5歳・7歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
小学生になると、ゲームをする子どもも増えます。わが家も長男が小学1年生のクリスマスにSwitchを購入し、次男とともにゲームを楽しんでいます。これからゲームの購入を検討中の家庭では「ゲーム時間はどれぐらいか」「どういったゲームルールを決めればよいのか」など、ゲームについて悩みを抱えていることもあるのではないでしょうか。
ゲームに関する決め事は各家庭により異なります。しかし、長時間のゲームは依存症や学力低下につながることもあるため、時間設定、ルール決めは慎重に行う必要があるといえます。
今回は、小学生の平均ゲーム時間やゲームが及ぼす影響、ゲームルールの決め方などの情報をまとめました。
気になる!小学生のゲーム時間
時間はもちろん、ゲームを毎日する家庭、週末だけする家庭など、頻度もそれぞれです。早速、小学生のゲーム時間について見ていきましょう。
1日1時間未満という家庭が多い
EPARKのアンケート「小学生の一日のゲーム時間の平均は?」によると、子どもの1日あたりのゲーム時間は1時間未満という家庭が最も多くなっています。30分未満、1時間~1時間半という家庭が続きましたが、1日2時間以上、4時間以上するという家庭もあるようです。
ゲーム時間は家庭により幅があるものの、平均は「30分から1時間程度」だといえるでしょう。
EPARK https://epark.jp/kosodate/enjoylife/k-kids-game-averagetime_69105/
平日は1日1~2時間程度が平均的
国立教育政策研究所の「令和4年度全国学力・学習状況調査の結果」によると、平日のゲーム時間で最も多い回答は1時間以上2時間未満で、全体の25.9%でした。平日はまったくしないという回答は7.6%、1時間より少ないのは16.5%となっており、平成29年度の調査から大幅に減少しています。
反対に、平日でも2時間、3時間、4時間以上ゲームをする割合は増加しており、全体の49.8%、半数近くが平日でも2時間以上ゲームをしている状況です。
国立教育政策研究所 https://www.nier.go.jp/22chousakekkahoukoku/22summary.pdf
休日は3~4時間ゲームをする家庭も
前述の国立教育政策研究所の調査では、休日のゲーム時間について記されていませんでしたが、ベネッセが2021年に実施したWebアンケートによると、休日のゲーム時間は2時間という回答が最も多い結果となっています。ゲーム時間は学年が上がるにつれ増加し、高学年は3時間以上ゲームをするという回答が40%でした。
ちなみにベネッセの調査によると、中高生のゲーム時間は小学生と比べて、平日・休日ともに長い傾向にあります。ただし、ゲームを全くしないという割合も小学生より増えており、年齢が上がるとゲームをするかしないかは極端に分かれることがわかるでしょう。
BENESSE https://benesse.jp/kosodate/202106/20210618-1.html
ゲーム時間は学習に影響も
「ゲームを長時間していても、その分勉強すれば問題ないだろう」「時間の長さよりもルールを守っているか、依存症のような症状が見られないかが重要」だと考える方もいるでしょうが、実はゲームの時間は学習にも影響を与えるため注意が必要です。
国立教育政策研究所の調査によると、小学生・中学生の教科別平均正答率は、1日あたりのゲーム時間が長いほど低い傾向にあります。
最も正答率が高いのは、ゲームを全くしないという層でしたが、1日あたりのゲーム時間が1時間未満の場合は2点以下と、正答率に大きな差はありません。しかし1時間未満と1~2時間の層を比べてみると、各教科の正答率の差は3~5点ほどとなり、全くしない層と4時間以上する層では、多くの教科で20点ほどの差が出ることが分かっています。
この結果から、学習面での不安や問題なく楽しめる最適なゲーム時間は、1日1時間未満だといえるでしょう。
小学生はゲームルールの設定も重要!決め方は?
