福岡らしさの原点は歴史にアリ!福岡2500年分の歴史を1冊の絵本に

『福岡人が「福岡っていいところやろ?」と言ってしまう深い理由!?』で福岡人の福岡愛を仔細に語ってくれた、福岡テンジン大学の岩永学長が、「福岡は歴史が多すぎて観光地化されにくい」という課題から絵本を制作した経緯について語ってくれました。福岡愛の原点は歴史にアリ!ぜひご一読ください。

出典:フクリパ
目次

福岡の魅力を測るモノサシ!?

日本国内の多くの都市を評価するランキング。どんな指標のランキングかよりも、順位そのものに一喜一憂するくらい、そのランキングを見て福岡人は「やっぱりね」と安堵する。

出典:フクリパ

以前、『福岡人が「福岡っていいところやろ?」と言ってしまう深い理由!?』という記事を書いた。

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そして福岡好きであろう今この記事を読んでいるアナタも含めて、確実に言えることは「福岡人に福岡のことを評価させたら、バイアスがかかりすぎた結果になる」ということだ! ・住みよさランキング ・住みたい街ランキング ・市区町村魅力度ランキング ・幸福度ランキング など世の中には様々な指標で都市を評価しているランキングが存在する。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が2017年に、政令指定都市と東京都区部の21自治体の住民を対象に行った独自調査「市民のプライド・ランキング」の結果を紹介したい。 「現在お住まいの都市について、愛着や誇りを感じますか。」 「現在お住まいの都市について、友人・知人に勧められますか。」 という質問で、計13項目について各都市の順位が出されている。 ・愛着 ・誇り ・住むこと ・働くこと ・子育てすること ・アフターファイブを楽しむこと ・いろいろな人と交友を深めること ・趣味や教養を深めること ・デートすること ・多様性があること ・全体的に良いまちであること 驚いてはいけない、全13項目のうち上記11項目を、他都市に圧倒的な差を付けて、ぶっちぎりの1位を獲得してしまったのが“福岡市”だ。 この調査を企画し、項目を策定したのは日本トップクラスのシンクタンクであり、専門性高く優秀なはずの研究者だ。様々な項目ごとに都市が評価されていい、子育てに向いている都市もあれば、働くことに特化した都市があってもいい、そんな切り口で企画したに違いない。 しかしだ、そんな研究者たちはこう思ったに違いない。 「福岡人、どんだけ福岡のこと好きなんだよ」と。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

福岡の魅力の源泉こそ「歴史」にアリ!

都市をランキングするとき、その企画をする企業に寄ったテーマになる。移住や不動産になると住みよさや幸福度。観光になると魅力度や交通や物価。しかし、なかなか指標にされない項目があった、それは「歴史」だ。 国内において「歴史」と言えば圧倒的に“京都”や“奈良”が評価され、歴史的建築物が集積しており、観光地として認識される都市が挙げられる。 歴史でなぜ福岡? 太宰府では? と思うかもしれない。福岡にはいったいどんな歴史があると言うのか? 実は意外なほど知られていないのが福岡の歴史。知られていない理由の1つが、歴史的建築物や発掘品はあるが、京都や奈良よりさらに古い時代のものも多く、規模も小さいため観光スポット化できていないのだ。 ところが ✔博多区にある板付(いたづけ)遺跡は日本最古の稲作農耕跡が出土 ✔博多区の那珂八幡(なかはちまん)古墳は九州最古の前方後円墳と言われている ✔西区の吉武高木(よしたけたかぎ)遺跡からは日本最古の三種の神器(剣・鏡・勾玉)が出土 ✔西区の九州大学が移転する前の発掘調査で、日本最古の暦使用の刀が出土 ✔早良区有田では日本最古の絹が出土 ✔中央区の福岡城址内には日本で唯一の鴻臚館跡(こうろかんあと)が出土 そして極めつけは、東区志賀島から出土した、最も小さい国宝“金印”なのだ。

出典:福岡市博物館

福岡という土地は、稲作の始まった2500年前ごろから「新しいものを受け入れ、大陸と交易し、多くの人が生活していた都会」だったのである。

歴史的文脈から福岡を語れることを福岡人の NEXT NORMALに!

