わが家の息子は、小学校1年生から地域のキックベースボール教室に通い始めました。初めての試合の日。いつもと違う緊張感に包まれ、自分の順番に極度のプレッシャーで固まってしまった息子。危機を救ったのは、お友達の励ましだったのです。
和気あいあいとしたキックベースボール教室
息子は小学1年生から、地域のキックベースボール教室に通い始めました。小学1、2年生が対象で、同じ小学校の子ばかり15~20人。息子は「みんなと一緒に遊べる」という感覚で楽しく通っていました。
2人のコーチは親しみやすい印象で、基礎から丁寧に教えてくれます。週1回の練習で、子どもたちが上手になっていく姿を見るのが私も楽しみでした。
冬になると、近隣地域のチームが集まって大会が開かれます。
普段は和やかな雰囲気で進む練習も、試合が近づくにつれ少しずつ緊張感が漂ってきました。コーチの指導にも熱が入り、厳しさもありますが、良いプレーはたくさん褒めてくれました。子どもたちも試合を意識して
「優勝しよう!」と話しながら練習に取り組んでいました。
はじめての大会 高まる緊張感
迎えた大会当日。続々と他チームの子どもたちや関係者が集まります。普段と違う雰囲気に、子どもたちはそわそわしていました。プレッシャーに弱い息子は、不安げな表情。私は心配しながらも、笑顔で試合に送り出しました。
いよいよ試合が始まります。
「よろしくお願いします!」と一列に並び、大きな声で挨拶する子どもたち。緊張の中にも気合の入った表情をしています。息子はというと、緊張から口をへの字に曲げ泣くのをこらえる様子が遠くから見ても分かるほどでした。「最後まで乗り切れるかな…」と不安がよぎります。
満塁の場面で息子の番に! プレッシャーで固まった息子を救ったのは?
試合が進み、息子たちのチームが攻める番になりました。キックベースボールは、野球の打順と同じように蹴る順番がまわってきます。チームは順調に塁を進め、息子の番には満塁に! 一気に緊張が高まり、今にも泣きそうな顔の息子。
必死で守備をする相手チームの圧に負け、ホームベース前で固まり動けなくなってしまいました…。
下を向いたまま動かない息子の様子に、周囲がざわつき始めます。「これは何とかしないと」思わず私が動こうとすると、異変を察したお友達が息子に駆け寄り
「こわかった? 大丈夫だよ」
「じゅんばん変わろうか?」と声をかけてくれたのです!
息子はお友達に手を引いてもらい、なんとかその場から動き、コーチと相談して蹴る順番を変更することで落ち着きました。冷静になった息子は、変わってもらった順番で練習の成果を発揮でき、ほっと一安心。
その後もチームの奮闘が続き、試合はみごと勝利に終わりました。
「ありがとうございました!」と最後の挨拶をする子どもたち。コーチや保護者も一緒に
「やったー!」と喜びを爆発させます。
私もチームのみんなのがんばりに、そして息子のピンチを救ってくれたお友達の力に涙が出そうになりました。
子どもたちには自然に助け合う力がある
この出来事から、「子どもたちは、自然に助け合うことができるのだ」と強く感じました。
勝敗のかかった試合で息子が動けなくなったことを、誰も責めず、当然のようにフォローしてくれました。ついつい心配して親が口を挟んでしまいそうになりますが、子どもたちの“人を思いやる力”を信じて見守ることも大切だと思いました。
息子は試合後に
「助けてもらえてよかった」と、安堵の表情をみせていました。
自分がピンチのときに助けてもらったという経験を、別の場面で誰かが困っているときに活かせるようになればいいな、と思っています。今後も、周囲と助け合いながら子どもたちが成長していくことを祈るばかりです。
(ファンファン福岡公式ライター / Shiho)