小学生のゲーム依存症診断!症状や原因、家庭でできる予防法も解説

5歳・7歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

家庭でゲームを楽しむ小学生が増えるなか、子どものゲーム依存症が深刻な問題となっています。兆候やゲーム依存症になるとどうなるかといった情報は以前にもご紹介しましたが、具体的な診断項目があると、子どものゲーム依存度について、より具体的な状態が見えてくるのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、小学生のゲーム依存症診断です。簡単なセルフチェックで、子どもがゲームにどれくらい依存しているのかが見えてきますので、ぜひやってみてください。

目次

【合計何点?】小学生のゲーム依存症診断

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早速、小学生のゲーム依存症診断をしてみましょう。項目は全部で10個です。各項目の点数の合計が何点になるかで、ゲーム依存度の目安がわかります。

問1

ゲームをしていない時間に、頻繁にゲームのことを考えてそわそわしている。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問2

ゲーム時間が短い、ゲームができないと悲しがったりイライラしたりする。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問3

睡眠不足や学力低下、朝寝坊などの問題が起こっているのに、ゲームを優先することをやめない。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問4

ゲーム時間や頻度、プレイ内容について、家族に嘘をついたり隠したりすることがある。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問5

ゲームをすることでイライラや無力感、不安感などを紛らわせているように見える。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問6

家族や友人など、人間関係にゲームが悪影響を及ぼしていると感じる。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問7

過去12ヵ月のあいだに、ゲームの頻度や時間について「もっと長く」という要望があった。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問8

過去12ヵ月のあいだに、ゲーム時間を減らす提案や努力をしたがうまくいかなかった。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問9

過去12ヵ月のあいだに、友達との約束やそれまでの趣味よりもゲームを優先することが頻繁にあった。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

問10

過去12ヵ月のあいだに、生活習慣や学校での勉強にゲームが影響を及ぼしていると感じることがあった。

・かなりあてはまる(3点)
・あてはまる(2点)
・ややあてはまる(1点)
・全くあてはまらない(0点)

気になる診断結果は…

10個の質問の合計点数は何点になったでしょうか?診断結果は、以下の通りです。

・0~9点:ゲーム依存度【低】依存症の心配はほぼなし。ルールの範囲内でゲームが楽しめているのではないでしょうか。
・10~18点:ゲーム依存度【中】依存症になる可能性ややあり。ゲーム時間やルールの見直しをおすすめします。
・19~25点:ゲーム依存度【高】ゲーム依存症の可能性あり!より一層のめり込む前にゲームとの付き合い方を考えましょう。
26~30点:ゲーム依存度【最高】ゲーム依存症の可能性大!家族での話し合いや医療機関の受診など、早めに改善のための行動を。

点数が高ければ高いほどゲーム依存症の傾向が強く、低ければ依存症の心配はあまりないといえます。しかし、ゲーム時間や頻度が少なくても、ゲームをする時間に執着していれば、それは「依存している」といえるかもしれませんし、徐々に悪化する可能性もあるでしょう。

私事ですが、子どもたちがゲームを始めるようになってから2ヵ月ほどで、時間を守らないことが続き、「約束を守れなかったからしばらく没収」と告げたところ、長男が癇癪を起こしたことがありました。いろいろと話したら納得し、しばらくゲームから離れたところ、その後は時間を守って楽しめるようになりましたが、振り返ると短期間ながら、その時期の成績がいちばんよくなかったのも事実です。

「ゲームは週末だけ、1日2時間程度」というルールのなかでもそうした様子を目の当たりにしたので、続けば徐々に依存症になっていたのかなとも思います。「いまは大丈夫」であっても、日々のゲームとの付き合い方をよく見ながら、ちょっとした兆候を見逃さないことも重要です。

WHOが疾病にも認定している「ゲーム障がい」

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ゲーム時間やゲームに対する意思をコントロールできず、日常生活よりもゲームを優先してしまう、ゲーム依存症。WHOでは2019年5月から、ゲーム依存症を「ゲーム障がい」という国際疾病分類としており、世界でも深刻な症状として認知されています。

