飾り山笠で街を元気に!【博多祇園山笠2021ガイド】

 病魔や天災、不景気に負けず、福岡に元気を! そんな思いを込めた博多祇園山笠の飾り山笠(やま)が2年ぶりに福岡の街にお目見えします。公開期間は、7月1日(木)~15日(木)早朝。櫛田神社(博多区)をはじめ、福岡市内12カ所に華やかな姿が出現します。

出典:西日本新聞社
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今年の実施について教えて!<博多祇園山笠振興会 会長 武田忠也さんに聞きました>

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

12カ所に飾り山笠、提灯(ちょうちん)も出現

 2020年夏はコロナ禍の中、博多祇園山笠の行事は全て延期され、飾り山笠1台が櫛田神社に奉納されただけでした。行事延期は理解できるものの「夏を迎えた気がしない」「なんだかさみしい」といった声も聞かれました。  博多祇園山笠振興会の武田忠也会長は「今年も期限ギリギリまで実施を検討しましたが、舁(か)き山笠行事は難しいという結論に。一方、感染拡大予防ガイドラインに沿って飾り山笠奉納を安全に執り行います。華麗で美しい姿を見て、博多の夏を感じてください。櫛田神社横の土居通り沿いには提灯を飾り、街に元気を灯します」と話します。

出典:西日本新聞トップクリエ

病魔を退けみんなの心を一つに

 山笠の起源は、病魔退散の儀式だったともいわれます。特に今回の標題(テーマ)には、「国師泰平を祈願(こくしたいへいをきがん)」(博多駅商店連合会)や「猛将才蔵去退病(もうしょうさいぞうやまいもしりぞける)」(ソラリア)など、その願いが強く現れています。  「“来年こそは”という平穏への希望も表現しています。飾り山笠に込められた思いは、皆さんの心を一つにする役目も果たすのではないでしょうか」

2021年 飾り山笠MAP

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3密を避けマスク着用で観覧を

 武田会長は「3密を避け、振興会が準備した感染対策パネルを確認された上、安全に観覧してください」と観覧マナーを呼び掛けます。長時間滞在による感染リスクの高まりを防ぐため、今年は観覧者用の椅子やばんこ(木製の腰掛け)は設置しないそうです。「夕方以降はライトアップされ、人形はまた違った表情を見せます。浴衣を着て夕涼みしながら巡ってみては」と楽しみ方も教えてくれました。

マナーを守って観覧しよう!<観覧ガイドラインから一部抜粋>

●マスクは常に着用すること。 ●会場周辺における屋外での飲食は控えること。※水分補給は可 ●観覧者同士の距離を十分にとること。 ●握手や密集した状態での記念撮影は控えること。

新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインなど

【博多祇園山笠公式サイト】https://www.hakatayamakasa.com

飾り山笠を見るポイントは?<人形師 中村信喬(しんきょう)さん、中村弘峰(ひろみね)さんに聞きました>

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―制作中の今年の標題について。 信喬さん 番外・櫛田神社の表「神武東征肇国誉(じんむとうせいけいこくのほまれ)」は、神倭伊波禮毘古命(かむやまといわれびこのみこと/初代神武天皇)が国内を平定し、日本建国を成した「神武東征」の一場面が題材です。人も動物も力を合わせ、元気を出して乗り切るんだ! という思いを表現しています。 弘峰さん 同じく番外の見送り「神話稻羽之素菟(しんわいなばのしろうさぎ)」は、子どももよく知る因幡(いなば)の白うさぎの物語。世の中がこのような状況なので“傷ついた人に優しく”というメッセージを込めています。

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―おすすめの観覧の仕方はありますか。 信喬さん 最初は少し離れたところから全体を見て人形の躍動感や遠近法を楽しんで。物語の場合、場面の時系列は上から下に向かって配置していますので、それを念頭に置くと分かりやすいですよ。

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―スマホで撮影するときは? 弘峰さん まず、縦画面で全体が入る位置まで離れて1枚。手を高く上げて撮るのもいいですね。 信喬さん 人形の顔をクローズアップするのもおすすめします。人形は顔が命なんです。

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―制作時のこだわりなどあれば。 信喬さん 父や祖父から厳しく言われた昔からの決まりごとを守っています。例えば滝は館(やかた/お城)から出て橋をくぐり下に流れるように作るのですが、水の流れを途中で決して途切れさせてはいかんぞと。 弘峰さん 悪い事態を浄化する清めの水を表現しているので、流れを滞らせてはいけないのです。舁き山笠でいう勢(きお)い水と同じではないかと考えています。

2021年 飾り山笠標題

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知っとお? 山笠<用語メモ>

博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)

 博多の総鎮守・櫛田神社の奉納行事。およそ780年の伝統を誇り、2016年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されました。例年は7月1日から15日間、行事が実施されます。昨年の開催中止は、太平洋戦争で1945年に中断し1948年に復活して以来、初めてのことでした。

飾り山笠(かざりやま)

出典:西日本新聞社

 博多人形師が意匠を凝らした人形を10~15mにおよぶ高さに飾り付け、7月1日から15日の早朝に公開します。題材は古くからの逸話や歴史上の人物や物語、人気アニメなど。期間が過ぎると壊されますが、櫛田神社の番外はそのまま、上川端通の山笠は同商店街内のぜんざい広場に移して通年飾られます。天神一丁目の山笠は8月以降、九州国立博物館(太宰府市)に飾られます。

舁き山笠(かきやま)

出典:西日本新聞社

 高さ約4.5m、重量約1tもの山笠を26~28人の男たちが舁いて(担いで)博多の街を巡ります。元々は飾り山笠と同様のサイズを舁いていましたが、明治時代に電線や路面電車の架線が張られたので今のサイズに。例年は七つの流(ながれ/十数カ町で構成された自治組織の呼び名)が参加し、舁く技術や一体感を披露します。

勢い水(いきおいみず・きおいみず)

 舁き山笠行事で、山笠や舁き手に掛けられる水。熱がこもる舁き手の体を冷やし、道路を濡らして山笠を運びやすくする役目があります。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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