「久原本家」8つの謎を解く!〜ファンファン調査隊 地元企業大解剖 第7弾〜

 今年創業130年を迎えた「久原(くばら)本家グループ」。だしのイメージが強い同社ですが、始まりはしょうゆ蔵でした。今回は「久原本家」誕生秘話をはじめ、各ブランドの特徴や人気商品を紹介。意外と知らない「久原本家」の謎に迫ります…!

目次

久原本家広報担当者を直撃!

久原本家 クリエイティブコミュニケーション室 広報編成課の野田ちさとさん

 福岡土産としてもなじみ深い「久原本家」。本記事では、これまでの歩みをはじめ、各ブランドの特徴、こだわり、“だし以外”のオススメ商品などを紹介。意外と知られていない「久原本家」の秘密を広報の野田ちさとさんに聞きました!

【ナゾ1】これまでの歩み(誕生秘話)を教えて!

創業時の集合写真

 1893年に久原村(現福岡県久山町)の初代村長・河邉東介が創業。村復興のため、東介は私財を投じて尽力するも資金が尽き、難儀している姿を見た村民たちが「しょうゆ蔵でも開業して立て直しなさい」と支援したことが、現在のしょうゆ醸造業の始まりです。

初代村長・河邉東介さん

 その後、戦時中に2代目・河邉鐡太郎が満州にしょうゆを輸出。3代目・河邉龍二が「納豆のたれ」「餃子のたれ」といった小袋商品を展開し、たれなどの調味技術を身につけました。以降「椒房庵(しょぼうあん)」をはじめ、「くばら」「茅乃舎(かやのや)」「北海道アイ」といった自社ブランドが誕生しました。

ロゴマーク

分銅を用いたロゴマーク

 「久原本家」ロゴマークに用いられている分銅とは、天秤を使ってしょうゆを計る際に使用する鉄の重りのこと。このロゴマークには、元々はしょうゆ蔵であることや地域の人とのつながり、感謝が表現されています。

【ナゾ2】どんなブランドがあるの?

茅乃舎

 久山町にある「御料理 茅乃舎」から始まったブランド。「茅乃舎だし」をはじめ、化学調味料・保存料無添加の調味料・食品を展開。料理人ならではの技術・知恵を家庭でも再現できるような、工夫を凝らした商品作りを心がけています。

 また、旬の素材の味を生かした季節限定商品も展開。1年を通して、その時に1番おいしいものが味わえるのも「茅乃舎」ブランドの特徴です。特に春限定で販売される「炊き込み御飯の素 八女のたけのこごはん」は、毎年大量買いする人もいるほど人気。その他、その土地でしか購入できない地域限定商品も。旅行の際はぜひ各地の店舗を覗いてみてくださいね♪

茅乃舎だし

椒房庵

 4代目・社主 河邉哲司の「自社ブランドを持ちたい」という思いから1990年に誕生。自社製造のたれを使った明太子(めんたいこ)を展開しています。

 ちなみに「椒房庵」ブランドの商品は基本的に福岡県限定品。商品の取り扱いは、福岡市内の「久原本家」「茅乃舎」店舗もしくは、久原本家通販サイトのみとなります。他県では販売されていないので、福岡土産にぴったりですね!

あごだしめんたいこ

くばら

 「あごだしつゆ」を中心に、あごだしのうまみを活かした商品を展開。ブランド誕生の先駆けとなった「キャベツのうまたれ」は、1999年当時スーパーで販売されていた焼き鳥からヒントを得て開発されました。各種商品の取り扱いは主にスーパー。日々の料理に寄り添った商品作りを心がけているブランドです。

北海道アイ

 「椒房庵」の立ち上げから、原料となる上質なスケトウダラの卵を求めて、北海道との付き合いは約30年になります。そんな北海道恩返しをしたいという思いから2019年に誕生したのが「北海道アイ」です。「北海道豚丼のたれ」「かにだし鍋つゆ」など、北海道産の食の魅力を伝える商品を展開しています。 

【ナゾ3】「茅乃舎だし」のこだわりは?

 「御料理 茅乃舎」の「十穀鍋」のだしが大好評となり、このだしの味を家庭でも再現できないかと2006年に商品化されたのが「茅乃舎だし」。骨も丸ごと粉砕した「焼きあご」、半月じっくり燻した「かつお節」、肉厚で甘みの強い「真昆布」などを配合。あごだし=九州地方のだしが口コミにより少しずつ全国に広まっていきました。国産かつ化学調味料・保存料無添加の素材を使用し、使う素材は全て生産者を直接訪ねて厳選しています。

透き通った琥珀(こはく)色のだし

【ナゾ4】「椒房庵」の明太子のこだわりは?

 「椒房庵」の明太子は、皮が薄く、一粒一粒弾けるような食感の北海道産スケトウダラの卵を使用。外国産の卵に比べ、卵そのものが持つ濃厚なうまみが特徴です。この濃厚なうまみを生かすため、卵そのものが持つうまみを楽しめる優しい味わいに仕上げています。明太子を漬け込むたれの技術は、しょうゆ醸造やたれの調味の技術を生かして開発されました。

【ナゾ5】「くばら」人気商品トップ5を教えて!

