元祖パンチパーマの理髪店に久留仁譲二が突撃

 先日、テレビ西日本の朝の番組「ももち浜ストア」で、新感覚のパンチパーマ「濡れパン」が若者に人気を博しているという話題が取り上げられてました。私が社会人になったばかりの35、6年前の日本で、建設業の方やタクシーの運転手さん、北島三郎さんのような芸能人、そしてプロ野球選手など幅広い層を魅了してやまなかったパンチパーマ。でも、先日仕事でお会いしたパンチ佐藤さんですら、今やパンチでなく普通の髪型になっていました。  その「絶滅危惧種」になりつつあると思われたパンチパーマが復活の兆しとは。西暦では1970年代、和歴では昭和40~50年代の文化をこよなく愛すこの久留仁譲二が、パンチパーマ発祥の地・小倉北区紺屋町の「ヘアサロン永沼」を訪れ、実情を聞いてきました。そこには、意外な事実がありました。

出典:譲二

↑この文言は、パンチパーマ発祥の理髪店「ヘアサロン永沼」の入口に掲げられています。  一瞬で心に残るインパクトのせいか、さまざまな人がこの写真を撮り、ブログ記事などに上げています。 「親近化」、パンチには、基本いかつくてコワモテの印象がありますが、親近化すれば、こわがらずにフレンドリーに話しかけやすくなるのでしょうか。具志堅用高さんのイメージですかね。  私の会社にも、昔は、パンチパーマのおじさん、何人かいました。初めて会ったときその髪型なので、生まれつきかと思いきや、昔の社員旅行か何かの写真を見ると、直毛の剛毛でした。そういう人ほど、髪を曲げることに憧れを抱くのかもしれません。

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少し引くと、↑こうなります。エッジアイロン、いい響きです。繊細かつシャープな職人技が目に浮かびます。  「チャンピオンプレス」、まさしく具志堅さんの世界です。

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 階段を登ると、けっこう広々とした店内。  スリムな体型、おしゃれないでたちの店主・久保政生さんは、なじみのお客さんを理髪中。奥さんの厚子さんは、奥のレジにいらっしゃいます。  名字、永沼さんじゃないんですねえ。聞けば、パンチパーマの産みの親、先代故・永沼重己さんの娘さんが、厚子さんだそうで、政生さんはお婿さんなのです。厚子さんのお母さんも今は亡く、ご夫婦でお店を切り盛りされてます。

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↑これが在りし日の永沼さんご夫妻の写真です。仲良くお店を営まれていた様子が伝わってきます。創意工夫の人である重己さんは、理髪の可能性を高めるため、常に何かを考えていたそうです。

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↑これぞ、先代が使っていた先を細く削ったアイロン(コテですかね?)です。

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 元々のアイロンは、↑こんなふうに先が太いのですが、重己さんは、より細かいカール(巻き)が出来るよう、自分で先を削って試してみました。それで、うまくいくことがわかると、業者さんに先細のアイロンを特注したそうです。そのアイロンを使って、一人のお客さんの髪を700回も巻くのです。細かくて念入りな作業です。やり過ぎて腱鞘炎にまでなったというから、すさまじい根気です。今なら、「情熱大陸」とか「プロフェッショナル」などの番組に出ていたかもしれません。

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 髪を切っていたお客さん、ヘアサロン永沼に通って48年だそうです。もちろん、先代を知る超常連さん。遠方に仕事で赴任していても、飛行機で帰ってきてここで髪を切る。ありがたいお得意さんで、その長い年月の中「よその散髪屋に行ったのは、2回だけ」だそうです。

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「顔がわからんならいいよ」と言われるので、写真を撮らせていただきました。お客さんと店主さんが、ハサミが髪を切るチョキチョキいう音で会話するかのような、昔ながらの心地良い時間が流れます。

 奥さんに、最近の「パンチ事情」を聞いてみました。  だいたい月に20人くらい、パンチパーマを注文する人があるとのこと。「そのうち半分は、昔からの人です」。なんと、パンチファンは他の髪型に目もくれず、今も昔ながらの「元祖パンチパーマ」を貫いているのです。ぶれない男たち、見習うべきです。  ももち浜ストアで紹介されていた「濡れパン」についても聞きました。昔と何が違うんでしょうか。  「こっちよりも、東京で多いみたい」と奥さん。要するに、髪の巻き方は今も昔もそれほど変わらないそうです。ジェルやグリースなどの整髪料で髪をしっとり濡れた感じに仕上げるのが今風ということのようです。有名人では、サッカー界のスーパースター、C・ロナウドがそうかなと思いましたが、彼は天然パーマなのかもしれません。  「でも、若い人いはサラサラヘアの方が受けるんじゃないですか」と厚子さん。う~む、好みの問題ではありますが、まあ、そうかもしれんですね。  パンチパーマ誕生には、黒人のアフロヘアーの影響もあったとのことです。たしかに、サミー・デイビス・Jr.とかアース・ウインド&ファイアーとかパンチっぽいです。あのマイケルだって、ジャクソン5時代は、パンチな髪型をしていました。

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 お願いして、パンチパーマのお客さんの写真を見せていただきました↑。これぞ、正統派のパンチパーマです。その昔永沼重己さんが、利用業界の講習でこの髪型を発表して以来、全国区に広がったわけですが、その間、各地を訪問して技術を指導、さらには、教えられる人を自分以外にも育て、手分けして普及するというフランシスコ・ザビエルもかくやと思われる献身的な活動があったのです。もちろん、初めて知りました。頭が下がる話です。

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競輪、魚町のアーケード街、焼うどん・・・、小倉発祥の日本初は数あれど、パンチパーマがファッション界にもたらした功績は今も輝きを失っていません。これを読まれた方、小倉のまちを訪ねたら是非、ヘアサロン永沼を訪れて下さい。古き良き「昭和」の息吹きが感じ取れるはずです。 【お店情報】(店名)ヘアサロン永沼       (住所)北九州市小倉北区紺屋町12-11       (電話)093(541)1416       (店休)月曜日、第3日曜日

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