FFGの仕掛人が語る銀行の使命 未来は「マッチング」で加速する

今回はFFGビジネスコンサルティングの藤井さんに、ビジネスマッチングについて語って頂きました。

目次

まずは藤井さんの経歴についてお聞かせください。

出身は福岡です。高校を卒業後、京都の同志社大学に進学しました。 大学院まで進み、修了後は、あおぞら銀行(旧 日本債券信用銀行)に入行し、東京・大阪と約7年間勤めました。 転職のきっかけは2005年に起きた福岡県西方沖地震です。元々、将来は地元福岡の経済発展に貢献したいと考えていましたので、関西で地震のニュースを見た時に、福岡に戻る決心をしました。タイミングよく福岡銀行が中途採用をしていたので、チャレンジし、採用していただき福岡に戻ってくることができました。

出典:佐藤俊介

福岡銀行でのお仕事についてお聞かせください。

入行後は「本店営業部」に配属され1年程度勤務した後に、本部フロント部隊である「ソリューション営業部」に異動となりました。ここでは、それまで福岡銀行では前例の少なかった「シンジケート・ローン」などのアレンジメント業務を行なう専担チームの立ち上げを行ないました。その後、2007年の熊本ファミリー銀行(現 熊本銀行)との経営統合により熊本にて勤務し、様々な経験をしてきましたが、再び福岡に戻って以降、印象に残っている業務が、2011年東日本大震災後のシンジケート・ローンです。福岡の企業向けの融資として、九州の全地域金融機関にて1,000億円を超える資金を取りまとめるという、貴重な経験でした。その後も再生可能エネルギー・メガソーラー事業への融資スキームを立案するなど、ある意味、やり甲斐のある業務に携わらせていただきました。

出典:佐藤俊介

現在の「FFGビジネスコンサルティング」についてお聞かせください。

配属になったのが2014年です。ここでの最大のミッションは「ビジネスマッチング業務」の本格立ち上げでした。これはお客様の本業の課題に対して、別のお客様とマッチングする事でその課題を解決するという、銀行の顧客基盤を活かした取り組みです。今では、FFGグループの強固なネットワークをフル活用し、行員同士で情報共有できるようにクラウドを使い一部システム化しています。例えば、A支店の取引先であるメーカーが卸先を探しているとして、担当行員が「ビジネスマッチングシステム」を利用することで他の支店の顧客情報をリサーチすることができ、条件にあった卸先の紹介が出来るという仕組みです。

出典:佐藤俊介

ビジネスマッチング業務は立ち上げ当初から順調でしたか?

しばらくは“大変”でした。銀行は当然“金融業”であり、従来は、金融商品によってお客様のお金に関するサポートを行うというものがビジネスモデルのメインでした。それがビジネスマッチングでは、お金以外の本業のサポートを行うことであり、その必要性や価値が当時の行員には理解しづらいものでした。日々各営業店を周り、ビジネスマッチング業務を伴走支援することで重要性を地道に伝え続けていましたが、容易には伝わらず、相談が来ても週に数件で、それが約2年近くは続いたと記憶しています。

ビジネスマッチング業務が軌道に乗ったきっかけは?

これといった大きなきっかけは無いのですが、地道にコツコツと一つ一つの相談に応えていくことで変化していったように思います。経営者様に寄り添うことが大事で、経営者様の課題・悩みの解決のために我々が真摯に動くことで感謝され、次第にお互いの信頼関係が構築されていく。結果としてそれが銀行のためにもなるということを行員も理解してくれたのではないでしょうか。わかりやすい成功事例として、福岡県外にある面談すらできなかった企業でもビジネスマッチングを通じて新規取引開始につながったり、ビジネスマッチングで助けてくれたので貴行から借入れをしようと決めていただけるケースも増え、行内にその価値が少しずつ浸透していったように思います。立ち上げから3年を過ぎた頃から順回転しはじめ、徐々に相談数も増えてきました。当初は週に数件程度が、軌道に乗ってからは週に数十件の案件が来る様になり、1日外出してオフィスに戻ると、相談内容が書かれた伝言メモがデスクに大量に置かれており、対応に追われる「嬉しい悲鳴」をあげていた時期を思い出します(笑) それに伴いチームの人員も増えていき、今では8人にまで増えました。

出典:佐藤俊介

コロナ禍で相談内容に変化はありましたか?

