人間の才能をバクハツさせる!多種多様なキャリアの中から見出した樋口さんの人生の目的に迫る!

コテンラジオで人気の「株式会社コテン」のメンバーを追う「コテンリレー」。第三回目は、コテンラジオにも出演している株式会社BOOK代表取締役社長・樋口聖典さん。“人間の才能をバクハツさせたい”といつも口にする樋口さんのこれまでの人生やコテンとの出逢い、仕事の考え方に、今回も大学生ライター・砂畑君が迫ります。

出典:フクリパ

コテンリレー第三弾の今回は、コテンラジオでパーソナリティをしながら、株式会社BOOKの代表取締役社長としてもご活躍されている樋口聖典さんにお話を聞いていきます!

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目次

人間の才能をバクハツさせたい!樋口さんの経歴から見えてきた「人間を見つめる力」

福岡県田川で生まれ、高校卒業までは田川で過ごしていた樋口さん。 樋口さんのこれまでのキャリアといえばご存知の方もいらっしゃると思いますが、本当に多種多様です。 いくつもの経験をされている樋口さんはその時々でご自身の欲求を満たす要素が違ったと言います。 樋口 「ギターやバンドに初めて出会ったのは中学生の時でした。先輩がバンドで演奏をしている姿を見て、カッコイイと衝撃を受けたんですね。そして親に泣きついてエレキギターを買ってもらってどハマりしたんです。 3歳からピアノを習っていたのでリズム感とか和声感とか音楽的素養はあって、すぐにギターは上達しました。高校でも大学でもバンドを続けていて、その時はモテそう!とか、カッコイイ!とか、周りの反応や賞賛が自己を承認するための要素だったように思います」 高校・大学時代は、周りから評価されることにとても関心を持っていた樋口さん。 しかし、それが段々と変化していったと言います。 樋口 「大学院卒業後、知り合いだった社長さんからとてもよくしてもらって福岡のweb制作会社で時給制の契約社員として働き始めました。 しかし、会社員として働くことに不向きであることに気がついて、東京で音楽作家として活動を始めることにしました。始めたばかりの頃はなかなか苦しい生活でしたが、続けていくうちにギャラも上がっていって、とても大きな仕事もいただくようになったんです。 その時は、お金や実績という要素で自己の欲求を満たしていたように思います。ただ、ある時をきっかけにそれだけではなかなか頑張れなくなったんです。お金も当時の年齢に対する平均年収よりいただいていたし、話せば“すごいね”と言ってもらえるような実績もあったんですが、そこに魅力を感じなくなって苦しくなった時期がありました。」

苦しい中でもたくさん音楽の仕事のオファーをいただく。しかし、オファーをいただくこと自体に対する純粋な感謝の気持ちもあったうえに、断るとそのまま仕事を失っていく恐怖もあって、なかなか仕事を断ることができないというサイクルの中でとても大きなストレスを抱えていたそうです。

出典:フクリパ:バンドで演奏をする樋口さん。とってもカッコいいです

元々は「音楽で食べていきたい」と思って上京を決めた樋口さんですが、それを達成しても幸せと感じない自分に対して強い矛盾を感じていました。 樋口 「結局、その強い矛盾はなかなか解決できず、何度もうつ病を繰り返すことになってしまったんです。 それとは反対に、その少し前に中学の友人から誘われて始めたお笑いに関しては、とても幸せを感じたことがありました。 吉本のお笑い養成所NSCの授業の中で、同期の前でネタを見せるというものがあったんです。そこで一度、大ウケしたことがあったんですね。これは音楽制作の仕事と比べて、社会的影響度という指標で見るととても小さなことかもしれないですが、“難しい”と思っていたお笑いでウケたことに幸せを感じたんです。その時に分かったのは、“幸せは相対的なものだ”ということでした。 お金や実績みたいにこれだけの結果を出せば幸せだなんていう絶対的なものはないんだと分かったんです。とは言いつつも、音楽の仕事は辞めずに続けていました。相変わらず音楽制作の作業自体は好きじゃありませんでしたが、自分が作った音楽作品や、音楽という文化や、仕事で関わる人たちのことはやっぱり好きだったので簡単には離れられなかったんです。」 音楽制作の仕事を辞めないほうがいい理由はいくらでもあげられたと樋口さんは言います。 しかし、弟さんと株式会社オフィス樋口を設立した後も、音楽の仕事は忙しく、また設備投資のための借入や、スタッフのために頑張らねばという重責も重なり、うつ病が再発してしまいました。 そして悩んだ末に、樋口さんは音楽制作の仕事を辞めるという決断をします。

