パン好きが遠方から訪れているちょっとレトロなパン店が福岡市博多区にあると聞いて「パン工房 げっか堂」を訪ねました。
博多区の美野島商店街近くにあるパン店「げっか堂」。手書きの値札、ガラスケースに並ぶパン、対面でのやりとり…懐かしい雰囲気が漂っています。 「げっか堂」店主・吉瀬健一さんの実家は、美野島商店街で約55年続く和菓子店「月花堂」。菓子作りを身近で見て育った吉瀬さんは30年前に「自分はこれからパンを焼こう!」と思い立ったといいます。
吉瀬さんはアイデアを思い付いたらすぐに試作品を作るとか。「面白いと思えば和、洋、中、組み合わせは何でもいいんです。うどんをソースと合わせたり、もやしを具にしてお好み焼き風にしたりしたこともありますよ」と笑います。 お客さんが飽きないように、月に3種類は新商品を生み出しているそうです。
ずらり並んだパンは約70種類。定番パンから珍しい創作パンまでそろっています。 薄い生地でたっぷりの粒あんを包んだ「あんパン」(税込み 160円)は、昔ながらの味わい。持ってみるとずっしり重い! ファンが多い人気の一品だそうです。
「みのしまうら通りシュー」(150円)は、まろやな甘さのカスタードがたっぷり。外側はパイ生地のシューです。サクサク、ふわっトロっの楽しい食感♪
おすすめの「パリパリ」(175円)は、パリッと手で割って食べるスナック風の創作パン。フランスパンの生地を一晩寝かせて焼き上げ、3種類の味があります。「ブラックペッパーベーコン」味は、ビールと相性抜群のくせになりそうなおいしさでした。 食パンで具を挟みオーブンで焼いた人気商品の「ホットサンド」(185円)は5種類。中身は「シャキシャキごぼう」「エッグカレー」「クロックムッシュ」「ツナトマト」「パストラミ」があります。 「カツカレー」(216円)は、豚カツが入ったカレーパンでボリュームがあり辛さは控えめ。「バゲット」(250円)は薄皮パリッ、中はしっとりのフランスパン。塩気がきいていて、ほどよい柔らかさです。 季節限定のパンは「アスパラとたけのこのピザ」(216円)が5月末まで。サクラの葉を白あんに練り込んだ「桜あんぱん」(165円)と、求肥(ぎゅうひ)が入った「さくら餅パイ」(165円)は4月末まで販売中です。
「食パン」(250円~)は5種類あり、その中の4種類は卵を使っていません。卵アレルギーの人も安心ですね。
午前7時半の開店後間もなく、次々に焼き上がるパンを求めて近所の人が買いに来くるのが日課。「一度来られたお客さんの顔は忘れません。そうでないと商売できないですよ」と吉瀬さんは話します。 顔なじみが多く、取材中も「子どもがここの調理パンが好きだから」という男性客や「体にいいから玄米食パンを買いに」というカップルなど、次々とお客さんが訪れていました。 足腰が弱く来店が難しい常連客のおばあさんを気遣って、注文の品を家に届けに行くこともあるそうです。
これからも町の人のお腹を満たすパンをずっと作り続けてほしい、長く続くパン店であってほしいと思います。なんだか温かい気持ちになって店を後にしました。 同店のパンの一部は前述の「月花堂」でも買うことができます。
パン工房 げっか堂
住所:福岡市博多区美野島1-22-17 電話:092-482-8518 営業:7:30~19:00 日曜休