに、誠実に向き合い、問いを立てながら自身を掘り下げ、違和感との付き合い方を主体的に選択していく。この作業は僕にとって働くことの中に含まれているものです。」

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自分の存在を認めるきっかけとなった“歴史”

大学進学時から、その後のキャリア選択においても、ご自身に問いを立て続け、自分の属性を明確にしてきたヤンヤンさん。 違和感に対する許容範囲が狭いというお話がありましたが、それは組織に関するものだけではなかったとヤンヤンさんは言います。 ヤンヤン 「ちょうど中国で農家をしてから日本に戻ってきたあたりに、自分のアイデンティティを失いかけていたことがあったんです。というのも、自分は中国人でありながら、日本に長く住んでいて、日本に友人がいて、日本のことが好き。一体自分は何人なのかと激しい矛盾を感じていたんです。」 もちろん日本で生まれ日本で過ごす人にとっては、国を跨いだアイデンティティクライシスというものを感じることはできません。しかし、育った環境や幼い頃に受けた教育と今の自分にギャップを感じることはあると思います。 僕自身を振り返ると、中学校から始め、高校は強豪校で活動をしていた吹奏楽において、自分の人生に矛盾を感じたことがあります。というのも、高校生の頃は音楽大学に進みプロのユーフォニアム奏者になるんだと意気込んで毎日活動していましたが、学費の関係や高校のカリキュラムの関係で進学ができないと分かったときにアイデンティティの喪失に近いものを感じました。 高校時代は学業よりも楽器の練習に時間を費やしていたので、卒業後に自分の武器だと思っていたものがなくなるというのは、将来に対する不安や少しの自己否定を生みました。 ただ、音楽は自分が演奏しなくても参加することができるし、日常から消えるものじゃないと、プレイヤーからリスナーになって初めて感じました。それからは、音楽とはこれまでと違う付き合い方をしているような感覚はありつつも、自分のアイデンティティの一つとなって僕を支えてくれているように思います。 僕もそうだったように、自分が持った違和感と誠実に向き合うことで大きな悩みが生まれることもありますが、問いを立て続けることで、自分を救うきっかけにもなるとヤンヤンさんのお話から感じました。

国を跨いだアイデンティティクライシスを感じたヤンヤンさんを救ったのは、小学生の頃から興味を持っていた歴史だったそうです。 ヤンヤン 「ちょうど中国から福岡に戻ってきたときに知り合いに誘われて日本史の講演会に行ったんです。そのときに日本史の感動的なお話をしてくださって、僕は泣いたんです。こんなに偉人の生き方っていうのは美しいんだという風に感銘を受けたんですね。 そのときの僕は、日本史上の偉人の話を聞いて感動している自分を素直に受け止めることができたんです。これは自分にとって大切な出来事で、“ああ、日本の偉人に対しても感動して泣ける自分こそが真実なんだ”と思ったんです。だからこそ、“僕は日本が好きな中国人でいいんだ”とやっと自分を認めることができました。なので、僕にとって歴史というのは自分自身を認め、受け止めてくれる存在でした。」 現在は自身を救ってくれたという歴史をコンテンツに活動されていますが、意図的にコンテンツ化しているわけではないとも話してくださいました。 ヤンヤン 「歴史が好きで勉強したいと思う人は、どんどん学びを深めていけばいいと思うし、興味を持てない人は無理して歴史を勉強する必要はないんです。歴史を知らなくても生きていけますしね。 僕の場合、歴史というのは自分を認めるキッカケを作ってくれたものだし、それを深井くんと共有し合うことが好きなだけです。誰かに先生面して何かを教えてあげるために歴史コンテンツを作っている感覚はないですね。自分の人生に大きな潤いを与えてくれた歴史を仲間と共に楽しく学び、それが結果的に誰か第三者に伝わればいいかなと思います。」

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コテンで自分に正直に働くということ

違和感と誠実に向き合うことで見えてきた自分という人間と、自身を救ってくれた歴史と共にコテンラジオのパーソナリティとしてご活躍されているヤンヤンさん。 そもそも株式会社コテンさんにジョインしたきっかけについてお聞きしました。 ヤンヤン 「友人に誘われて参加した飲み会にたまたま深井くんがいたんですね。当時の彼は、飲み会の席で歴史データベースのプランを持ってプレゼンして回っていました。 深井くんと僕は同じ大学、研究室も隣同士だったので顔は見たことあったくらいで、話したこともなかったんですね。ただ、深井くんが僕のことを覚えていてくれて、同じ歴史好きということもあってコテンの事業に参画することになったんです。」 事業に参画するという形でコテンと関わりを持っているヤンヤンさんですが、組織に属することは向いていないという性質から感じることはありますかと尋ねてみました。 ヤンヤン 「これまでの組織の属し方と違うので、先に話したような組織に属することの本能的な嫌悪感はありません。もちろん歴史が好きでそれを仕事にできているから楽しいですし、何よりも深井くんと一緒に仕事をできることが楽しいんです。 そして深井くんは稀にみる天才肌の人物です。もちろんビジネス面において優秀な人材であることが天才だと言える要因の一つでもあるんですが、生き物として興味深いんですよね。一緒にいて飽きないし、ワクワクするし、面白い。 人目を惹く独特な「尖り」が深井くんにはあるんです。参画しているスタートアップ企業の事業をバリバリ推し進めているかと思えば、僕やコテンのメンバーのような、 “普通に社会へ適応することが苦手な人たち”に対しても細やかなマネジメントを行ってくれるんです。お陰で僕たちは無理しない自然な状態でも、ベストに近いパフォーマンスを楽しみながら出せているように感じます。」 深井さんと共に働くことに楽しさを感じ、また歴史を扱うことにも楽しさを感じながら働くことができているというヤンヤンさん。