中学生になると、ゲーム時間の管理や学習面でのサポートをするのがだんだん難しくなってきます。年齢が低く、ゲームを始めて日が浅い小学生のうちに家族と一緒にルールを決めたり、ゲームの影響について考えたりすれば、年齢が上がってもゲームと上手に向き合っていけます。時間を含めたゲームに関するルールは、どのように決めるのがよいのでしょうか。
ゲームを長時間することの危険性を理解させる
毎日長時間ゲームをすることで、最も家族が心配するのは「依存症」でしょう。ゲーム依存症になると、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼし、不登校や引きこもりになってしまうこともあります。そこで、まずは長時間のゲームが心身にどのような影響を及ぼすのかという危険について、子どもに理解させることが重要です。
ゲームの内容や課金システム、オンラインでの人間関係など、子どもには分からない不安要素もあるでしょう。「何を心配しているか」「ゲームはどういうものか」などを説明したうえで、ゲームを楽しむためにはルールが必要だという話をすれば、子どももルール決めを受け入れやすくなります。
子どもにゲームについて考えさせる
「これが危険だからこうします」と大人の意見を押しつけても、子どもは納得できない場合もあります。危険性が理解できたら、子ども自身にゲームについて考えさせる時間を作りましょう。100%ではなくても、「どういった危険があるからこうしたほうがよい」「ゲームはどういうものか」など、解釈や方向性を示す意見が出れば、お互いの理解のなかでルール決めもスムーズになります。
親子でルールを決める
危険性について話し、考えることができたら、具体的なルールを決めていきます。ルールは決定事項を伝えるのではなく、親子で話し合って決めることが大切です。一緒に決めれば子どもがどうしたいか、ゲームについてどう考えているかがより分かりますし、自分で決めた約束のほうが守りやすくなります。
ゲームルールは具体的にどうする?
小学生のゲーム時間を含め、ルールを決めることは楽しくゲームをしたり学力を維持したりするために大切です。では、ゲームについてのルールは具体的にどういった内容にすればよいのでしょうか。
ゲームルールに必ず入れたい内容
ルールは子どもと保護者が一緒に決めるのがベストです。ルールは数も内容もさまざまですが、必ず入れたい内容は大きく3つあります。1つは「時間」。週30時間以上は「ゲーム依存症」の傾向にあるといわれているので、それを超えないよう、日々のゲーム時間を設定しましょう。ゲームをするタイミングやゲームと学習時間の割合なども、時間に含まれます。
2つ目は「お金」です。スマホゲームやオンラインゲームなど、子どもが気軽に課金できる環境も増えているので、1ヵ月の課金額や新たなゲーム購入に使える額なども、予め決めておくとより安心だといえます。
そして3つ目は「オンライン通信」の使い方。最近はオンラインで離れた場所にいる人と文章や音声で会話をしながらゲームを楽しむことも増えています。しかし、「誰かと約束をしている」という状況は、ゲーム時間を守らない、夜遅くまでゲームをする原因にもなりかねません。
また、よく知らない相手に個人情報が知られてしまうというリスクもあります。オンライン通信の使い方について事前にルールを決めておけば、人間関係の大きなトラブル回避にもつながります。
ゲームルールの具体的な例
インターネット上で見られるゲームについてのルール、筆者の周囲の小学生ママが決めている具体的なルールには、次のようなものがあります。
・22時以降はゲームをしない
・宿題やお風呂などが全て終わってからする
・平日は宿題が終わってから夕飯まで、時間がある場合のみゲームをしてもいい
・オンライン通信や課金は許可を取った場合のみ利用できる
・勉強した時間と同じ時間だけゲームをしてもよい
・リビングなど、親の目が届く場所で遊ぶ
・お出かけのときにはゲームを持って行かない
わが家の場合、息子たちが交代でゲームをするため、平日は2人分の時間を確保できません。そのため、平日はゲームをしない、休日は1時間ずつ交代で、ゲームをしていないほうはYouTubeを見てもよいということにしています(夏休みは毎日1時間ずつやっていました)。
