中洲はグルメアイランドだ! ─福岡下戸グルメ・中洲編─

福岡は三度目の緊急事態宣言が解除されたものの、まん延防止等重点措置期間として今も飲食店の時短要請下にあります(2021年7月9日現在)。今回は、厳しい状況が続く飲食店応援の意をこめて、「福岡下戸グルメ」が中洲でのノンアルコールの楽しみ方をお届けします。中洲のポテンシャルの高さを知って、時短要請下でもルールを守って飲食店を利用するヒントにしてみてください。

出典:フクリパ

※この記事は、非常に個人的かつパーソナルな視点でお届けする下戸の、下戸による、下戸のため(一時的下戸含む)の情報であり、内容は記事公開時のものである。

1億総下戸状態に突入したかのような日本の現状。世では「ゲコノミスト」なるワードも登場し、下戸の地位は向上しつつある。しかし、その実態と、アルコールを嗜む人々のモチベーションは利益相反には至らない。 飲兵衛は飲兵衛なりの、下戸は下戸なりの飲食店での楽しみ方があり、混在していいと思っている。決して「対岸の火事」などではなく、「飲食店で楽しい時間を過ごす」という同じ喜びを持つ者として、現在の状況は心が痛いのだ。 この記事が公開される頃にはまん延防止等重点措置が解除になるのか延長になるのかの情報が出始めているかと思うが、延長にせよ、解除にせよ、グルメの灯火を途絶えさせることなく、状況に合わせて、それぞれのグルメ活動を遂行できればと心から願っている。 そこで今回は、少し時期がずれてしまったが、二回目の緊急事態宣言が明け、時短要請が続いていた4月に訪れた中洲のグルメについて紹介してみたいと思う。 もう二度と緊急事態宣言に入らないことを願うべく、普段から感染防止対策は銘々しっかりとしながらも、もし可能であれば、仕事を少し早めに切り上げて、中洲でのグルメを堪能してみて欲しい。

目次

中洲のグルメポテンシャルについて立ち止まって考えてみた

私は下戸ではあるが、中洲でもコロナ前から結構な頻度で食事をしており、飲食店を営む知り合いもいる。そういった状況で見聞きしてきた肌感覚からして、過去三度にわたる緊急事態宣言、なかでも特に二度目の緊急事態宣言は、解除後にも「時短要請」が続いていたため、眠らない街・中洲にとっては阿鼻叫喚であったことを先にお伝えしたい。 (さらに現在は全国的には四度目、福岡に限っては三度目の緊急事態宣言が解除されたものの、まん延防止等重点措置期間。もはや阿鼻叫喚する鼻もなくなりそうである)

出典:フクリパ:一度目の緊急事態宣言中の中洲大通りの交差点。銀座でいえば四丁目にあたる。このゴミひとつない、タクシー一台通らぬ様子は年末年始でもなかなか見ない光景だった

アルコールとチャンネー(おねえちゃん)の街・中洲。下戸と女性客には風当りの強い印象のある街・中洲。 しかし、想像してみて欲しい。 出張、接待、普通の飲み会。様々な欲望を飲み込むこの街には、本当にアルコールとチャンネーしか存在しないのか(もちろん、チャンニーもいるが)。 答えは、「否」である。 出張で博多を訪れたサラリーマンは、中洲グルメを腹に入れてから、チャンネーの店に行く。 接待使いのサラリーマンも、一軒目はしっぽりと中洲グルメで得意先をもてなす。 そう、中洲は確かにアルコールとチャンネーの街ではあるが、その下敷きとして、様々なグルメがひしめく街でもあるのだ。 これを私は、グルメアイランドと呼びたいと思う。 ということで、今回はグルメアイランド・中洲を完全ノンアルコールでめぐってみた。

餃子にうるさい街・福岡。「宝雲亭」

時短要請が解除された4月某日。しっかりと感染症対策を施し、中洲の島へ足を運んだ。少しずつ賑わいが戻ってきてはいるものの、中洲の花屋曰く「コロナ前の半分ですかね…」と苦しそうだ。 なおさら、下戸にも足を運んでほしい。中洲が抱え込むグルメの魅力を掘り下げる野望を気持ち新たに大通りを渡る。時間は18時。出汁のいい香りに足が止まる。そばとかつ丼で有名な「藪」。しかし19時半開店なのでおあずけ。ここは次回の候補にしよう。

