働いていれば、人間関係のこじれも、会社への不満もあります。でも、それをつぶやいたSNSが上司に見られていたら…。以前働いていた会社で起こった、こわ~いエピソードを、ネットの時代だからこそ気をつけたい教訓として、ご紹介します。
人手不足の会社で、焦って採用
前職は、社員20人弱の小さな会社でかなりの「ブラック企業」。創業者の娘が社長を務める、いわゆる「同族経営」で、社長の“気まぐれ”に付き合いきれなくなった人間が順番に辞めていくため、常に人手不足の状態だったのです。
私は企画、同僚のKさんは顧客担当と部署は違いました。ですが、人の出入りが多い会社の中では歴も長く、重要なポジションを任せられるようになっていたため、お互い「やりがい」を頼りに、励ましあってきました。
そんな中、Kさんの部署は一気に2人の社員が退職することになり、残されるのはKさんとパートさんのみという状況に。どうにか退職日までに新しい人材を入れねばと、社長とKさんで必死に求人を進めていました。
いざ面接の場になると、饒舌になる社長。漏れ聞こえる従業員ですら「あれ? この会社、大丈夫?」と感じるような話を、社長自らしてしまうクセがあったのです。
たとえば、1年間で2カ月に1人が退職していることを「記録更新中」と笑い話にしてしまう。それどころか、退職していった人の批判を、まだ会社の全貌を何も知らない人に話してしまうことも…。
これが原因だと社長は気づいていませんでしたが、好印象だった人ほど「都合がつかず」「もう一社受けていたほうに決めてしまい」と、お断りされるケースが続きました。
なかなか決まらない上に、幾度となく“フラれた”経験が、アダになったのかもしれません。履歴書では一度不採用にしていたはずが、面接で「明日から出社できます」と答えたMさんを採用してしまったのです。
有能と勘違いしたモンスターの誕生
Mさんの入社初日。
社長が退職者が続出してるなど会社の醜態を披露したあと、
「でも、そんな中、あなたが入ってきてくれてうれしい。あなたは、200人の応募から選ばれた逸材です!」と。このひと言が、Mさんをモンスターにしてしまいました。
ちなみに、200人は「求人ページを閲覧した」と表示された人数。なぜか「200人も応募があった」と、社長の中で誤変換されていました…。
Mさんの異変に気づいたのは、Kさんです。所属長として仕事の指示をする中で、どことなく感じる「生意気」な印象。そして、入社数カ月で「権利」や「法律」という言葉を使って、物申してくる…。
Kさんも相当イライラしていたのでしょうね。普段の言動や好きなものから、MさんのTwitterアカウントを突き止めてしまったのです。
Twitterを見てしまった
パンドラの箱を開けてしまったKさん。さっそく自分が「カス先輩」「クズ女」と言われていることを発見しましたが、もっと困ったのは、仕事のミスを書き込んでいること。
【金額1ケタ違っていたけど、カス先輩にバレる前にリカバーした。有能すぎる】
【税理士さんからミスの連絡があったけど、クズ女が休憩中だったからすぐに対応。私ってえらい】
社内の極秘情報をつぶやいているわけではないので、アカウントを知っていることは、本人には伝わっていません。ただ、上司であるKさんに報告や相談をせず、自分で関係先に連絡をとり、それをTwitterに書き込むという所業に、もはや呆れ気味のKさんです。
また、Mさんは他にも仕事中にトイレにこもってゲームをしていたこと、社長からの電話に「話が長くて何を言っているかわからない。頭が悪すぎる」という批判、毎月の生理の日程、自分の性癖など、ありとあらゆる情報が筒抜けに…。
このアカウントの存在は社長も知っていて、悪口を書き込まれるたび「見た!?」とKさんに鼻息荒く連絡があります。
しかし、ワンマンだった創業者が社員に訴えられた過去があり、「訴えられたら嫌だから、この件はKさんに任せる」と放置…。
私は一足先に退職しましたが、今日も何食わぬ顔でTwitterに書き込むMさんと、それを確認しながら転職の準備を進めているKさんが隣り合わせのデスクで仕事中です。
(ファンファン福岡公式ライター/ふわずみ みか)