夏休みに小4と年長の息子2人を連れて、車で片道2時間弱の湖へ行くことにしました。夫が仕事で不在のため、私が1人で連れていくことに。気軽な日帰り旅行のはずでしたが、旅先でアクシデントが発生したのです。その時に手を差し伸べてくれた人物とは。
夏休みの日帰り旅行でアクシデント発生!
長い夏休み。たくさんの思い出をつくってあげようと、イベントやお祭りなど、息子2人をよく連れ出していました。
その日は「子ども船長になろう」という湖での遊覧船のイベントに参加。車で片道2時間弱の道のりでしたが、運転には慣れていたのでさほど心配はありませんでした。
湖では遊覧船の旅を楽しみました。船内でのスタンプラリーやクイズが楽しかったようで、満足そうな子どもたち。
ふと時計を見ると14時近くになっていたので、慌ててお昼を食べることに。近くにあった民家のような食事処に入ることにしました。
お店に入ってすぐに
「トイレに行きたい」と言った長男。お店のトイレを借りるように伝え、次男と席で待っていました。
しかし、なかなかトイレから戻ってこないので、様子を見に行くと、ちょうど長男が出てきました。
長男の顔は青白く、唇も紫色! 冷や汗もかいています。
「どうしたの?」と慌てて言った私に、元気のない声で
「急に気持ち悪くなっちゃった…」と長男。ふらふらとしていたので、支えながら席まで戻ることに。
声をかけてくれたのは…
14時を過ぎていたので、お客さんがほとんどいない店内。テーブルに長男を座らせて、水を飲ませることに。それでも冷や汗は止まらず、顔も青いままです。
隣では次男が
「お腹すいた」と言い出し、
「少し待って」と返すと、ふてくされてしまいました。機嫌が悪そうに座っていましたが、構っていられません。
お水をもう一度もらいに行こうにも、長男を置いていくわけにもいかず… 次男が取りに行けるわけもなく… 「どうしよう!」とパニックになる私。するとその時、
「どうしたの?」と声がしたのです。
振り返ると、70歳前後のおばあちゃんが。食事中だったようですが、私たちの様子に気付いて話しかけてくれたのです。
優しい対応で回復した長男
おばあちゃんは長男の様子を見ると、
「ちょっと待ってなさいね」と言ってお店の奥へ行きました。
すると、店員さんを連れて戻ってきたおばあちゃん。
「奥で寝かせられるところがあるからね」と優しく言ってくれたのです。
「こちらにどうぞ」と店員さんが案内してくれ、奥の畳の部屋へ。そこは食事をする席というより、居住スペースのような場所。おばあちゃんはお店の常連さんらしく、お店のこともよく分かっている様子でした。
「よかったら、下の子と一緒にご飯食べようか?」と言ってくれたおばあちゃん。
「ご注文いただければ、このお部屋に準備しますよ」と店員さんも言ってくれ、カレーを注文することにしました。
おばあちゃんが次男のそばで一緒にご飯を食べてくれていたので、長男につきっきりで様子を見ることができました。お水を飲んでしばらく寝ているうちに、長男の顔色も戻ってきました。
1時間ほど経ったでしょうか。
「もう大丈夫」と長男が起き上がり、元気そうな様子に。おばあちゃんは、ずっと食べ終わった次男の話し相手になってくれていました。
優しい一言に涙
「ありがとうございました」と私がお礼を言うと、
「1人で頑張って子どもたちを連れて来たんだねぇ。体も戻ってよかったねぇ」と笑顔で言ってくれたおばあちゃんに、思わず涙が出てしまいました。
次男も楽しかったようで
「またね!」とおばあちゃんに手を振ってお別れしました。
帰りの車では疲れて眠った次男と、元気になった長男の顔を見て、「連れてきてよかった」と思うことができました。
知らない土地で困っていた私に、さっと手を差し伸べてくれたおばあちゃん。温かい気持ちに触れ、結果的には思い出に残る素敵な旅になりました。
(ファンファン福岡公式ライターライター / ちこた)