娘が幼稚園の年中さんのときの話です。それまで一度もバレンタインなんて気にも留めていなかった娘が、突然「バレンタインチョコを作りたい!」と言ってきました。何か心に変化があったのかな? という女の勘は的中。どうもクラスに好きな男の子がいるようです。そんな娘の初恋を応援すべく、立ちあがった母娘の奮闘記をお伝えします。
初恋相手にプレゼントするチョコ作りに初挑戦!
今年のバレンタインにチョコを渡したい人がいる、と5歳の娘が言い出したとき、私はとても驚きました。そもそもバレンタインがどんな日かを理解していないと思っていたのに、娘も女の子なのだなとしみじみ。
そこで誰に渡したいのか聞いたところ、クラス一のモテ男R君でした。かっこよくて俊敏、そして人に優しいスーパーボーイ。誰が見てもモテそうな男の子です。明らかに競争率の高い相手にチョコを渡したいという娘を、全力で応援しようと母は奮い立ちました。
さて何を手作りしよう。娘と一緒にバレンタインお菓子レシピをスマホで検索すること数分。
「これがいい!」と娘が指を差したのが、ハート形のガトーショコラでした。見た目もラブリーで愛が伝わりそうです。幸いにもガトーショコラは私の得意分野だったので即、決定。早速、100円均一ショップへ行き、ハート型の容器やギフト袋を購入しました。
家に帰ると娘は自ら三角巾とエプロンを着用し、ガトーショコラ作りにやる気をみなぎらせていました。慣れない手つきで材料を混ぜたり、卵を割ったり…。テーブルの上は粉が散乱して掃除が大変でしたが、娘は
「次は何をすればいい?」と積極的。愛はパワーだなとつくづく感じました。
バレンタイン当日に娘、意気消沈!?
さて、バレンタイン当日がやってきました。子ども同士でバレンタインチョコをあげたり、もらったりするのは禁止されているため、幼稚園のお迎えのときに持って行きました。
しかし、かわいらしいピンク色の紙袋に入ったガトーショコラを娘に手渡すと、何やら様子がおかしい。
「どうしたの? 早く渡しに行かないとR君帰ってしまうよ?」と私が言うと、娘は首を横に振って泣きそうな顔をしています。
「せっかく作ったんだから、渡しに行きなさい!」と私は半ば強制的に持って行かせました。
家に帰ってから話を聞くと、他の女の子にもたくさんバレンタインチョコをもらっていたのが嫌だったとか。また娘よりも大きく豪華な紙袋に入ったチョコをあげていた女の子もいて、自分が作ったガトーショコラに自信が持てなくなったようでした。かわいい5歳の恋心にキュンとしてしまいました。
娘の頑張りが報われたのは、バレンタイン翌日のことでした。R君が娘のところに寄ってきて
「手作りしたの? すごくおいしかった」と言ってくれたそうです。その言葉がうれしすぎたのか、何度も私にそのことを話してくれる娘を愛おしく思いました。
R君のお母さんに聞いたところ、手作りのお菓子をもらったのは初めてだったとのこと。有名なスイーツギフトも魅力的ですが、手作りに勝るものはないと感じた、ステキなバレンタインになりました。
(ファンファン福岡公式ライター/伊藤 優香)