20代からアーリーリタイアする時代へ。サイドFIREして生きるために働くことをやめる脱お金計画

お金のために働くことから脱する「脱お金計画」。今回の筆者であるアブローダーさんは、以前より「福岡で月8万円のミニマル生活をしながら、やりたいことにお金と時間を投資する話」や「アブローダーが起業を振り返る!“独立してよかった100のこと”」の記事で、生きるために働くことをやめ、やりたいことを仕事にしながら豊かに暮らそうという話をまとめてきました。今回は、よりお金に縛られない生き方として、今話題の早期リタイアする「FIRE」ムーブメントの話をします。

出典:フクリパ
目次

アメリカでは早期リタイアが流行り?

実は今、早期リタイアする「FIRE」という言葉が話題になっています。FIREとは ”Financial Independence Retire Early” の略です。意訳すると「金銭的に独立して早期リタイアすること」。もっとざっくりいうと「一生の生活に必要なお金を貯めて、若いうちにムダな仕事をやめてリタイアしよう」というムーブメントです。 日本で「早期リタイア」と聞くと、50代、60代での定年をイメージしがちです。僕自身「リタイアなんて遠い先の話」だと思っていました。ただ、FIREに関する本をいくつか読んでみると、アメリカをはじめ世界では「FIRE」という早期リタイアを実行している若い人たちがいることを知ったのです。

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アメリカでブームになっているFIREは、より早く30代や40代にリタイアするイメージです。若いうちにバリバリ働いて、生涯に必要なお金を稼ぎ尽くして、早々に仕事を辞める人がいます。生きるために必要なお金を持っておけば、リタイア後にお金の心配をする必要がなくなります。生活に必要なお金は既にあるため、少なくとも生きるための生活費を稼ぐために「嫌々仕事をすること」がなくなるというのです。 海外には30代で早期リタイアをしている人たちもいます。その人たちがどうやってそのステージにたどり着いたのか単純に興味がわきました。「どうやって生涯資金を貯めたのか?」「果たして本当に幸せなのか?」を知るために本を読みました。 日本で翻訳出版されているFIRE関連の本を見つかる限り全て読みました。「FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド」や「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」、日本人で早期リタイアしている方の「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法」など、日本語に翻訳されているこれらの本は「全米で話題」となったり、「ニューヨークタイムズやCNBC」などが多数取り上げたものです。 日本よりも早期退職が進んでいるアメリカの情報を知るため、当時Amazonで「FIRE」検索して該当した本を片っ端から読みました。これらの翻訳本や実際にFIREした人の本を読むと面白いことがわかってきました。

どうすれば早期リタイアできる?

早期リタイアしている人たちの共通点は、サラリーマンとして堅実に働きながら副業や投資をして資産を増やしていることでした。みんなバリバリ働いてしっかり貯蓄して投資して増やしていたわけです。 ただ、そもそも「若いうちにバリバリ働いて、生涯に必要なお金を稼ぎ尽くす」といっても漠然としすぎています。より具体的にイメージするためにシュミレーションしてみました。

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例えば、日本人が一生涯に働いて稼ぐお金は2億円程度だといわれています。国税庁の「民間年収調査」によると、2019年の日本の平均年収は436万円でした。仮に20歳から65歳ごろまで約45年働いたとすると45年で約2億円になります。そこから税金が引かれて手取りは1億円ちょっとになります。要は、「生活に必要なお金」である1億円ちょっとの金額をできるだけ早く貯蓄して、資産運用をして早期リタイアするという話です。 早期リタイア生活するという考え方を知ったとき「へー、こんな生き方もあるのか」と他人事でした。たしかに、今の時代であれば、サラリーマンでも自分で副業ビジネスをすれば数億円程度の収入を作ることができます。ただ、必要なお金を稼ぐことはできたとしても、リタイアして面白いのかという疑問がありました。 そもそもリタイアした後、何を楽しみに生きていくのか気になりました。ただ、僕の周りに既にFIREした人はいませんでした。そこで、そもそもリタイアするとどんな生活になるのか観察することにしました。

世界最先端の地域を観察

日本は世界で最も長寿な国として有名です。厚生労働省のデータを見ると2020年、100歳以上の日本人は8万人以上もいる長寿国として世界を驚かせています。なかでも秋田は世界最先端の街です。長寿の国として世界最前線をいく日本のなかでも、最も高齢化しているのが秋田県です。総務省が発表した2019年の人口推計によると秋田県の高齢化率は37.2%と全国で最も高いです。平均年齢は52歳。さらに秋田県人口の半分が50歳を超えているほど成熟しており、3分の1以上が65歳を超えている地域です。

出典:フクリパ

要するに、日本で一番高齢化が進む秋田県は、世界の超高齢化社会の最先端にいるわけです。ちょうどこの地域で仕事をする機会があったため、秋田を観察してきました。実際に訪れてみるとわかりますが、街ですれ違う高齢者の数が多い印象を受けました。さらに秋田駅周辺こそ商業施設が充実して賑やかなものの、少し街を歩けば閑散としています。福岡でいう中洲に似た場所である秋田の川反は、かつて東北でも有名な歓楽街でした。ただ、今はこの場所も衰退しているように感じました。

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福岡でも言えることですが、公共の図書館や銭湯施設には、たくさんのお年寄りが集まっています。理由は、無料で本が読めたり、コスパよく長時間滞在できる場所だからだそう。リタイアしたからといって、退職金を全て使ってしまえば生活ができなくなります。だからこそ、あまりお金のかからない趣味を楽しまれているようでした。

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完全にリタイアしてもすることがないのでは?

