九州交響楽団のチェロ奏者・鈴木淳さんが主催する「お暇なら聴いてよね・ライブ」が7月9日、イズタバイオリンサロン(福岡市中央区大名)で開催されました。鈴木さんとピアノ・阿部真弓さんが出演し、2回公演を実施。ファンファン福岡編集部員が体感したライブの様子を紹介します。
フォロワーの声に応え「チェロの生の音色に親しんで」(鈴木さん)
鈴木さんはコロナ禍で自粛期間中の3年前、自宅で童謡やクラシックの曲を演奏し録画。外出がままならない人たちに向けて“お暇なら聴いてください”との気持ちでほぼ毎日、SNS(ツイッター)に配信したといいます。配信は100回以上になりました。
さらに鈴木さんは演奏動画のほか、好物のトンカツをはじめとしたお昼ご飯の内容をアップしていたところ、フォロワーから「トンカツ師匠」と親しまれるようになったそうです。
フォロワーが増えていくにつれて「生の演奏が聞きたい」という声が上がるように。それを受け、「お暇なら聴いてよね・ライブ」を企画。東京をはじめ山口、熊本、福岡などからツイッターのフォロワーであるファンが駆けつけました。
東京から参加した女性は、年に3回ほど九響の定期演奏会に足を運んだり、日頃から鈴木さんとツイッターで交流したりする熱心なファン。鈴木さんの魅力について「頭がやわらかく、おおらかで、寛大。演奏はもちろん、お人柄も魅力です」と話します。
「ポッパー ハンガリー狂詩曲」の演奏技術に圧倒されました
「プログラムにはチェロの曲に限らず、童謡、唱歌も入れました。チェロの生の音色に親しんでいただきたいです」と鈴木さん。今回、30年以上の付き合いのあるピアノ・阿部さんとコンビで演奏。阿部さんは九州交響楽団のオーディション公式伴奏者のほか、大学の非常勤講師などとして九州を中心に活動しています。
鈴木さんは、演奏の合間にプログラム曲の時代背景などを交えながら分かりやすく解説。ファンの人たちから笑い声も上がる和やかな雰囲気でした。
参加した編集部員にとってチェロの演奏会は初体験。「チェロは音域が広い」ということを初めて知りました。
プログラムの中で特に印象的だったのが「ポッパー ハンガリー狂詩曲 op68」。「ダビット・ポッパーはチェロの名人でした。エチュードというすごく難しい練習曲をいろいろ書いた人です。そのポッパーが残した中で一番有名な曲ですね」と鈴木さん。
曲調が変わりながら、複雑な指遣いの連続。鈴木さんの技術に圧倒されました。チェロの音色が会場の壁や床や空気を振動させながら、体全体に浸透してくるような感覚でした。
東京から参加したファンの女性は「今日は(演奏中の)鈴木さんの息遣いまで感じることができ、よかったです」とほほえんでいました。
次回の「お暇なら聴いてよね・ライブ2」は“愛とロマンス”をテーマに2023年12月9日(土)イズタバイオリンサロンで開催予定です!
「お暇なら聴いてよね・ライブ」プログラム
1)エルガー 愛の挨拶 op12
2)バッハ 無伴奏チェロ組曲第一番より プレリュード BWV1007
3)ベートーヴェン メヌエット WoO.10.2
4)ベートーヴェン ソナチネ WoO.43a
5)シューマン トロイメライ op15-7
6)フォーレ 夢のあとに op7-1
7)アイルランド民謡 ロンドンデリーの歌
8)小山作之助 夏は来ぬ
9)中田喜直 夏の思い出
10)成田為三 浜辺の歌
11)ポッパー ハンガリー狂詩曲 op68
鈴木淳さん ツイッター/SUZUKI Atsushi @SuzukiVc
https://twitter.com/SuzukiVc