わが家の猫ポンタくんが、2週間家出をしたときの話

 あれは5年前のまだ寒さが残る3月のことでした。当時、わが家では2匹の猫を飼っていましたが、1匹が家出し、2週間後に帰ってきました。私はとても心配し「もう帰ってこないのでは?」と不安な思いで過ごしたのを鮮明に覚えています。この時のエピソードをお話しします。

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突然、家から脱走してしまったポンタくん

出典:のらくろ

家出したのは当時4歳のオス猫のポンタくん。もともとはお寺で生まれた育った猫で、1歳半のときにわが家に連れてきました。4歳といえば元気いっぱいの年頃、とはいえポンタくんはおとなしくてちょっと神経質な性格です。家出のきっかけは、きっと家の周りをうろつく猫を追っ払いたかったのだと思います。  ポンタくんが家出した日のことは、今でもよく覚えています。その日は晴れて暖かく、布団を干そうと窓を開けると、スタスタとポンタくんが窓から出て屋根に、そのまま屋根から塀を経由して地面に下りてしまいました。  私は慌てて外に飛び出しました。まだ家の周囲にいたのですぐに見つかりましたが、なかなか捕まえられません。家の中ではよく懐いて好きなだけ触らせてくれるのに、外ではまるで別の猫です。  それでもなんとか家の外壁と柵の間に追い込んで、やっと捕まえました。ところが玄関のドアを開けて家に入ろうとした瞬間にかみつかれて逃げられてしまったのです。あと少しだったのに「なぜ放してしまったのか」と、あの時は本当に後悔しました。  脱走してしばらくの間は、ポンタくんがどこにいるか把握できていましたが、警戒されて近づくとすぐ逃げられてしまいます。こうなるとどうにもならず、自分の意志で帰ってくるのを待つしかありませんでした。  それまでも何度か脱走し、真っ暗になってから帰ってきたことがあったので、夜になったらさすがに帰ってくるだろうと予想していました。ところが、その日は帰ってきませんでした。当日の夜までは周辺にいることが確認できたのに、翌日の朝には、こつぜんと姿を消していました。

不安な気持ちで帰りをただひたすら待つ日々

出典:のらくろ

それからは、ただひたすらポンタくんの帰りを待つ落ち着かない日々が続きました。心配で食事も喉を通りませんでした。もともと外で暮らしていた猫なので、迷子になったり、むやみに道路に飛び出したりすることはないと思っていましたが、いつ帰ってくるかはポンタくん次第です。  近所を探しましたが見つかりませんでした。警戒心が強いので、人目につく場所にいないようです。私以外の人に全く懐かない猫というのもあり、チラシの作成は見合わせました。  「もう会えないんじゃないか」と思えてとても落ち込みましたが、それでもポンタくんがいつ戻ってきても家に入れるようにと、夜中も玄関の戸を少し開けておき、私は布団に入ってからも熟睡せずにひたすら聞き耳を立てていました。もしポンタ君が帰ってきたら足音や鳴き声で分かるからです。もう1匹の猫のチャミちゃんを部屋に閉じ込める必要があったのが、少しかわいそうではありましたが。

出典:写真AC

2週間後に帰ってきた姿にホッとひと安心

出典:のらくろ

ポンタくんが脱走してから2週間後、その日も布団に入ってじっと聞き耳を立てていると、早朝に「ニャー」という鳴き声が聞こえました。家出した猫を待っていると、空耳がして帰ってきたと錯覚することがありますが、「今度こそポンタくんでは?」と部屋の戸を開けると、そこに本当にポンタくんがいたのです。  この瞬間の喜びと心からホッとした気持ちといったら!  驚いたのは、思ったほど痩せていなかったことです。ガリガリになっているのではないかと心配していたので安心しました。きっと外で暮らしていた経験が生きたのでしょう。  これは5年も前の出来事ですが、日付もしっかり覚えています。なぜなら大相撲春場所の初日に家出して、ちょうど千秋楽の早朝に帰ってきたからです。  あれから飼い猫の数が一気に増えたことと、ポンタくんも年を重ねて落ち着いて外の猫に興味を示さなくなりました。丸5年、ポンタくんは一歩も外に出ることなく平和に暮らしています。 (ファンファン福岡公式ライター/のらくろ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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