福岡市は2015年、「FUKUOKA NEXT」と掲げて、ここ福岡のあらゆる分野を次のステージへ行けるよう、様々な啓発活動を行っている。

出典:フクリパ

NEXTがあるということは、その前のBEFORE、ないし現在地があるはずだ。 このフクリパで何度も福岡の歴史を紐解く記事を書いてきたが、そもそも「福岡人の福岡愛が異常」であることは、今までもこれからもきっと変わらないと思っている。しかし、福岡人が福岡を評価するときに置き去りにされている、もしくは認知されていないことこそ「歴史」なのではないだろうか。 前述した日本最小の国宝“金印”が、ひとたび県をまたぎ他の博物館で展示されようものなら行列ができる。 2014年の東京国立博物館でも、2017年の京都国立博物館も行列ができた。さらに2020年9月、長野県立歴史館で予定されていた“金印”の展示では、行列が予測され「密を避けられそうにない」と、金印の展示が取りやめにもなっている。 にも関わらず! 福岡市博物館の常設展示室に入って一番最初、写真撮影すらOKなエリアに堂々と展示してある“金印”を、福岡人はその存在を忘れている節すらある。

出典:福岡市博物館
出典:フクリパ:福岡市博物館の常設展示室にある“金印”

福岡人に「福岡の魅力は?」と聞けば、出てくるのは 「食事がおいしい」 「自然と都会が近い」 「人が温かい」 「買い物がしやすい」 など、消費行動の話題ばかりである。 そう、生まれてからずっと福岡市民であるからこそ声を大にして言いたい。 「福岡が福岡らしくあるのは、2500年ほどこの土地が、新しいものを受け入れ、交流をしてきた文脈の延長にあるからだ。」と。

子どもたちに「福岡の歴史」を伝えたい!そして絵本が生まれた

2015年末、福岡テンジン大学の歴史サークルに参加していた1児のママが、こんなことを言い出した。 「娘に福岡の歴史を伝えたいんだけど、絵本とかありませんか?」 これまで福岡市総合計画基本計画審議会委員や、福岡市博物館協議会委員などの委員を拝命したが、「福岡のまとまった歴史を子どもたちに伝えるツール」の存在を見たことがなかったので、こう返事した。 「そんな絵本とかはないので、作った方がきっと早いですよ~」と。すると返ってきたのは・・・ 「作りましょうよ!」 そこから約1年半後、福岡の歴史絵本「のったよ!ふくおかタイムスリップ号」は完成した。

出典:フクリパ

福岡の2500年分の歴史を物語にした絵本とは?

2017年春に発刊となった福岡の歴史絵本「のったよ!ふくおかタイムスリップ号」だが、思いのほか難産だった。 そもそも福岡は歴史の宝庫ながら、子ども向けにまとまったツールがない最大の理由こそ「歴史が多すぎる」なのだ。福岡市役所には「市史編さん室」という部署があるが、2010年に発刊された「新修・福岡市史」は全19巻と、凄まじい情報量になっている。 絵本というハードカバーで、それなりの冊数を印刷すること、福岡市の文化財等の専門職の監修も必須であることもあり、「共働事業提案制度」という福岡市と市民団体(NPOやボランティア団体)が、人とお金とを出し合って事業を行う仕組みを活用することにした。 絵本の脚本を手掛けながら難しかったのは ・自分が生まれる前の時間の概念を子どもたちは理解できるのか? ・漢字もほとんど使えず、少ないページ数で福岡の歴史を網羅できるのか? ・なにより、膨大な歴史の中からどれに絞って紹介するのか? ・さらに、それら福岡の歴史ネタをどうやって物語にするのか?

出典:フクリパ:脚本を書いた当時の主人公の設定メモ(岩永筆)

そして出来上がった物語は~ 主人公は福岡市西区に住む小学校4年生の男の子。観光列車の“ななつ星”に乗るために博多駅へ向かう地下鉄で寝落ちする。 そこで登場するのが「明治時代に福岡に登場した路面電車」。この路面電車に人格を持たせ、時代を移動し、歴史ガイド役を担ってもらう。 夢から覚めたとき、主人公は「福岡がいつの時代も福岡のまちに人が来て、交流が盛んであったこと」をしっかりと認識できている、というエンディングだ。

出典:フクリパ
出典:フクリパ

この絵本、発刊から4年経つがいまだに問い合わせをもらうのだが、実は販売をしていない。福岡市と共働事業で制作したこともあり、以下の施設には置いてあり、借りることもできる。 ・福岡市内の図書館 ・福岡市博物館 ・福岡市科学館 ・福岡市内の全小学校(図書室におそらくある) ・福岡市内の約100公民館(置いてない公民館もあります) さて、ここまで読み進めたあなたは福岡のまちに「愛と誇り」を持っているはずだ。そんなあなたにこそ「のったよ!ふくおかタイムスリップ号」を手に取ってほしい。 そして、あなたとこれを読んだ子どもたちが、未来の福岡のまちを、より磨き続けてくれることに期待して、今日の筆を置くことにしよう。 文=岩永 真一

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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