大人も子どももなってしまう可能性があるゲーム依存症ですが、長崎大学によると、同大学の調査の対象となった小学生のうち、7.3%にゲーム依存症の可能性があったそうです。ただ長時間ゲームに没頭するだけでなく、課金額が多い、インターネット依存の傾向がみられる、不登校・引きこもり気味、情緒や行動の問題があるなど、ゲーム依存症の子どもにはそのほかの特徴も見られます。

小学生のゲーム依存症に見られる兆候と原因

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小学生がゲームに依存してしまうのには、いくつかの原因があります。また、前述の診断とも重複しますが、ゲーム依存症になりかけている人には、さまざまな兆候が見られることもあるため、保護者が子どもの様子に注意を払う努力も必要です。

ゲーム依存症になる原因

ゲーム依存症の原因は、大きく「脳の機能低下」と「環境」の2つです。脳の機能低下は、アルコールやギャンブルなどの依存症と同じで、刺激により分泌されたドーパミンにより、理性を司る「前頭前野」の機能が低下することで起こります。

小学生の前頭前野は未発達であるためよりゲーム依存になりやすく、理性がきかなくなることで感情のコントロールもうまくできなくなり、怒りっぽくなったり衝動的な行動を取りやすくなったりします。

学校や家庭が楽しくない、居心地が悪いことから「居場所がない」と感じるなど、環境に不満を抱えていることが、ゲーム依存の引き金を引く場合も少なくありません。最近はオンラインで世界中の人とつながれるゲームも多く、ゲーム内に自分だけのコミュニティができると、よりゲームへの依存度が高まります。

現実世界に特に不満がなくても、ゲーム以外にやりたいことや好きなこと、得意なことが見つからないのも、ゲームに依存する原因の1つです。

こんな場合はゲーム依存症?兆候をチェック!

ゲームを始めてすぐに、深刻な依存症になることはありません。徐々に生活や言動に依存の兆候が見られるため、以下の項目でチェックしてみましょう。

・ゲームに使う時間やお金が大幅に増えた
・夜遅い時間までゲームをしている
・夜更かしをするせいで朝なかなか起きられない
・何をしていてもゲームのことを常に気にしている
・ゲーム以外のことに興味を示さない、積極的に取り組まない
・ゲームに関する注意をすると感情的になる
・ゲームに関すること(時間や内容など)を質問すると嘘をつく、隠そうとする

兆候が見られたら、ゲームの使用について早めに家族で話し合うことが大切です。ゲーム時間や使い方などを見直すきっかけになり、改善されれば問題ないでしょうが、話を聞かない、提案を受け入れない場合はゲーム依存の傾向が強まっているといえます。

ゲーム依存症が小学生に与える影響

「ゲーム中心の生活になる」という時点で、ゲーム依存症が深刻な問題であることは分かりますが、具体的にどういった悪影響が及ぶのでしょうか。大きく5つの影響について、解説します。

視力低下

長時間画面を見続ければ、視力低下につながります。特に、スマホゲームや携帯型ゲーム機のような小さな画面は、視力が低下しやすいため注意が必要です。また、眼精疲労から頭痛や首・肩の痛みが生じたり、ドライアイになりやすかったりと、目やその周辺に大きな負担がかかることもあります。

肺活量の減少

ゲームをしているあいだに、活発に動き回る人はほぼいないでしょう。座りっぱなしや、同じ姿勢を長時間続けることは、体や内臓にも負担を与えます。運動不足による肺活量減少、筋力低下、また悪い姿勢でいることによる骨のゆがみなど、さまざまな問題を引き起こします。

イライラ

ゲーム依存症が進むと、ゲームができないことにイライラ感が募りやすくなります。イライラすると周囲に攻撃的になりますし、物事に集中できなくなり、さらにイライラするという負のループにも陥ってしまうことも。ゲーム以外のことがうまくいかなくなると、よりゲームの世界にのめり込んでいく可能性も高まります。

学力低下

本来、ゲームは娯楽なので学校や仕事、習い事や人との交流の合間に楽しむものです。しかし、ゲーム中心、ゲーム最優先という思考になってしまうと、優先しなければいけないはずのことに取り組めなくなることもあります。

その結果、宿題をしない、学校で授業を聞かないなど、学習面にも影響が出てしまい、ゲーム依存症が学力低下につながるケースも少なくありません。

睡眠不足

時間は有限なので、何かを犠牲にしないと長時間ゲームができないため、睡眠時間を削って夜遅くまでゲームをする子どももいます。毎日夜遅くまでゲームをすることで睡眠時間が足りなくなると、朝起きられず遅刻する、授業中に寝てしまうなど、学校生活にも悪影響が及ぶ可能性があります。