仕事を定年して余生を過ごすといっても「やりたいこと」がなければ暇になるだけです。僕自身、早期リタイアして完全に仕事を辞めてもすることはありません。せいぜい、ぽやーっと毎日散歩して、美味しいモノを食べに行く程度くらいのイメージしか湧きませんでした。 例えるなら「小学生の夏休み」みたいなものです。夏休みになったばかりの頃は、毎日自由で楽しいものの、1週間も休めば、友達に会いたくなってきます。完全にリタイアするとあの感覚に近い「物足りなさ」を感じるようです。 だからこそ、僕は「サイドFIRE」という選択をしました。「生きるために働くこと」は辞め、「やりたい仕事は続ける」というスタンスです。こうすれば、適度に社会との関わりを持ちつつ、自由な時間を過ごすことができます。「リタイアしてすることがなさすぎる」という暇な時間がなくなるわけです。 結局、20代でFIREしたところで、残りの60年の人生ですることがなくなってしまうかもしれません。早期リタイアが流行りつつあるなか、全くやりたいことがなければ人生がムダになります。

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「サクセスフル・エイジング 老いない人生の作り方」の著者、ダニエル・J・レビティンさんは適切な引退のタイミングをこのように述べています。「引退するのに理想的な年齢は?いえ、絶対に引退してはいけません。たとえ体に障害があっても、職業としてでもボランティアとしてでも、働き続けるのが一番です。」と。要は、何歳になっても「やりたいこと」を仕事にしつつ、楽しみながら「働き続けること」が長寿の秘訣にもなるといいます。 だからこそ、働くことは辞めず、適度に仕事をするサイドFIREはありです。生活のために働くことは卒業し、自分の「やりたいこと」を仕事にする。これがサイドFIREと呼ばれるやりたい仕事を中心にする生き方です。

やりたいことを経験する積み重ね

生活をするためにも「お金」は絶対必要です。ただし、闇雲にお金のためだけに働きすぎて身体を壊すのはもったいないです。前回の記事「脱お金生活のための資産運用術。20歳台から始める遊びを仕事にする働き方」でもお話したように「遊びを仕事にする」のはありです。生活費を稼ぐことをやめ、やりたい遊びを仕事にするステージにいけば、より面白くなります。 「もし明日、人生が終わるとすれば、あなたは後悔するか?」という質問をされたとしたら、あなたは何を感じますか。「これやっておけばよかった」「あれやりたかった」と後悔するでしょうか。「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」の著者、ビル・パーキンスさんは『大切なのは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまず金を使うことだ』と述べられています。 さらに『あなたが誰であるかは、毎日、毎週、毎月、毎年、さらには一生に一度の経験の合計によって決まる。 最後に振り返ったとき、その合計された経験の豊かさが、どれだけ充実した人生を送ったかを測る物差しによる』という話を述べられています。要は、仕事ややりたいこと、遊びという経験の積み重ねがその人の人生になります。人生最後の瞬間に後悔するよりも、あらゆる経験を積み重ねて幸せに思える方が断然いいです。

20代からサイドFIREしてやりたいことをする

20代から早期リタイアをするとより人生が面白くなります。若いうちに生活に必要なお金をつくり、やりたいことを仕事にするサイドFIREをすることで、より人生を豊かに過ごせるわけです。

出典:フクリパ

FIREという早期リタイアを調べてみた結果、あらゆる経験をすることが長寿の秘訣にもなるし、幸福度を高めることもわかりました。「生きるために働くステージ」から脱却し、早々に「やりたいことをしながら働くステージ」にジャンプアップする方が人生楽しく長生きできそうです。 結局、みんな誰しも死にます。これまでの人類で123歳以上生きたという人は記録に残っていません。限られた人生だからこそ、人生を振り返ったとき「働きすぎた」とか「もっと大切な人たちとの時間に使えばよかった」と後悔するのはもったいないです。人生を後悔しないためにも、自分の働き方を考え直す時間は必要です。

福岡でサイドFIREをやると考えた場合のポテンシャル

サイドFIREを実行するなら、福岡で生活するのはありです。以前、「僕が田舎を出て、福岡に出稼ぎ移住した4つの理由」の記事で書かせてもらったように、福岡市は生活しやすいです。 具体的には、東京に比べて家賃がコスパよく、物価も安いです。地方都市であるため街が発展しており、商業施設や交通機関も整っています。

合わせて

また最近ではコロナの影響もあり、リモートワークやテレワークが浸透し始めてきました。ネット環境が整っている場所であれば、どこででも仕事ができるようになったため、東京ではなく地方に移り住む人も増えました。「生活コスト」がリーズナブルな地方で生活することで、貯金を増やす人も増えているようです。 個人的に、福岡は最も住みやすい都道府県だと思っています。サイドFIREをやると考えた場合のポテンシャルを見ても高いです。また、リモートワークやテレワークの拠点としても最高の場所です。そして、今後パンデミックが終息した未来には、アジアに最も近い地方都市としてのポテンシャルもあります。近い将来、福岡が「アジアのハブ」になるくらい将来性のある都市です。 文=アブローダー

参考書籍

・FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド ・FIRE 最速で経済的自立を実現する方法 ・本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法 ・サクセスフル・エイジング 老いない人生の作り方 ・DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

元記事はコチラ

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

成長する地方都市 #福岡 のリアルな姿を届けます。福岡のまちやひと、ビジネス、経済に焦点をあて、多彩なライター陣が独自の視点で深掘り。 「フクリパ」は「FUKUOKA leap up」の略。 福岡で起こっている、現象を知り、未来を想像し、思いをめぐらせる。 飛躍するまちの姿を感じることができると思います。 https://fukuoka-leapup.jp

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