樋口 「その時の自分は何をやりがいとして、何に楽しさを感じるのかが分からなかったんです。音楽制作に対しても、ただ単に仕事量が多いからしんどいだけなのかもしれないとも考えました。 ただ、このまま続けていても苦しいことは変わらないし、そんな音楽への向き合い方では日々進化する新しい音楽についていけないし、なにより音楽に対して誠実ではないと思い辞めるという決断をしました。そして今の活動に繋がる株式会社BOOKが誕生するんです。」 中学生時代にバンドを始めた頃から、「他人からの評価」、「お金」、「実績」、など、自己を承認するための要素が変化していった樋口さんに、今は何を求めているのかをうかがいました。 樋口 「今は、自分のことはどうだっていいんです。本当にそう思っています。 これまでの活動で他人からも認めてもらったし、お金だってたくさんいただいたし、それに合わせて実績までできました。 しかし、今の自分のフェーズはどれにも当てはまりません。今の僕が最も幸せを感じたり、満たされると感じたりするのは“人間の才能がバクハツした時”です。 ここまで長い時間をかけてたくさんの要素を使って自己を承認してきたけど、そのどれも今の自分には必要ないんです。今の僕は、他の人の才能をバクハツさせたくて生きています。 僕は、“マズローの欲求5段階説”でいうと、おそらく段階が上がっていて、とにかく人の才能が輝くお手伝いをすることを求めているんです。人が幸せを感じる要素は、これまでの僕のように多種多様です。お金に魅力を感じる人もいれば、実績に価値を感じる人もいます。けどそれは人によって違って当たり前ですし、人生のフェーズによって違って当たり前なんです。 欲求段階が上に行くほど良くて、低ければ悪いという話ではなく、その人それぞれの現在の欲求を適切に満たすときに人の才能がバクハツすると思っています。そのお手伝いをすることが今の僕の生き甲斐なんです。」

深井さんとヤンヤンさんの才能をバクハツさせたくなった!

出典:フクリパ:コテンラジオお三方の写真。左から樋口さん、深井さん、ヤンヤンさん

これまでの多種多様なキャリアを経て、“人間の才能をバクハツさせたい”という思いから現在の活動をされている樋口さん。 その多種多様な活動のうち、コテンラジオで関わる深井さんとヤンヤンさんの第一印象は衝撃的だったと樋口さんは言います。 樋口 「ビジネスプランコンテストの授賞式の打ち上げで二人とは出会いました。とにかく歴史の知識がとんでもなく多いし、その解釈も興味深いし、それを僕に伝えるための言語化能力も高いし、天才だと思いました。」 深井さんとヤンヤンさん、それぞれの印象についてもうかがってみました。 樋口 「これは一緒に働くようになってから感じることですが、深井さんはとにかく働きやすさとかそういう部分を、社外の僕に対しても気遣ってくれるんです。心理的安全性を保ち、お互いがパフォーマンスを自然に出しやすい環境を作ることを丁寧に行ってくれます。今でも、スケジュールが詰まっていたら言ってくださいねとか何か不満があったら言ってくださいねと常に気を遣ってくれて、本当に活動しやすい環境でコテンラジオを制作できています。 ヤンヤンさんは、これ、コテンラジオを聞いてくれている方なら分かると思うんですが、本当に、居るだけで魅力のある人なんですよね。何を話しても一旦受け入れてくれそうだし、実際、すごく丁寧に話も聞いてくれるし。居てくれるだけで心安らぐ存在という感じですね。」 深井さんとヤンヤンさん、それぞれの印象に加えて二人の優秀さに驚いたという樋口さん。ですが、ただ驚いただけではなかったとお話ししてくれました。

樋口 「僕が二人に対して興味を持ったのは天才だと思ったからだけではないんです。 深井さんとヤンヤンさんが歴史を使ってしていたことやこれからしようとしていることって単に歴史の知識をひけらかすというものではなくて、歴史を通して人間とは何かを追求することだったんですね。ここに大きな魅力を感じたんです。 というのも僕の人生を通しての理念は“人間とは何かを知る”ことなんです。僕の人生の理念が深井さんとヤンヤンさんがしようとしていることに強い共感を覚えたんです。」 株式会社コテンさんの経営理念は「人類が、人類をより深く理解することに貢献する」というものです。このコテンさんの理念に対し、樋口さんの人生の理念に通ずるところを感じたそうです。 樋口 「それに加えて、僕は全くと言っていいほど歴史に興味がなかったんですね。それにも関わらず、歴史を通して人間を理解しようとするということにとても面白さを感じたんです。」

