弟が生まれて、それまで自分に集まっていた注目が一気にうばわれてしまった長男。子どもが怒ったりすねたりするきっかけは、親にもわかりにくいものです。ある日、長男が静かに怒っていた、まさかの理由とは…? わが家の爆笑体験談です。
わが家の王様だった長男
わが家は2人兄弟。これは長男が6歳、次男が生まれたばかりの時のお話です。 第一子と第二子の年が離れていることもあり、一人っ子期間が長かった長男。
夫婦両家の初孫だったので、どこに行ってもちやほやされて、常に注目されていました。自分以外の子に話題をとられたり、話をさえぎられる事なんてほぼなく、大人たちの興味を独占状態だったのです。
しかし弟が生まれた後は、どうしても赤ちゃんに話題がいきがちになってしまう日々が始まるのでした。
きっかけは、まさかの一言
まだ新生児だった次男。おむつ替えやら授乳やら、お世話する事が沢山です。
その日も、盛大にウ〇チをしていたので、てんやわんやでオムツ替えに追われていると、それまで静かにテレビを見ていた長男が
「ねえおかあさん、今の僕のおなら聞こえた?」とまるで(私がおならの音を聞いていたのが)当たり前のように聞いてくるではありませんか!
長男の顔を見ると、「確認程度だけど、念のためね!」とでも言いたげな表情です。正直それどころはなかった私は、冷たくならないよう普段通りの口調で
「えっ? 聞こえなかったよ」と軽く返事をしました。
涙を浮かべながら怒る長男
その対応で間違いはなかったと信じていた私。
無事に次男のオムツ替えが終わり、5分ほど経った後に、
「ふう、大変だった~。ところで何のテレビ見てるの?」と話しかけると… バッチリ私を無視する長男。
そこで初めて、長男が不機嫌なことに気がつきました。
始めは眠いのかと思っていましたが、段々とぐずりだし、両手両足をバタバタとしながら怒って手に負えない状況に! 見ると、うっすら涙まで浮かべているではありませんか。
「ねえどうしたの? 何で怒っているの?」と聞くと
「おかあさんが、僕のおなら聞いててくれなかったからだよ!」と涙声で明かす長男。
予想外の理由に、申し訳ないというよりもまず驚きました。
そんなにおならの音を聞いてほしければ、屁をこく前に「今からこきます」と宣言するか、聞こえるほどの大きなおならをしてよね… と思い笑いそうになりましたが、長男にはしっかりと真面目なふりを装って
「おかあさんが、おならを聞いていなくてごめんなさい」と謝罪しました 。
長男からの返事は特にありませんでしたが、すでに涙は無く、納得したような顔をしています。そして、けろっ機嫌が直ると、何事もなかったようにテレビを見始めたのでした。
それにしても、「わが家のこの会話、一体なんなんだ!」と、その場ではどうにか長男の機嫌をなだめたいと必死に対応していましたが、後から思い出すと笑いが止まらなかったのでした。
上の子のケアはしっかりと
「下の子が生まれたら、上の子の心のケアはしっかりと」。育児書やネットの体験談を読んで十分に理解していたと思っていた私。
しかし、おならの音まで聞き耳を立てなければならないとは予想外でした。「これからは、長男の発する音は例えおならであっても真剣に耳をかたむけるべきだ!」と思うきっかけとなりました。
その甲斐あってか、現在7歳になった長男は、「弟だけ注目されているのではなく、自分もしっかり見られている」という安心感が出てきたようです。今日も元気に、発言もおならもしている長男なのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / きまこ)