福岡の書店員さん、君の推薦する本が読みたい【第58回福岡キミスイ本】

 福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。58回目は積文館書店 天神地下街店(福岡市中央区)の塚本綾子さんを訪ねました。あわせて、この時期に読みたい話題の7冊を紹介します。

目次

作者は福岡在住の会社員! 5編からなるエンタメ小説

積文館書店 天神地下街店の塚本 綾子さんに聞きました

―こんにちは! 今回塚本さんが紹介されるのはどんな本でしょうか。
 福岡在住の作家・森バジルさんの「ノウイットオール あなただけが知っている」(2023年7月文藝春秋発行、1,760円、税込み)です。会社員として働きながら小説を書かれています。

 本書は1つの街を舞台にミステリー、青春、SF、恋愛などの全く違う5つの物語が詰まった短編集となっています。それぞれ内容は異なりますが、実はつながっていて、最後の「エピローグ」で感動的な結末を迎えます。読み進めるほどに引き込まれるエンタメ小説です。

「ノウイットオール あなただけが知っている」森バジル 著

―5つの物語のうち、特に印象的な章はありますか?
 どの章も面白いですが、個人的には第3章の「科学小説」にかなり引き込まれました。未来人と遭遇する女子高生の物語で、科学の進歩や未来について想像力が刺激されます。各章完結していて、この章の最後の主人公の選択にも考えされられました。

森バジルさん直筆のサイン色紙

―どんな人が購入する印象ですか?
 イラストタッチの表紙デザインもあってか、男女ともに20〜40代の比較的若い層が多い印象です。当初は数冊販売予定だったのですが、発売当日に売り切れたこともあり、現在は入荷数を増やして店頭入り口付近と店内の2カ所で販売しています。森バジルさん直筆の色紙も飾っているので、ぜひ立ち止まってみてくださいね。

―若い世代を中心に今注目を集めているのですね! オススメしたい人は?
 年齢性別に関係なく、少しでも興味を持った人にオススメしたいです。短編集なので普段本を読まない人でも読みやすいと思います。本当にエンターテインメントな内容なので、本の世界に飛び込みたいという人にはぜひ読んでみてほしい一冊です。

昨年改装された文具・雑貨エリア。現在は空をテーマにしたアイテムを展開

―積文館書店 天神地下街店がオープンしたのはいつですか?
 1976年9月にオープンし、今年で47年を迎えます。元々は書籍のみを販売していましたが、2022年4月に改装。現在は文具・雑貨も取り扱い、ビジネスマンだけでなく女性のお客様も多く来店するようになりました。

―主にどんな書籍を取り扱っていますか?
 雑誌、コミック新刊、文芸、文庫、ビジネス書をメインに約3万点を取り扱っています。駅近ということもあり、特にコミック新刊や文庫は購入する人が多いですね。逆に取り扱っていないのは、児童書、学習参考書、資格書です。

コミックは最新刊が充実!

―塚本さんの担当ジャンルは?
 文芸書に加え、文具、ポップアップスペース(店頭平台と外壁面)の担当をしています。ポップアップスペースでは季節に合わせた雑貨や食品、革物アイテムなどを展開。商品は約1カ月〜1カ月半を目安に入れ替えているので、書籍以外のアイテムにも注目してみてください!

―ありがとうございました! 続いて話題の7冊を紹介します。

「日本語の発音はどう変わってきたか」【中央公論新社】

釘貫亨 著/924円(税込み)

提供:中央公論新社

 問題「母とは二度会ったが父とは一度も会わないもの、なーんだ?」(答え:くちびる)。この室町時代のなぞなぞから、当時「ハハ」は「ファファ」のように発音されていたことがわかります。では、日本語の発音はどのように変化してきたのでしょう。1,300年におよぶ「音声の歴史」をひもときませんか。

「なぜ格差は広がり、どんどん貧しくなるのか?『資本論』について佐藤優先生に聞いてみた」【Gakken】

佐藤優 著/1,590円(税込み)

提供:Gakken

 格差社会や環境問題など、現代社会の問題に通ずるヒントが書かれているマルクスの「資本論」が今、注目を集めています。本書は、作家で元外務省主任分析官の佐藤優先生が「資本論」をイラストでわかりやすく解説した一冊。知識ゼロでもわかりやすく、現代社会を生き抜くための糸口をつかむことができます。

「もう天パで悩まない! あなたのクセ毛を 魅力に変える方法」【青春出版社】

Curly Girl Rin(カーリーガール リン)著/1,815円(税込み)

提供:青春出版社

 「天パって恥ずかしい」「くるくるになった髪は縮毛矯正しなきゃ…」そんなことはありません!  天パを活かすと、他の人にはできない最強にかわいい&かっこいいカールヘアがつくれるのです! 本書では、 今SNSでも話題の「天パを活かしたカールヘアの作り方」を紹介します!

「栗山ノート2」【光文社】

栗山英樹 著/1,650円(税込み)

提供:光文社

 「監督、分かっていますよね、世界一になりますよ、本気で狙いますよ」。大谷翔平選手が口に出さずともそう言われている気がしたという栗山英樹氏。野球「世界一」を奪還するまで、日本代表監督として日々考えたことや選手たちへの思いを書き留めた門外不出のノート。当事者にしか書けない裏側をまとめた話題作です。

「世界はなぜ地獄になるのか」【小学館】

橘 玲 著/1,078円(税込み)

提供:小学館

 人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。しかし、そうした社会の実現を目指す「社会正義」の運動はキャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していきます。私たちはこの「大衆の狂気」をどう生き延びるか。リベラル化が進む現代社会の光と闇を希代のベストセラー作家が炙り出します。

「生きづらさ時代」【双葉社】

菅野久美子 著/1,760円(税込み)

提供:双葉社

 数々の孤独死現場を取材してきた著者が直面した現場には、家族やパートナー、社会との関係に苦しんだ「生きづらさ」の痕跡がありました。現代人が抱えるつらさをさまざまな角度と視点から探る、著者初のエッセイ。毒親、引きこもり、婚活、女性用風俗、就職氷河期世代…複雑に絡む現代の「B面」から、私たちの生き方を考えます。

「半農半X的 これからの生き方キーワード AtoZ」【農文協】

塩見直紀 著/1,540円(税込み)

提供:農文協

 「半農半Xという生き方」を発信し続けてきた著者が提案する、地域で創造的に生きるためのキーワード26(1人1研究所、農×旅=農家民宿、FEC自給圏+αなど)。あなたも「A to Z」を使って、自己探求だけでなく、まちづくりや地方創生など、一人一人の多様なX(=生き方・働き方)を見つけてみませんか。

 いかがでしたか? お気に入りの一冊を見つけて、帰省やイベントで疲れた心を癒やしませんか。次回もお楽しみに。

著者情報

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