出典:フクリパ

「もっというと、深井さんとヤンヤンさんが歴史を通して人間を理解しようと話していることに対して魅力を感じたんです。魅力を感じたってことは、“人間の才能をバクハツさせる”ことが好きな僕だから、やっぱりこれを世の中に届けたくなったんですよね。届けたくなったというよりも、深井さんとヤンヤンさんのこの話が世の中に届かないなんてもったいないと思ったんです。 僕の人生の理念は“人間とは何かを知る”ことなんですが、人生のテーマは“無駄をなくすこと”なんです。とにかく、僕はもったいないことが嫌いなんですね。 とにかく効率良く物事を進めたいし、無駄な時間が流れることが嫌いなんです。これに合わせて、世の中にとってとても価値や魅力のあることが届いてほしい人に届かないというのは極めてもったいないとも思っているんです。だからこそ、深井さんとヤンヤンさんが繰り広げる歴史コンテンツを世の中に届けたいと強く思ったんです。それが世の中にとって良いことだと思ったんです。」 “人間の才能をバクハツさせる”ベく、そして“世の中にコテンラジオという価値を届ける”べく、樋口さんが動き始めます。 初対面の打ち上げで歴史を通して人間を理解するトークが大盛り上がりし、樋口さんはそのまま「これ、コンテンツにして世の中に発信しましょう」とお二人を誘います。 すぐにお二人を誘えたのは樋口さんが持っているスキルや環境が理由でした。 長年音楽制作の現場に携わってきた樋口さんは、他の人よりも容易く録音周辺機器や編集機材を扱うことができましたし、株式会社BOOKさんが運営する“いいかねPalette”には録音スタジオもありました。 この資源があったからこそ、すぐにコテンラジオの発起につながったそうです。

いいかねPaletteは、2014年統廃合となって生まれた廃校、旧猪位金小学校を利活用して「音楽を中心とするコンテンツ産業の創出・集積」を目指し「福岡コンテンツバレー構想」を掲げ、その中心拠点として2017年4月にスタートしました。

出典:フクリパ:いいかねPaletteの入口

いいかねPaletteは、2014年統廃合となって生まれた廃校、旧猪位金小学校を利活用して「音楽を中心とするコンテンツ産業の創出・集積」を目指し「福岡コンテンツバレー構想」を掲げ、その中心拠点として2017年4月にスタートしました

いいかねPaletteのHPはこちら

出典:フクリパ:いいかねPaletteの校舎。とても懐かしい気持ちになりますね

BOOK×コテンが見せる、歴史と人間の魅力

人間の才能をバクハツさせるという言葉に惹かれて、才能をバクハツさせる方法を樋口さんに尋ねてみました。 樋口 「才能をバクハツさせるには、誰か、もしくは何かによって刺激を受けることが一番いいと思います。 いくら魅力があっても、才能があっても、今それらが輝いていないということは、その人だけではどうにもできないというものなんです。いくら自分一人で考えていても、その人の思考や価値観から抜け出すことは難しいので、外部からの刺激によって蓋を開けられたり、壊されたりすることが一番の方法かと思います。」 では、どうやって外部からの刺激を得たら良いのか尋ねてみました。 樋口 「そういう場合にも活用できるのがコテンラジオだと思っています。コテンラジオでリスナーの方に届けていることって、何年に何が起こった、その理由は何だった、というような単なる情報の話ではないんですね。先ほど話したように、歴史を通して人間を理解しようとしているんです。なので、コテンラジオを聞くだけで、今の自分とは全く違う環境で活躍した人間の生き方を知ることができます。それだけで刺激をもらえると思うんですよ。」 僕もコテンラジオのリスナーですが、単純に歴史上で起こった事象を教えてもらっているという感覚ではなく、「この人はその時の文化や環境に対してこんな思いを持ってこんな行動をした」というように人間のモデルケースを何人分も勉強しているような感覚になります。

