夫と結婚した翌年、夫のおばあちゃんが亡くなり、新盆を迎えました。私にとって新盆の手伝いは初めての経験。そのなか、義母は親戚に指摘される間違いをことごとく私のせいにしてきました。しかし、私の意図しない形で義母に仕返しできスカッとした体験談です。
勝手がわからない義実家の新盆
私の実家では親戚づきあいが希薄だったので、親戚の家に集まる習慣がなく、新盆で親戚の家に行くことも誰かが来ることもありませんでした。対して夫の地元は親戚同士の結びつきが強く、頻繁に親戚が集まります。新盆ともなれば、多くの親戚が集まり、朝から晩まで誰かしら家にいる状態でした。
当日は夫にも義両親にも手伝いをお願いされ、私は快諾。夫のおばあちゃんのことは私も大好きだったため、おばあちゃんのためになにかしたいと純粋に思っていました。しかし、初めての新盆は分からないことだらけ。右も左も分からないまま、義母の指示に従っていました。
義父と夫は、居間に座ってお客さん方の相手。私と義母はキッチンで料理を作ったり、料理を運んだり忙しく動き回っていました。義母は忙しそうに「これ作って!」「この料理先に運んで!」と指示し、2人だけでたくさんの準備をこなしていました。
義母の言う通りにしただけなのに…
私がキッチンで料理を作っていると、居間から戻ってきた義母。そして私を見るなり
「さっきのお供えのお団子、本当はこうやってくぼみをつくるんだって言われたわ。お嫁ちゃんが作ったものだから、代わりに『すみません』って謝っておいたから」と言われました。
義母の言葉に内心「は? お団子普通に丸く作って、って言ったのあなたじゃない! なんで私のせいみたいな言い方するの?!」と思いながら、
「気をつけます…?」と曖昧に返事をしました。そしてキッチンから去り際、
「あとね、お料理を出すペースがはやいから、気をつけて」と一言。
テーブルの料理の数を確認しながら、料理を出す指示を出したのも義母です。「なんで私に言うの…?」と呆れてしまいました。最初は私も、義母も忙しくて大変で余裕がなくなっているのだなと思い、多少のことは大きい心で目をつぶろうと考えました。
しかし義母はことごとくミスを連発。ミスするたびに居間からは
「うちの嫁が~」
「お嫁ちゃんに言ってあったんだけど」と言っているのが聞こえ、だんだんとうんざりしてきました。
重鎮を味方につけた私
しばらくして私が居間に料理を運びに行ったとき、親戚一同が一目置く、重鎮のおばあさんに声をかけられました。
「あんたが嫁かい」と言われ、私は初対面の重鎮に
「ご挨拶が遅くなりました。嫁の○○です」と丁寧に挨拶。
「亡くなった△△さんと面識は?」と聞かれ、
「何度かお話しさせてもらいました」と答えました。他の親戚の方が
「とても上品な方だったって、今お話ししてたところなの」と言うので
「あ、そうなんですか? 私はチャーミングな方という印象です。ちょっといじわるで、それがまたかわいらしくて」と一言。
私の言葉を受けて重鎮のおばあさんはいきなりどっと笑い、
「あははっ、わかってるじゃないか!」と膝をたたきました。
「そうなんだよ、あのばあさんいじわるでね。でも憎めないやつなんだ」と続け、
「でもだーれもそんなこと言わなくてさ、さみしかったよ。あのばあさんは、あんたには素を出せたのかね」としみじみとしていました。
すると私を気に入った重鎮は
「あんたは人を見る目があるんだね、ちょっと話そうや」とおばあちゃんの思い出話にふけりました。少ししてから
「私お手伝いに戻りますね」と言うと、重鎮は立ち上がり一緒に義母がいるキッチンへ。
何を言うのかと思っていると、義母に向かって
「この子はこっちの勝手を知らないんだ。あんたが責任持ってちゃんと教えてやりな」と釘をさしました。言われた義母は、一瞬ギクッとした表情をしましたが、すぐににっこりとして
「あぁ、ハイハイ! 大丈夫ですよぉ!」とごまかすように返事。
重鎮の言葉を受けてなのか、義母がミスを私のせいにすることがなくなりました。義母は忙しさから私にあたっていたと反省したのか、必要以上に優しくなり思わず苦笑。意図しない形でしたが、義母に仕返しができ内心スカッとしました。
(ファンファン福岡公式ライター/K)