福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。19回目は「TSUTAYA積文館書店 薬院店」(福岡市中央区)の杉山友佳子さんを訪ねました。外出を自粛している皆さん、こんな時は本を読んで過ごすのがよいですよね! ※2020年7月取材の情報です。
福岡ガッツリ系グルメを漫画に、しかもまさかの百合展開!
「すいとーと!」1巻 沖野ユイ
―西鉄薬院駅ビルの1階の店舗にやって来ました。こんにちは。きょう紹介してくださるのは、どんな福岡本でしょうか? 少年ジャンプ+(プラス)に連載されいてる、福岡グルメを題材にしたコミック「すいとーと!」の1巻(ジャンプコミックス・600円+税)です。2月に発行されたばかりです。 ―博多弁のマンガ、最近、人気ですね! そうなんです。ただこれは、グルメが中心話題というのがこれまでと違って新しいですね。東京出身の、ももちゃんという女子が福岡の大学に通い、福岡グルメを制覇していきます。福岡で営業している実際の飲食店が出てくるんですよ。
―なるほど。グルメガイド的な感じなんですね。 しかも、ガッツリ系グルメ。ももちゃんは、きれいでキラキラした女の子なんですが、食べ物の好みはこってりやニンニクなどです。「びっくり亭」をご存じですか? ―はい、お肉が鉄板にのってボリューム満点の… そのお店も出てきます。私、お店がある博多区の雑餉隈(ざっしょのくま)の住人だったので「ざっしょやん!」と思わず突っ込んでしまいました(笑)。
―確かに、絵のタッチからしたら意外なチョイスです。雑餉隈という場所も(笑)。 もう一つ意外なのが、この表紙にも2人描かれていますが、これ“百合”マンガなんですよ。左がももちゃん、右がゆずちゃん。 ―え? 女子同士の恋愛モノですか? ゆずちゃんは、ももちゃんの1年後輩で福岡出身者。二郎系ラーメンの店でももちゃんと偶然出会って、その後ももちゃんのことを好きになります。カップル以前のドキドキした関係性が展開されます。 ―福岡市内で二郎系といえば、大橋の「ラーメン大」ですかねえ。それにしても、ガッツリグルメと女子恋愛とは。意外なポイントが多いです。 面白いでしょう? 男子排除が徹底していて、メンズは一切出てきません(笑)。飲食店の背景にちらっと後姿が描かれているくらいなんですよ。
―中を見ると描かれてるメニューが、すごくおいしそうですね! それって重要ですよね。ももちゃんがロングの髪をゴムで結んでから「よし、食べるぞ!」というシーンなどは、読んでるほうもワクワクします。でも、おなかがすいているときに見ちゃダメですね(笑)。それと、お店や料理を実際に取材している感じがすごく伝わってきますし、ウィキペディア並みの情報量。おいしい“味変”の仕方まで教えてくれていますよ。
―ほんとだ、お店の案内も載ってますね。あ、大好きな「釜飯ビクトリア」もある! お店のチョイスやメニューが、いい感じですよね。スイーツもカフェも今のところ一切出てこず(笑)、絵柄とのギャップが楽しいです。福岡にいながら知らないお店もあって「行ってみたいな」と思わせられます。作者の沖野ユイさんは、福岡で描いてらっしゃると思うのですが、これからどんなお店が出てくるか楽しみです。 ―お店の場所も、これを読んだら分かりますね。 近くの駅も描かれていて「JRで行ったのね」とか。知ってる駅や地名が出ると、ついのめりこんでしまいます(笑)。