わが家のルール、そしてご紹介した具体的な例も、「どれが正解でどれが不正解」ということはないでしょう。年齢が上がればルールも変わってくるでしょうし、習い事や学習状況に応じてゲームに使える時間が増えたり減ったりもします。
大切なのは、年齢が低いあいだは保護者がゲームとの付き合い方をサポートしてあげて、年齢が上がった際に自身でコントロールしたり考えたりしてゲームを楽しめるようになることではないでしょうか。
ゲームルールを守るために保護者が実践したい工夫
いくら具体的なルール、よいルールを決めても、守らなければ意味がありません。「決めたら終わり」で子どもに丸投げするのではなく、小学生がルールを守ってゲームができるよう、保護者もできることを実践してサポートしましょう。
ペアレンタルコントロールやタイマーの活用
「ペアレンタルコントロール」とは、ゲーム機やスマホ、パソコンなどの利用を保護者が制限できるものです。ペアレンタルコントロールを活用すれば、時間や課金、プレイするゲームなどを管理できます。
また、ゲーム時間の管理にはタイマーも有効です。スマホのタイマーやキッチンタイマーなど、残り時間が分かって終了時に音で知らせてくれるものがあると、子どもも「あと何分できる」「タイマーが鳴ったからやめよう」と、自ら考えたり行動したりできるようになります。
年齢に応じたゲーム時間やゲームルールの設定
ゲーム時間やゲームについてのルールは、定期的な見直し・修正も必要です。ゲームに費やす時間は、子どもの年齢が上がってくるにつれて多くなる傾向にあります。もし「もっとゲームの時間を長くしたい」という声があれば、時間やその他のルールを子どもと話し合って改めて決め直しましょう。
もちろん、年齢が上がれば学習内容も難しくなり、習い事が増えればゲームに使える時間も短くなります。限られた時間のなかで、「やるべきこと」と「やりたいこと」をどうやりくりするのかを一緒に考えると、子どもも「やりたいこと」のために時間を有効活用できるようになるでしょう。
守れなかったときのペナルティを決めることも重要
約束は守るためのものですが、100%守り続けることはほぼ不可能です。もしルールが守れなかった場合に備え、ペナルティを決めることも、ゲームを気持ちよく使うためには欠かせません。ペナルティは「ゲームを捨てる」「一生ゲームをしない」など、恐らく実行できないものや漠然としたものではなく、具体的で本当に実行できる内容にします。
たとえば「成績が下がったらゲームの時間を短くする」「約束の時間を大幅に超えてもやめないことが続けば、○日間ゲームをしない」など、「どうなったらこうする」ということを、ルールと共に子どもと話し合って決めておきましょう。
子どもに「罰を与える」というのは気が進まないかもしれませんが、「約束を破っても平気」という環境では、ルールを守り続けるのが難しいこともあります。子どもの心身の健康のためにも、ペナルティを決める、もしものときは実行するというのは、保護者の重要な役割の1つです。
小学生のゲーム時間管理・ゲームルール決めはゲーム依存症防止にも!家庭でしっかり話し合おう
小学生の平均ゲーム時間は平日・休日ともに2時間程度と、増加傾向にあります。日々のゲーム時間に正解はないものの、毎日1時間以上ゲームをしていると学習面にも影響が及ぶというデータもあるため、「適度に楽しむ」ならば1日1時間未満がおすすめです。
ゲームルールは親子で話し合い、「時間」「お金」「オンライン通信」の大きく3つについて、子どもが納得がいく内容、守れる内容を設定しましょう。ルールとともに守れなかった場合のペナルティを決めること、ときには逆にイレギュラーな対応で、子どもの楽しい時間を少し延ばしてあげることも、日々ルールを守る、親子で信頼関係を築きゲームとうまく付き合うためには大切です。
小学生、特に低学年はまだ自分だけでゲームの時間を管理したり、コントロールしたりするのが難しい年齢です。保護者がサポートしながら、ゲームが「楽しいもの」「日常のモチベーションをアップするもの」になるような環境を作っていきましょう。
【参考】
家庭教師のファミリー https://www.nobiru.jp/column/study-tips/children-game-rule.php
サンキュ! https://39mag.benesse.ne.jp/lifestyle/content/?id=118804