1位 あごだしつゆ 500ml(540円)

久原本家 クリエイティブコミュニケーション室 広報編成課 野田ちさとさん

 「くばら」の代名詞ともいえる、王道の「あごだしつゆ」が1位を獲得! そうめんやうどんにはもちろん、肉じゃが、だし巻き卵、唐揚げの下味に使用すると、よりうまみが詰まった味わいに。

2位 あごだし浅漬けの素 150g(50g×3袋)(216円)

 根強い人気を誇る「あごだし浅漬けの素」が2位に。きゅうりやにんじん、大根など余りがちな野菜が手軽に浅漬けになります。

3位 キャベツのうまたれ 280g(291円)

 定番人気の「キャベツのうまたれ」もランクイン。「おたこぷー」さん出演のCMが懐かしいですね♪ キャベツにはもちろん、サラダのドレッシング、餃子のたれなどにもオススメです。

4位 あごだし入り白だし 500ml(540円)

 煮びたし、卵焼き、雑炊の味付けにぴったり! 使い勝手のいい「あごだし入り白だし」が4位に。「あごだしつゆ」と「あごだし入り白だし」両方を常備しているという人も多いのでは。

5位 トマトサラダキット(2~3人前1回分(216円)

 ゆずの香り立つドレッシングと甘麹を使ったたれがたまらない「トマトサラダキット」。乾燥したオニオンフレーク、バジル、フライドオニオンがトッピングとして入っています。トマトさえあれば、洋食店で出てくるような一品が仕上がりますよ!

※2023年3~5月の累計商品出荷数

《番外編》夏季限定「日向夏のしぼり果汁 ゴーヤサラダキット」(216円)

 これからの季節にオススメなのが「日向夏のしぼり果汁 ゴーヤサラダキット」。生のゴーヤにかけるだけで、塩もみをしなくてもゴーヤの苦みが消える魔法のキットです。子どもにもオススメ!

【ナゾ6】広報 野田さんの「茅乃舎」オススメ商品は?

 しょうゆ醸造業からはじまった「久原本家」は醸造の技術がスゴイ! 麹(こうじ)に特化したブランド「茅乃舎 麹蔵」では、飲む麹や塩麹、醤油麹、みそなどを展開しています。その中でも同ブランドでしか作れないというのが「濃麹味噌 四十五割」。“四十五割”とは麹の割合を指します。

 市販されているみその麹の割り合いは7~10割程度が一般的ですが、同品の麹の割り合いは破格の45割。麹の割り合いが高ければ高いほど、発酵技術や管理が難しく、かなりの技術が必要になるそうです。
 麹の割り合いを限界まで高めた同品は甘みとコクが際立ち、自然なまろやかさに一度味わうと手放せなくなる一品です。

広報 野田さんオススメの「濃麹味噌 四十五割」

 「冷水でシャキッとさせた生のピーマンに、濃麹味噌 四十五割を使って炒めた甘辛いそぼろをかけると抜群においしい!」と広報 野田さん。みそ汁以外にも大活躍すること間違いなしです…!

※茅乃舎麹蔵 大丸福岡天神店(福岡市中央区)、茅乃舎 麹蔵 玉川髙島屋S・C店(東京都世田谷区)、久原本家通販サイトのみで取り扱い

【ナゾ7】月に一度しか買えない商品があるって本当?

 「茅乃舎」の店舗では、毎月15日を「あごの日」と称して、この日しか買えない限定商品を販売しています。内容は「あごごはん」と「あごのほぐしオイル漬け」の2品。いずれもあご(=トビウオ)の身を味わえるもので、 筋肉質でうまみの詰まった味わいにリピーターも多い人気商品。気になる人は、毎月15日をめがけて店舗を訪ねてみてください!

【ナゾ8】だしの可能性は無限大? 今後の展開について

 だしの汎用(はんよう)性を広げるべく、粉末をお湯で溶かすだけの“飲むだし”=「だしスープ」も販売しています。コーヒーブレークならぬ“だしブレーク”のように、だしそのものを楽しんでもらえるような存在にしていきたいです。他にも「だし炊きパスタ」「だし春雨」といった商品のように、いろいろなカテゴリーの食品とだしを融合させ、だしの可能性を広げていきます。

 また、食育にも力を入れ、ららぽーと福岡(福岡市博多区)にあるイベントスペース「くばラボ」「キッザニア」では、料理教室やオリジナルだしパック作りなどを実施しています。子どものうちからだしに触れることで、和食の奥深さ日本食の面白さを身近に感じられますよ。

久原本家 総本店

住所 福岡県糟屋郡久山町大字久原2527
時間 10:00~18:00(元日定休)
電話 092-976-3408

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

「ファンファン福岡/サブクリップ」(福岡都市圏内配布、福岡市地下鉄駅駅設置)紙面に掲載した話題、編集部員が突撃取材した話題などを紹介します!

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