新型コロナウイルスの影響によって、銀行に求められるものも変わってきました。外部環境の変化によって企業の経営課題が変わってきたからです。昔ながらのやり方でやっていてもこのままではいけないという危機感から、例えば、これまで対面だけでビジネスを行ってきた企業でも非対面への対応を考える企業が増え、ホームページを作りたいという相談やネット通販を始めたいなど、いわゆる簡単なデジタルに関する相談は増えてきています。その為、行内で行員自身のデジタルリテラシーを高めるために勉強会を行ったり、忙しい行員のために様々な「ハンドブック」をつくったりと、体制強化を実行しています。

出典:佐藤俊介

この度、ラシン株式会社と業務提携したのも、その一環ですか?

デジタル化は難しく考える必要はありません。お客様のデジタル化の入り口はホームページの作成からでもあり得ると思います。これまでもホームページ制作会社様とのお付き合いはあったのですが、ラシンが提供する「ばりよかホームページ」は制作費無料、月額9,800円(税抜)で、提供する機能を必要最低限の事項に絞ることで小規模から中堅規模の企業様にはオーバースペックにならない最適なサービスを提供されていると感じて提携を決めました。お客様にとってみたら、その入り口からステップを踏んで機能を増やしていけば良いのです。ばりよかホームページを通じてお客様と共にデジタル化の入り口に立ち、そこからお客様にあったデジタルとの付き合い方を一緒に考えていきたいと思っています。

出典:佐藤俊介

※左からFFGビジネスコンサルティング藤井、ラシン原、武

デジタル化の支援をどのように推進していくのでしょうか?

今までは販路・仕入先の紹介などが多かったのですが、新型コロナによってお客さまの経営課題も変化しました。リモートワークが普及し、バックオフィスの効率化、コスト削減、生産性の向上、人材関連など、「攻め」だけでない「守り」も大事だと意識する経営者様も増えてきたように思います。私どもとしてもお客様の多様化するニーズに対応し、より経営者様に寄り添い、経営課題の解決に繋がるお手伝いを強化していきますが、その一つがデジタル化への対応です。ホームページ作成をはじめ、様々なIT支援メニューを増やしていく必要があります。行員一人一人がよりお客様に寄り添えるように勉強をしていく事は重要ですが、ラシンの様なデジタルツールを提供している会社とタッグを組む事で、お客様の経営課題の解決に繋がるお手伝いを更に強めていきたいですね。

出典:佐藤俊介

今後のビジネスマッチングの展望をお聞かせください。

この春「経営大学院」(ビジネススクール)を修了し、MBAを取得しました。これからはその知見も活かしていきたいものです。 我々が目指す次のステップとしては、お客様から相談されたことに応えるのは最低限として、その一歩先にあるお客様が気がついていない「潜在的な経営課題やニーズ」に着目し、マーケティング・経営戦略の要素なども駆使し、課題解決へと導けられるような存在にならなければなりません。単純につなげるだけの1+1=2ではなく、一歩踏み込むことで3にも4にもなるマッチングでお客様の事業を創出していきます。 ふくおかフィナンシャルグループは、福岡銀行と熊本銀行、長崎の十八親和銀行と、九州を地盤とする3つの銀行を中心とした地域金融機関グループとして日本で最大規模を誇ります。その“強み”を遺憾なく発揮し、他行にはできない多くの選択肢を提供することでお客様へメリットを還元していくこと。また、よく“孤独”だといわれる経営者様に寄り添い、財務と本業の両方の支援をしていくこと。これこそが私共銀行の使命であり、FFGのブランドスローガン「あなたのいちばんに。」の実現にも繋がっていくと考えています。

出典:佐藤俊介

※左からラシン原、FFGビジネスコンサルティング藤井、ラシン武

企業情報

・株式会社FFGビジネスコンサルティング 所在地:福岡市中央区天神二丁目13番1号(福岡銀行本店ビル5階) 代表者:代表取締役社長 久積圭三 設立日:2008年8月1日 事業内容:ビジネスマッチング・商談会企画運営、法人会員組織(セミナー・研修)の企画・運営、「FFG調査月報」の編集・発行、IT化支援、各種コンサルティング、不動産ソリューション支援、人材紹介事業 など ・ラシン株式会社 所在地:福岡市中央区警固2丁目16番26号アークエムズワン6F 設立日:2015年8月 代表者:代表取締役 原直樹 事業内容: ・サブスク型ホームページ制作サービス「ばりよか」の運営 ・クラウドファンディングCAMPFIREにて福岡での戦略パートナー ・反響に特化した広告、オーディオアドの企画・制作

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡のベンチャー企業「ラシン株式会社」が運営しています。福岡の中小企業、個人事業主さんの紹介を行なっています。

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