「価格は高いけど、痛いのはもう嫌」1人目の出産で散々痛い目を見たため、2人目は絶対無痛分娩にしようと固く決意していた私。痛みから解放され、リラックスして出産に挑もうとするも、急に若い助産師さんが怖い顔で入ってきて…。
2人目は無痛分娩での出産を決意
無痛分娩は、全く痛みがなくなるわけではなく、あくまで痛みを緩和させるための方法です。費用が高いなどのデメリットもあるので、医師と相談しながら価格以上の価値を自分で感じるかが選ぶポイントになります。
私の場合は費用がかかることよりも、「出産の痛みへの恐怖が大きかった」というのが無痛分娩にした理由でした。計画分娩で出産予定日前日に入院。
出産予定日、朝5時に起きて陣痛を促す薬を飲み、10時ごろには子宮口が5センチほど開き、生理痛ぐらいの痛みがありました。次に痛みを和らげるための薬を入れます。
「これから痛くなくなる薬を入れていきます。ベットの上で横を向いて、膝を曲げて抱えたまま背中を丸くしてくださいね」臨月の妊婦にとってなかなかキツイ体勢にさせられ、尾てい骨の上くらいに注射の針を刺されました。注射の痛みも不安でしたが、全く痛みは感じず安心したのを覚えています。
この後30分ぐらい経つと、痛みが引いていくのがわかりました。
「すごい、痛くない! いやちょっと痛いけど全然我慢できる!」興奮してそんなことを言っていたような気がします。
医者も席を外し、夫もトイレに行き、担当助産師さん(Aさん)と2人きりになった分娩室。Aさんは50代くらいの女性。器具の確認などバタバタと忙しそうにしていました。
「この後のご飯楽しみだな…」とベッドで呑気なことを考えていると、急に若い女性の助産師さんが怖い顔をして入ってきて、ドスの利いた声で
「隣の部屋のBさん(同じく出産予定の妊婦)の〇〇しましたか?」Aさんに問い詰めました。
Aさんはびっくりした様子で
「え? いや、やろうと思ったけど『ここは大丈夫』って他のスタッフに言われたからやってないけど…」とおびえたように答えます。
助産師「それ報告しましたか?」
Aさん「そばにいた人には声はかけたけど…」
助産師「でも私知りませんよ? Bさん30分もずっと待ってるんですよ! トラブルおきたらどうするんですか?」
Aさん「…ごめん」
助産師「責任もってやってくださいよ!」
おそらくAさんの報連相ができておらず、それについて若い助産師が叱責している様子でした。助産師さんが立ち去った後、残されたAさんと私しかいない部屋の中には、気まずい沈黙が流れていました。
目の前で怒られる助産師さん
そのあとも2~3人違う助産師(みんな若い女性)が、Aさんを叱責しに分娩室に入ってきました。皆さん険しい表情で、しかも私の目の前で怒っていくので嫌でも視界に入ってくる状態でした。
何でこれから出産しようとしているこの分娩室にわざわざ入ってきて怒るんでしょうか。無痛分娩の薬に感動している気持ちと、この空気の気まずさととても複雑な感情だったのを覚えています。あとは「そこまでみんなして怒らなくてもいいのに…」というちょっと悲しい気持ちでした。
全体を知らないので何も言えませんが、少なくともAさんは特に手際が悪いわけでもなく、ごく一般的なベテランのように見えました。気まずい空気の中、私のお産は一気に進み、あっという間に子宮口は全開に。
ひとつだけ言いたい!
子宮口が最大になってから産まれるまでは、痛覚が鈍くなっているのでいきみのタイミングがよくわからず若干苦戦しました。最後はAさんに手を突っ込んで赤ちゃんを出してもらい、ようやく産むことができました。
「おめでとうございます!」そういってくれるAさんですが、声にはやはりどこか元気がありません。そりゃあそうですよね。おめでたいはずの瞬間なのに、この時はこちらまで胸が痛くなりました。
だっこした赤ちゃんはとても可愛く、私の中で母性をしっかり感じました。そのあとAさんはもの悲しい雰囲気を残したまま分娩室を後にしました。彼女がこの後、立ち直ってくれたらいいなと思います。
この産院の口コミは良かったので選びましたが、せめてそういう指摘や注意は廊下とか休憩室でやってほしいなと思いました。
(ファンファン福岡公式ライター/萌井もい)