最後に、コテンラジオやデータベース、そしてヤンヤンさん個人のこれからの展望についてお聞きしました。 ヤンヤン 「コテンラジオを通じて、私たちが作ろうとしている歴史情報データベースの認知が広まり、応援も頂けるようになりました。これは本当にありがたいことです。データベースについて、なにせ新しいものを作るわけですから、完成まであと数年を見込んでいます。現在少しずつ開発が進んでいます。 ただ、私たち自身がコテンでの活動を通じて世の中に与えられる本質があるとすれば、それは“自分にとって一番エネルギーを自然に出せることをやる価値”ではないかなと思います。僕にとって違和感なく自然にエネルギーを出すには、自分へ問いを立て続けることが重要だし、違和感と向き合うことが大切だったんです。そんな僕の姿を見て、少しだけでも勇気を感じてくれたらいいなと思います。」

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ヤンヤンさんのお話を伺って

ヤンヤンさんのお話をうかがって一番印象に残ったのは、冒頭にも書いた「自身が持つ違和感と誠実に向き合って、自分とは何かを問い続けることが重要」というお話です。 人は皆、抱える違和感というものは大なり小なりあるものです。 しかし、ヤンヤンさんが言ったように”普通の人”はその違和感を我慢したり、どうにか改善しようと努力したりします。つまり”違和感に正直であること”は世の中的に賞賛されることではないというのも事実です。これはヤンヤンさんの、「自分たちは上から何かを与えているような存在ではない」というお話からも読み取れます。 ヤンヤンさんは違和感から目を背けずに、誠実に向き合う自分は凄いということを伝えたかった訳ではないと思います。 「違和感を我慢することに疲れた人や、思い悩んでいる人は無理しなくたっていいんだ」「ヤンヤンさんは違和感と向き合うことで人生の本質を捉えることができて今幸せに活動している」という事実が誰かに勇気を与えられたらという思いでお話ししてくれたように思えます。 つまり、“普通の人”になりきることでも、違和感だけを頼りに生きていくことでもなく、自分は何者なのかという問いを立て続けることが重要であると思いました。自分を正確に知り、自分の人生が幸せになる道を開いていくことだって間違いではないし、ヤンヤンさんはそうやって今を生きていらっしゃることが何よりも後押しになってくれる気がします。 僕個人としても、自分が感じていた社会との違和感を大切にしてもいいんだと、勇気をいただくことができたヤンヤンさんのお話でした。 また、本来であれば世の中に対して持った疑問や違和感を追求することは、社会的淘汰に繋がりやすいものだと考えます。 しかし、ヤンヤンさん含め株式会社コテンの方々は、問いを立て続け、生きることや働くことの本質に迫り続けています。 つまり、人間もしくは法人格として持った違和感に対して誠実に向き合うことや、問いを立て続けることが株式会社コテンの方々にとって当たり前であって、その中の一つのアウトプットとして、理念経営を行なっているのではないかと感じました。

これまで働く人々は違和感を押し殺し、時間と労力を企業や社会に与えてきました。そして会社は、経営理念を持って、理念を達成するべく活動してきました。 株式会社コテンは理念経営をしているという点では”当たり前のことをしているだけ”の企業に過ぎないのかもしれません。 しかし、株式会社コテンで働く方々の生き方、働き方はこれまでとは違います。違和感を無視せずに向き合う、人生や働くことに問いを立て続ける、そんな方々が理念経営をしていることこそがNew Typeであると感じました。 ヤンヤンさんがお話ししてくださったように、人生や働き方に疑問を持つこと、生きていて、働いていて得た違和感と向き合うことがこれからの社会に対応していく術の一つであると思います。 これからは何も考えずに時間と労力を企業や社会に与え続ける行為自体が、社会から淘汰されていくのではないか、そして問いを立て続けることが一人間として生きていく上での楽しさと充実につながるのではないかと感じました。 文=砂畑龍太郎

https://www.youtube.com/watch?v=aqFOpBWfEec

                     *** これからもフクリパでは株式会社コテンのメンバーの方々へインタビューをしていきます!

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