ゲームの内容が脳に刺激を与えることで良質な睡眠が取れず、不眠や睡眠障害になってしまうこともあるようです。

小学生のゲーム依存症を予防するために家庭でできること

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小学生、特に低学年は、ゲームの時間などを子どもだけで管理するのは難しいでしょう。ゲーム依存症を未然に回避するには、家族の協力が欠かせません。最後に、ゲーム依存症予防のために、家庭でどんなことができるのかをご紹介します。

家族で過ごす時間を増やす

1人で過ごす時間が長ければ、暇つぶしや孤独感を消し去るためにゲームをする機会も増えます。家族で一緒に過ごす時間、会話の時間などを増やすことで、ゲームに費やす時間を軽減し、信頼関係を築けるでしょう。

最近は共働きの家庭も増加し、大人も忙しくなかなか時間を作るのが難しいかもしれませんが、学校生活や友達とのこと、習い事の話など、短くても日々会話をする時間を設けることをおすすめします。

ゲーム以外に熱中できることを見つける

ゲームしか好きなことや熱中できることがないと、空いている時間をゲームに使ってしまいます。ゲーム以外に好きなこと、一生懸命取り組めることを見つけるのも、ゲーム依存症予防に有効です。

スポーツや楽器といった習い事でもよいでしょうし、読書や物作りのようなゲーム以外の趣味も、ゲーム時間を減らす、ゲーム以外の時間を楽しく過ごすことにつながります。親子でできる趣味や習い事が見つかれば、一緒に楽しめるでしょう。

ゲーム依存症になるとどうなるかを説明する

ゲーム依存症になるとどうなるかを知って、それでも「ゲームを続けたい」「ゲーム依存症になっても構わない」と思う人は少ないでしょう。家庭にゲームを導入する前には、ゲームをしすぎることによるリスクを子どもに伝え、理解させることも大切です。子ども自身がゲームの危険性を把握していれば、やりすぎる心配も軽減します。

ゲームについてルールを決める

ゲームに関するルール、守れなかった場合のペナルティを決めておくことも、ゲーム依存症にならないために大切なことです。頻度や1日あたりの時間、課金額、ゲームをするタイミング、オンライン通信の使い方など、明確なルールを設定しましょう。

ルールは家族で話し合いながら、子どもが納得して守れる内容にします。また、ペナルティも実行できるものにして、「破っても大丈夫」とルールがあいまいにならないよう、約束を守れなかった場合にはしっかりと実行しましょう。

改善されない場合は医療機関などへの相談も

ゲーム依存の傾向が見られないうちから、ルールを決めたり危険性について話していれば大きな問題は起きにくいといえます。しかし、兆候が見られる、すでにゲーム依存の可能性が大きい状態では、家庭内でいくら努力をしても依存症状が改善されないこともあるでしょう。

このような場合は、ゲーム依存症についての相談やサポートを受けるのも1つの方法です。相談・サポートは各都道府県の「精神保健法福祉センター」や、自治体の児童家庭支援センターなどに相談したり、ゲームやネット依存を専門とした医療機関などで受けられます。専門的な治療や訓練が受けられることはもちろん、相談により保護者の精神的負担の軽減も期待できます。

小学生のゲーム依存症は深刻!診断を元に家庭でゲームについて話し合おう

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コロナ禍を境に、ゲーム時間の増加やゲーム依存症の人は増加しています。年齢を問わずゲーム依存症は避けるべきですが、特に小学生のゲーム依存症は、未発達な脳への影響、早い段階からの心身へのダメージが生活に影響するなど、さまざまな問題があるため早めに対処することをおすすめします。

ゲーム依存症診断はあくまでも目安ですが、10項目で当てはまることが多い場合は注意が必要です。家庭内で話し合いながら、改善に向けた行動を起こしていきましょう。

【参考】
MIRA-i https://mira-i.jp/addiction/check/
長崎大学 https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science284.html
すらら https://surala.jp/home/column/psychology/7113/
    https://surala.jp/home/column/psychology/6742/
    https://surala.jp/home/column/psychology/6645/

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

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