超低出生体重児として産まれたわが家の双子。退院するまでの3カ月間、母乳を搾乳して病院に届け続けたのですが、それがもう大変で…。しかし、初めて授乳できた時には、思いもよらない気持ちになります。搾乳に苦労した体験談を聞いてください。
搾乳に四苦八苦
帝王切開で産まれた双子は、産まれると同時にNICUへ入院したため、すぐに搾乳して母乳を双子のもとへ届ける必要がありました。術後、体の節々が痛む中なんとか搾乳すると、母乳をNICUに運びます。
医師によると、
「3時間おきに搾乳することで、双子に母乳を届けることができるだけでなく、直接授乳できる日まで母乳量を維持できるかもしれない」とのことでした。
そこで私は、双子に直接授乳できる日を目指して毎日搾乳をがんばろう、と胸に誓ったのでした。
搾乳生活開始!
退院後、おなかの傷も癒えないうちに搾乳と通院を中心とした毎日が始まりました。
タイマーをセットしてきっちり3時間ごとに搾乳。その合間に買い物や家事を済ませ、母乳を持って病院へ1時間かけて通います。夜間も3時間おきに搾乳しなければならないため、タイマーが鳴るたびに起き、白目を剥きながら搾乳しました。
赤ちゃんの泣き声ではなく、機械的なアラーム音で夜中に何度も起きるのは本当につらかったです。
重なる疲労
双子は順調に大きくなっていき、持っていった母乳もすぐになくなりました。「双子が飲んでくれている」それだけを励みに、搾乳と通院をがんばる日々でした。
しかし段々と疲労が蓄積されていたのか、2カ月程たったある日、事件は起きました。
夜中に搾乳し、母乳を保存袋に移し替えようとしたところ… 手が滑って母乳を全部床にこぼしてしまったのです。 たった1回母乳をこぼした、ただそれだけなのに私はひどく落ち込み、自分を責めました。
また、夜中に起きられずに朝を迎えてしまった日もありました。たった1晩搾乳を忘れてしまっただけなのに、「母乳量が減ってしまったらどうしよう!」と私はパニック状態に陥り、涙が止まりませんでした。
あの頃の私は、常に情緒不安定。双子への思いとは裏腹に、消耗していく心と体に焦りと苛立ちを感じていたのです。
初めての授乳に感動
心身ともに参ってしまっていた私ですが、ある日病院へ行くと、看護師さんに
「今日は双子ちゃんの調子が良いので、直接授乳してみませんか?」と言われました。ついに直接授乳できる日がやってきたのです! 恐る恐る授乳しようと試みますが、なかなかうまくいきません。
母と子、“授乳素人同士”で試行錯誤した結果、なんとか少しだけ授乳することができました。
私は天にも昇るような気持ちになりました。「赤ちゃんにおっぱいをあげる」という、母乳育児を選択した人ならば当たり前にできると思っていたことが、こんなにも困難で、こんなにも尊いことだとは思ってもみませんでした。
搾乳に追われたつらい日々が、その努力が一瞬で報われたような気がしたのを覚えています。
今思えば、当時の私は神経質になりすぎていたのかもしれません。
ですが、もうすぐ5歳になる双子が元気でいるのは、当時の私の苦労があったからだとも思います。つらかったよね、よくがんばったね、とあの頃の私を抱きしめてあげたいです 。
(ファンファン福岡公式ライター / はやしグラタン)