出典:フクリパ:淋しい錦小路…

国体道路にほど近い錦小路は、中洲でも屋台の雰囲気を味わえるお店が多く、一軒目にはうってつけだ。 迷わず入ったのは餃子専門店「宝雲亭」。

出典:フクリパ:右隣が辛麺、左隣がとんこつラーメン。実店舗だが、屋台の空気感が醸し出されるストリートだ

下戸と下戸アシスタントと下戸カメラマンで、しっぽりとウーロン茶で乾杯。

出典:フクリパ

こちらの名物は博多一口餃子。発祥の店として親しまれており、だいたいここで30分ばかりサクサクっと餃子とビールを流し込み、次の店へ行く人が多い印象を受ける。 この日は先に書いた通り、県外から出張で来られ、この後のお店の前に軽く空腹を満たしているサラリーマンが数名いた。帰りの新幹線の時間の話をしている。ギリギリまで中洲を楽しみたいのだろう。

出典:フクリパ

名物・「黒豚焼餃子」は1人前8個入りで660円(税込)。 翌日も朝から元気にお仕事の皆様、ご安心あれ。宝雲亭の餃子はニンニク不使用(ここは将来的に試験に出る気がする)。なのにニンニク入り餃子を食べたような満足感があるからこそ、人々が吸い込まれるお店なのだ。 そして隣の席のサラリーマンが頼んでいた「ニラ卵とじ(660円/税込)」の香りに負けてしまう。

出典:フクリパ

あと2軒は行きたいのだが、大丈夫だろうか…まぁしかし、隣の人が注文しているものについついつられてしまう、というのもまた一興。分厚い鉄板で短時間にまとめられた卵の香ばしくもふわふわな食感の前には何を言っても言い訳にしかならない。

出典:フクリパ

ちなみに職人が毎日手包みしているもっちりつるんとしたワンタンが入った「手包みワンタンメン(780円/税込)」は、手作りタレと柚子の皮が効いた新メニュー。 中洲はじめにサク飲みする印象の強い宝雲亭だが、〆に立ち寄る人もこれから増えそうな予感。

肉が食べたい。できればかぶりつきたい。「COTTON FIELDS(コットンフィールズ)」

炭水化物とおいしい豚肉をすきっ腹に詰め込み、次に向かうは中洲大通り沿いの「COTTON FIELDS(コットンフィールズ)」。世界中のビールを楽しめる店に、下戸が入りますよ、と…。

出典:フクリパ

創業40年目を迎えるこのお店では、世界のビールが味わえるほか、それぞれのビールに合う料理を楽しむことができる。 下戸にとっては到達できない世界ではあるが、「とりあえず一杯」でビールを嗜む人が多いこの街で、そのビールニーズをしっかりと受け止めてくれるのがこの店の三大名物だ。 骨付きカルビを特製ソースで仕込み、オーブンでじっくり火入れされた「スぺア・リブ(2~3本・1,400円/税込)」。骨と身の間が一番うまい。カニ同様無言になる瞬間。

出典:フクリパ

粉モン的なものも食べたいなら、というか炭水化物どうこう関係なくこの店に行ったら食べないのは馬に蹴られるようなものと言ってもいい「メキシカンタコス(3本・900円/税込)」。 甘めでさっくりしたタコス生地と2種のソース、ほろほろジューシーなお肉を大口でガッツリ頬張って欲しい。これはお行儀など完全無視で両手でしっかりとグリップ、油でベッタベタにしながら食べるのが乙である。手は洗えばいいのだ。

出典:フクリパ

そしてもうひとつ。「あー食べた!」としっかりお肉を嚙みしめたい「ウイング(2本・700円/税込)」。スペア・リブと同じ特製ソースで仕込まれた、しっかり濃い味。下戸なのでわからないが、これはビールがうまいんだろうなぁ…。

