3歳の息子にとって初めての運動会の話です。自宅から一番近いという理由で気軽に入園させた幼稚園は、何と小学校受験専門の幼稚園! 初めてのビッグイベント「運動会」を前に、庶民の私はお受験ママの本気度に度肝を抜かれました…。
お受験ママとお茶会
入園してしばらく経った頃、私は送迎時に顔見知りになったママ達からお茶へ誘われました。
数人で入ったのはきちんとしたカフェ。ほかのママ達は仕立ての良さそうなワンピースや、さりげないけれど高級そうなバッグを持ち、朝9時だというのにメイクはばっちりで髪もきちんと巻いています。す、すごい! しかしそこで繰り広げられる会話に、私はさらに驚いてしまうのでした。
お受験ママは週5で習い事に行かせていた!
普段の子どものやりとりや先生の噂話がひと通り済むと、お受験ママ達は習い事の情報交換を始めました。どの家庭も週5以上で英語、スイミング、ピアノ、知育教室、体操などを習わせているようです。
子どもの習い事どころか、公園に連れて行くのさえ面倒だと思っていた私にとって、ママ達の話はまさに未知なる世界! そのお茶会メンバーの1人、Kさんとは子どもが同じ男の子同士というのもあり、その後もランチやお茶に行く仲になりました。
Kさんの運動会へのアツい思い
運動会を1カ月後に控えたある日、Kさんとお茶をした時のことです。彼女は子どもの体格が小さいことを心配し、体操とスイミング、サッカークラブにも通わせていました。するとKさんが衝撃的なことを言ったのです。
「うちの息子、走るのが苦手みたい。だからね、運動会用にコーチを雇ったの!」
コーチ! それも運動会用! びっくりした私は思わず
「運動会のためだけにコーチを雇ったのですか?」と言いました。
するとKさんは
「そうよ、フリーランスの元アスリートを口コミで紹介してもらったの。コーチによって金額や内容は違うんだけど、私は子どもに1位を獲らせてやりたいから、元オリンピック選手でマンツーマン1時間2万円の方にしたわ」
1時間2万円! あまりの金額に私はただ絶句…。運動会まであと1カ月。何回依頼するのか分かりませんが、庶民のわが家には想像もつかない世界でした。
子どもなりに頑張った結果なら勝っても負けてもいい、勝ち負けより運動会を楽しんで欲しいと思っていた私とは真逆の考えです。 でもきっと同じ考え方だったら、ライバル視して気軽に話はできないですよね。なぜKさんが私をいつもお茶やランチに誘うのか分かったような気がしたのでした。
運動会当日、さて結果は…?
Aさんの息子と走るグループが一緒ではありませんように…。祈りが通じたのか、別々の走順だったことにまずは一安心。
そしてついにKさんの息子の順番…! その後の話では約10回(!)コーチを依頼したらしいので、こちらも手に汗握る思いです。
「がんばれーーー!」と思わず息子の時より大声で応援してしまいましたが、念願の1位!
Kさん家族の後ろには専属らしきカメラマンもバッチリ控えていたのでした。
後日その話をすると、Kさんはニッコリ。
「うちの子はもともと運動のセンス『も』バッチリだから! 適任者に的確な指導を受ければ、素質のある子は伸びるものよ」 なるほど、Kさんさすがです!
ちなみに私の息子はスタートのピストル音を聞き、怖くて泣いてしまったのでした…。1位は獲れませんでしたが
「運動会、楽しかった!」とニッコニコ。驚きの連続だった運動会は、こうして無事に幕を閉じたのでした。
(ファンファン福岡一般ライター/Amy)