先輩社員として良いところを見せるつもりが失敗! 侵入者警報を鳴らしてしまった


あれは、私がまだ入社2年目の春のこと。無事1年勤めあげて、私のところにも直属の後輩がやってきました。初めてできた後輩にドキドキしながらも、先輩らしく振舞おうと一生懸命な日々。その気持ちに、かわいい後輩も応えてくれていると思っていたのですが…。

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頼れる先輩になりたい!

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 入社2年目を迎え、私の部署にも後輩社員がやってきました。年齢が一番近い私が教育係として教えることに。仕事の飲み込みも早く、とてもしっかりとした後輩だったので、「先輩として恥ずかしいところは見せたくない!」と、気合を入れる毎日でした。

 彼女が入社して1カ月の頃。その時期は、わが社の業務は激務で、夜9時を過ぎるまで会社に残っていることも珍しくありません。いつもは何人か一緒に残業するのですが、その日は私と後輩だけ。私の方はある程度仕事にめどがついたのですが、さすがに新人一人を置いて先に帰るのは気が引けたので、雑務をこなしながら彼女を待っていました。

 「後輩の仕事が終わるまで待ってあげるなんて、先輩っぽいなぁ~」と、先輩らしい行いができて、少し得意げな気持ちになっていました。ようやく彼女も仕事を終え、帰宅です。最後に退社する人が全体の施錠を機械で確認して、警報機を設定しなくてはなりません。


 ここでも私は先輩風を吹かせようと、後輩を先に玄関に向かわせて、かっこよく警備システムを設定し、頼れる先輩として帰るはずだったのですが… 何を思ったのか、設定の仕方を間違えて、侵入者警報を鳴らしてしまったのです。

鳴りやまない警告音

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 部屋中に響きわたる警告音。止める方法も分からず、わたわたする私。先に行っていた後輩も、心配してわざわざ戻ってきてくれる始末です。しばらくすると警告音はやみ、警備会社から異常がないか電話で確認を受け、警報を解除してもらうことに。先輩らしいところを見せるはずが、逆にこんな失態をおかしてしまうなんて、恥ずかしいやら情けないやら…

 しかし気丈なふりをして
 「こっちはもう大丈夫だよ。上司に連絡してから帰るから、もう遅いし、先に帰っていて」と後輩に声をかけました。その言葉を聞いた後輩は
 「分かりました! お疲れ様です!」とさっさと帰っていってしまいました。

 「…いや、帰っていいとは言ったけど、この状況でふつう先に帰らないよね?!」と頭の中は大混乱。後輩のためにせっかく待っていてあげたのに…。最後の警報機の設定もやってあげたのに…。と、なんとも言えないモヤモヤした気持ちが私の中に押し寄せてきました。

 彼女に「待っていてほしい」と言われたわけでもなく、私が勝手に待っていただけ。先に帰ってもいいと言ったのも私。警報機の設定を間違えて、警報を鳴らしてしまったのは、そもそも私のミス。なので彼女が悪いわけではないのですが、なんだかモヤモヤ…。結局、その後上司に連絡をし、一人さびしく会社を後にすることになりました。

等身大の自分でいい

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 次の日出社すると、後輩から
 「昨日は先に帰ってしまってすみませんでした」と声をかけられました。急いで帰らなければいけない用があり、慌てていたのだとか。私を一人置いていってしまったことも心配してくれていたようです。

 後輩に先に帰られてしまったときは、怒りにも近いモヤモヤした気持ちでいっぱいだったのですが、冷静になって考えると、そもそも後輩にいいところを見せたいと、私が一人でから回っていただけ。後輩はぜんぜん悪くないんですよね。

 先輩としてかっこいいところを見せたいという気持ちもあったのですが、それは背伸びをして見せるものではなく、普段の私の姿から感じてもらえればいいこと。それからは、私のおっちょこちょいなところも、隠さずに自然体で接しようと思うようになりました。

 逆に、しっかりしているけど、案外気が回らないところがある後輩には、それを伝えるようにもしてみたところ、お互いにストレスなく、いい関係が築けるように。今では、先輩後輩の枠を超え、とても信頼できる友達になっています。

 なにごとも見栄をはったりせず、等身大の自分でいたほうがいいな、と改めて思えるエピソードでした。

(ファンファン福岡公式ライター/kotoko)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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