出典:フクリパ

世界中のビールが並ぶお店で、下戸トリオはドクター・ペッパーとインカ・コーラとグァバ・ジュースをオーダー。ノンアルコールのジュースですらこの充実っぷり。アルコールならさらに期待値が高いことは推して知るべし。

出典:フクリパ

中洲も年を取る。〆に優しい素麺専門店。「元祖中洲そうめん 臣屋

さて。 もういい加減腹いっぱいである。 しかし、今回どうしても紹介したい〆の店があるので、頑張って歩いた(というほどの距離でもないが)。 博多というと「〆はラーメン」という謎ルールがあり、あんなにしこたま飲み食いしたその胃袋のどこに入れるのか?というのは博多の下戸の永遠の謎なのだが、中洲に通う御仁達の高齢化を懸念し、〆に麺を食べるという行為は残したまま、少しでも胃もたれしにくいものをという想いで営業しているのがここ、全国の素麺を様々なバリエーションで食べさせてくれる「元祖中洲そうめん 臣屋」だ。

出典:フクリパ

ぜひ画像をとくと見て頂きたい。言われなければ豚骨ラーメンとしか思えないこのビジュアルだが、「元祖中洲そうめん(970円/税込)」、そう、素麺なのだ。

出典:フクリパ

素麺同様、厳選に厳選を重ねた地鶏のガラスープがベースとなり、牛モツ入り高菜と明太子がトッピングされ、さらにシャキシャキのモヤシまでのった温かい素麺、つまりにゅう麺なのだ。 豚骨ラーメンを食べているような感覚で、豚骨に比するとかなり胃にやさしい。にゅう麺というと出汁ベースの「汁物カテゴリ」から逸脱し得ない印象があったが、見事な一杯として完成されている。 ここに至るまでの、お店の努力がうかがえる。 「いやぁ、素麺なら冷たいのも食べたい!」そう、このお店に入ると食欲がぶり返すのだ。 そんなときには名物「臣屋そうめん白髪(1,590円/税込)」をぜひ。

出典:フクリパ

10gあたりの本数が約300本にもなるという、芸術的なまでの細さから、製造できる素麺師が限られているという「白髪」。あまりに遅い時間だと売り切れていることもあるので要注意。

出典:フクリパ

「早く食べさせろ」と手がプルプルする下戸アシ(20代前半女子)。細さをしっかり捉えたいからもう少し待って!と下戸カメラ。その横でこの細さをのど越しで堪能する下戸グルメ(私)。 同店にはごまカンパチなどの「とりあえず」のメニューから揚げ物、炒め物、焼き物まで豊富な上、「あーもうちょっと食べたい」という人のための「地鶏の親子丼(通常サイズ・880円、小サイズ600円/税込)」も。

出典:フクリパ

食欲旺盛な下戸アシはぺろりと小サイズをたいらげた *** いかがだっただろうか? 今回は3軒はしごしてみたが、1軒でじっくり楽しもうと思えば成立する、サク飲みもガチ飯も叶うグルメアイランド・中洲の底力はまだまだ果てしない。 ぜひ時間を見つけて、中洲にも足を運んでみて欲しい。

◆データ

【宝雲亭】 ■TEL:092-281-7452 ■住所:福岡市博多区中洲2-4-20 ※定休日は営業時間は店舗へお問い合わせを 【COTTON FIELDS(コットンフィールズ)】 ■TEL:092-271-5130 ■住所:福岡市博多区中洲4-2-15 メインストリートビルB1F ※定休日は営業時間は店舗へお問い合わせを 【元祖中洲そうめん 臣屋】 ■TEL:092-409-1302 ■住所:福岡市博多区中洲4-1-30-2 スペース中洲ビル1F ※定休日は営業時間は店舗へお問い合わせを 文=福岡下戸グルメ

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著者情報

成長する地方都市 #福岡 のリアルな姿を届けます。福岡のまちやひと、ビジネス、経済に焦点をあて、多彩なライター陣が独自の視点で深掘り。 「フクリパ」は「FUKUOKA leap up」の略。 福岡で起こっている、現象を知り、未来を想像し、思いをめぐらせる。 飛躍するまちの姿を感じることができると思います。 https://fukuoka-leapup.jp

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