出典:フクリパ

樋口 「ただ単に偉人たちはこういう思いでこんなことをしましたというのを知るだけがコテンラジオの魅力ではなくて、それを聞いたうえで、今の自分の価値観や立ち位置、思考について相対比較することができるんです。そうすることで、今の自分っていうのが歴史を通して見えてくるんです。 相対的に自分の価値観や立ち位置、思考というものが見えてくると、今度はいろんな事に対して主体的な選択をすることができるようになるんです。自分のことを相対的に見ていない時は、選択した事に対して、自分という人間ベースでしか判断することができないので、そこに強い主体性も、非主体性もないんです。 ただ、自分という人間や今置かれている環境を相対的に俯瞰して見ることができるようになると、自分がした選択は“選ばなくてもいいのに選んだ”というような判断になることでそこに主体性が生まれるんですよね。」 この樋口さんのお話はとても刺激的なものでした。 まず、他人の価値観や思考を多く知ることで、自分の価値観や思考を相対的に捉えることができるというのは気がつくようでなかなか気がつかないものでした。 次に、自分を主観ではなく、相対的に捉えることで、行動一つひとつに主体性が生まれるというお話は深くうなずかされました。自分の世界観だけで生きていると、何か選択をしたとしてもまるで当たり前のように捉えてしまいます。そして、選択したという行為が当たり前であると捉えてしまうことで、その選択に対しての主体性や、もっというならば愛情のようなものが薄れるように思います。

それとは反対に、自分の価値観や思考を相対的にも認識することができていると、自分がした選択一つに対して主体性が生まれます。その主体性によって選択した行動が前向きになり、より良い成果につながるように思えます。 そして、そうやって過ごしていくことでいつか人間の才能がバクハツするのではないかと思いました。 これまでの多種多様なキャリアを通して人間の才能をバクハツさせる事に魅力を感じている樋口さんは最後に、こんなお話をしてくださいました。 樋口 「僕の会社は株式会社BOOKといいます。BOOKにはいくつかの意味が込められていますが、その中の一つに、物語を描いていくための白紙であるというものがあります。その白紙に色を塗っていくために僕たちは“いいかねPalette”というプラットフォームを作りました。じゃあ誰が色を塗るかというと、それはプラットフォームを使ってくれる皆さんなんです。 ここまでは僕の事業の話ですが、コテンラジオも同じようなことでリスナーさんたちに魅力を感じていただけると思います。僕ら3人が話していることはあくまでもどこかの誰かの物語で、コテンラジオというパレットから色をとって、リスナーの方々が自分の物語を描いていくような、そんなコンテンツにこれからももっとなっていけばいいなと思っています。」 とても素敵なお話でした。 深井さんもヤンヤンさんも才能たっぷりのお二人ですが、それをさらにバクハツさせたのは樋口さんですねと投げかけると樋口さんは 「はい!全て樋口のおかげです!」と答えてくださいました。 そして、「こんなところで自己の承認欲求を満たすわけではないですけどね(笑)」とも添えられ、インタビューは終了しました。

樋口さんのお話を聞いて考えたこと

樋口さんがお話ししてくれた自己を承認する要素のフェーズというお話にとても興味を持ちました。 音楽を始めた頃の樋口さんは、お金や実績、周りの声が自己を承認するための要素であったとお話ししてくださいました。しかし、お仕事を進めていく中で、自己が直接的に満たされることを求めなくなった樋口さんは、人間の才能がバクハツするお手伝いをしたいと思うようになったと言います。 インタビューの中でこの話題が出た際に、使われた『マズローの欲求』について詳しく知らなかった僕は取材後に調べてみました。

出典:フクリパ:マズローの欲求5段階説を表した図(砂畑作)

樋口さんでいうと、音楽を始めて「音楽で食べていきたい」と思っていた頃は画像のうち、物質的欲求を重視していたと言えます。 その後、実績や評価など社会的、承認的な欲求を求めていたこともわかります。 しかし、物質欲求や社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求では満たされないフェーズに樋口さんは突入していきます。 この図で言えば自己超越というセグメントになるのですが、このフェーズは神秘的なことに対して充足感を覚えるというような文献が多くありました。樋口さんは自己を超越した先に他人の才能をバクハツさせるという要素があったのだと思います。 では自分は今どのフェーズにいるのかなと考えてみると、自己実現欲求のフェーズであると考えました。 社会から認められることを強く求めているわけではないですし、他人から褒められたいというような思いも強くありません。ということは、自分がなりたい自分になるべく活動しているのかなと思いました。

ただ、そんなに強く自分のなりたい人物像というものは持っていないことにも気がつきました。 そうすると樋口さんのお話から学んだ僕は、“自分の才能をバクハツ“させることができないと気がつきました。 その理由は樋口さんも話していたように、自分の価値観や思考だけでは、自分という存在から抜け出すことはできないからです。 しかし、僕はコテンラジオを聞いて、たくさんの歴史上の偉人のお話を聞くことができますし、これまでのように、そして今回のように社会で活躍する人たちのお話に取材の中で触れることができます。 取材を通して、また、コテンラジオを聞くことで「自分のなりたい像を明確に持って活動していくことで満たされる欲求というものを経験していきたい」と主体的に思うことができた樋口さんのお話でした。 文=砂畑龍太郎

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