記念日にプレゼントを準備する子どもに成長を感じ、胸が熱くなった経験のある方は多いでしょう。わが家の5歳児が父の日に準備していたのは「ええ~?!」と叫んでしまうプレゼント。今回は、ちゃっかり者の息子が父の日に贈った、俺得なプレゼントを紹介します。
父の日に向け、準備を始める息子
5歳の息子は「父の日、パパにプレゼントしたい!」と切り出します。
例年、自宅では何も行っていませんでしたが、幼稚園で母の日や父の日に親の似顔絵を描いていました。幼稚園でのレクリエーションを通じ、家でも何かしたくなったのでしょう。母の日には「肩たたき券」をもらっていました。
息子が自分から「何かしたい」という気持ちになったのは嬉しいこと。
「いいね! パパにも贈ったら喜ぶよ」と同意すると、
「パパのプレゼント何がいいと思う?」と聞かれます。
「なんでも喜ぶと思うけど、手作りのものがいいんじゃない?」
私がアドバイスすると、やる気いっぱいに頷いた息子は、道具箱からハサミや色鉛筆を出して工作を始めました。
まず厚紙を折り、折り目に沿ってハサミを入れます。次に色鉛筆を取り出し、何やら記入。私は息子が作るプレゼントに見当をつけていました。おそらく母の日と同じ「肩たたき券」でしょう。
しばらくすると、息子から声がかかります。
「ママ、これであってる?」息子は、覚えたての平仮名をよく間違えるため、正しい文字を書けているのか確認したいのです。私がもらった券も「かたたたたきけん」と「た」が1つ多かったことを思い出しました。
風変りなプレゼント
息子が作ったプレゼントを見るとそこには、「ぎゆうしていいよけん」とあります。
「ぎゆう?」私は書かれていた言葉を思わず読み上げました。
義勇? 戯遊? さまざまな言葉が浮かびますが、息子はそんな難しい言葉を知りません。「はて?」と首を傾げる私を見て、息子が唇を突き出しながら叫びます。
「ぎゅうしていいよ! だよ!」
「ぎゅう? パパが○〇くんをぎゅうって抱きしめていいってこと?」
「うん! そうだよ!」
たしかに親としては、子どもを抱きしめると癒されますが、それをプレゼントにする?
疑問に思った私は、息子に詳しく話を聞きました。
「パパがこれを使うと、オレの好きなだけぎゅうして遊べるんだよ!」
「○○くんの好きなだけ遊ぶの?」
「そう! オレがおしまいって言うまで!」
あたかも素晴らしい発明を紹介するかのように、息子は意気揚々と語ります。息子は2歳頃からパパとじゃれあって遊ぶのが大好き。特に、飛行機のように体を持ち上げられたり、くっついてゴロゴロと転がったりするパワフルな遊び方がお気に入りです。このプレゼントも「ぎゅう」したあとで体を使って遊ぶのが目的の様子。
息子のキラキラした目を見ると、俺得なプレゼントに対して何も言えません。私は
「そっか、パパ喜んでくれるといいね」と答えながら、内心苦笑しました。
「ぎゅうしていいよ券」の真意
思えばパパは4月から部署異動で仕事が忙しく、残業や休日出勤続きでした。息子が眠ってから帰宅することもしばしば。
もしかしたら、忙しいパパを息子なりに気遣いつつ「もっと遊びたい」という気持ちを表現したかったのかもしれません。そう思うと、健気なプレゼントにキュンとしました。
そうして迎えた父の日。息子はパパに10枚つづりの「ぎゅうしていいよ券」を贈ります。
私は事前にパパへ
「息子くんがパパと遊んでほしいみたいで、面白いものを準備してるよ」と耳打ちしていました。
パパはプレゼントを嬉しそうに受け取り、さっそく1枚使うことにしたようです。
息子に券を渡し、ぎゅうっと抱きしめます。もちろんそれだけでは終わらず、体をくすぐり、ゴロゴロ転がり、遊んでいました。
息子は
「キャーッ」と叫んだり大笑いしたり、とても楽しそう。
パパも久しぶりに思いきり遊び、息子の
「もう1回!」
「もっと!」攻撃には疲れ果てたようですが、親子の時間を持つことができて終始笑顔です。
息子の俺得プレゼントは、パパも息子も楽しくなれるハッピーな贈り物でした。来年はどんなプレゼントを考えてくれるのかなあと、成長がますます楽しみです。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)