会社は妊娠、出産する女性を雇いたくない? 妊娠を機に“無職”になった体験談

 比較的“バリキャリ”と呼ばれる道を進んできた私。ところが妊娠・出産後は、現在の仕事を継続できず、まさかの無職・育児休業取得対象外になることが決まりました。どうなっているのこの社会は? 雇用側の本音が垣間見れた瞬間、仕事を退職せざるを得なくなった私が今思うこと… 実体験をもとに語ります。

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“バリキャリ”道を進んできた私

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 私は大学卒業後、外資系のコンサルティング会社で6年間勤務 → 大学院進学 → 3年間の有期雇用 として興味のある仕事に就いています。現在の仕事をしながら結婚・妊娠とプライベートで大きな変化があり、今年8月に第一子を出産予定です。

 今の仕事は有期雇用です。育児休業を取得するため、そして産後は慣れた仕事で復帰したいと考えたため、契約延長を行う試験を受けることに決めました。試験に受かれば今年9月から2年間の契約延長となります。

 上司からも今後のキャリアプランについて聞かれ、
 「今の仕事を続けていきたい意思が強いため、契約延長の試験を受けたいです。8月に出産後、翌年4月から保育園に子どもを預けられるようになるので、4月に仕事復帰予定です」
 ということは何度もアピールしました。

 その時の上司は
 「契約延長の試験を受けてくれるとのこと、嬉しい」という前向きな反応でした。

試験がまさかの不合格! 会社側の本音とは…

 しかし契約延長試験の結果は… まさかの「不合格」。つまり9月以降、私は次の仕事を見つけない限り無職となり、計10年程社会で働いてきたにも関わらず、“育児休業手当の取得対象外”となることが確定したのです。

 結果発表の日。それまでは契約延長の前提で話していたせいか、上司は少し気まずそうに
 「あなたよりも経験豊富な人が今回応募され、その人を採用することに決めました。ただし、面接官の皆は、『まずは無事にお子さんを産み、いずれまた一緒に仕事をしたいからこの組織に戻ってきて欲しいね』、と話していたんです」と言いました。

 最悪のケースとして、不合格は想定していたものの、これまで同じ職場で、契約延長ができなった事例は聞いたことがありません。
 考えられる理由はただ1つ、「私は出産により、9月から3月まで働くことができないこと」ではないでしょうか。これは、「雇用側としては、妊娠・出産を控えた女性よりも、即戦力となる人が欲しい」ということを意味します。

 なんという不公平な社会! 悲しい現実! 私は、上司の最後の励ましの言葉を受け入れることができず、社会・会社・上司に裏切られた気持ちと怒りの気持ちでいっぱいに。
 そのため、不合格と知らされた日から産休に入る日まで、全く仕事をする気になれませんでした…。

仕事を辞めざるを得なかった私が、今思うこと

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 妊娠・出産により仕事を辞めざるを得なくなった事例は、ニュースでいくつか耳にしていました。でもどこか他人事だと思っていた私。いざ自分がその立場になると、「子どもを産むということは、社会のためにもなるのになぜ…」と心理的ダメージは大きいです。

 また、世の中に私と同じような経験をした方が複数いるということは、「子どもを望む女性を守る」企業体制になっていないのが現実です。人を雇用する、人が働くという点において、国及び社会は、価値観を見直す必要があるのではないでしょうか。

 世の中の女性が「子どもを授かったため、仕事を辞めざるを得なくなった」という事態を避けるため、「仕事を続けたい女性が、当たり前に仕事を継続できる」社会になって欲しいと切に願います。

(ファンファン福岡公式ライター / Jasmine lily)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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