子ども同士のトラブルの中でも、厄介なものといえば「物が無くなった・盗られた」ではないでしょうか? 解決に至らないと、今後の関係性に大きく影響してしまうことも…。実はわが子にも、その騒動が降りかかってしまったのです。
「カードがない!」疑われた息子
小学校1年生の息子が、近所の公園へ行ったときのこと。しばらく公園で遊んだ息子が
「ただいま!」と帰ってきました。誰と遊んでいたか聞くと、同じクラスのY太君とそのママが公園にいたそうです。その話の最中にピンポンが鳴ったので出てみると、一緒に遊んでいたY太君とY太君のママが立っていました。
「何事?」と思いつつ、Y太君のママとはあまり面識がなかったのでご挨拶をした私。
するとY太君のママが、険しい表情で
「さっきお宅の息子さんとうちの子が公園で遊んでいて、私もその場にいたのですが…。うちの子のカードがなくなったんです」と言うのです。
カードとは今流行りのゲームのカードで、なかなか手に入らないレアカードがなくなったそう。Y太君は公園で息子にカードを見せていたらしく、息子が帰ってからカードがないことに気づいたようで
「息子さんに聞いてほしい」と言うのです。
Y太君のママは明らかに息子を疑っている雰囲気で、Y太君は今にも泣きそうでした。
息子のリュックまでチェックされ…
しかし、直感で私は「息子は盗ってない。何かの手違いだ」と確信。なぜなら息子は人一倍気が優しく友達想いで、人の物を盗むなんて考えられないからです。
私は念のため、息子を呼び
「間違って持って帰ってない?」と聞きました。すると息子は怒って
「僕がY太君のカードを!? 持って帰らないよ!」と言ったのです。
しかしY太君のママは納得がいかない様子で、
「公園に持ってきていたリュックを見せてほしい」と食い下がります。私も息子の潔白を証明したかったので、みんなの前でリュックをひっくり返してチェックしましたがカードは出てきません。
諦めきれないY太君のママが、息子のリュックを再度入念にチェックしますがカードは出て来ず…。するとY太君が、
「僕のカードどこに隠したの!?」と泣きだしたのです。
まるで息子が犯人のような空気になっていたその時。Y太君のママが、急に優しく息子に
「今なら許してあげるから、正直に話してみて?」と語りかけたのです。すると息子は、
「本当に知らない!」と悔し泣きをしてしまいました。
「絶対に見つける」執念の捜索で逆転勝利!
怒りが込み上げた私は、Y太君のママに
「公園は探しました?」と聞くと、
「ひと通り見ましたけど…」と曖昧な返事が。私はエプロンを脱ぎ捨て、公園に向かいました。
息子も泣きながら
「僕も行く!」と言い、結局4人で公園へ行くことに。道中では、地獄のような沈黙が続きます。
公園に着き、私と息子で捜索を開始。Y太君親子は、息子が隠し持っていると思い込んでいたのか探す気すらないようでした。それでも2人で必死に探していると、草むらで何かを発見。近づくと、カードが落ちているのです!
すぐY太君に確認すると、
「これだ!」と大喜び。Y太君いわく、息子にカードを見せたときに落としてしまったかもしれない…と。するとY太君のママが、能天気な笑顔で
「見つかりました? すみません、お騒がせしました~」と言って帰ろうとするのです。
あれだけ息子を疑っておいて… 怒りに震えた私はY太君のママを呼び止め、
「今回の件は息子もかなり傷つきましたし、今後はきちんとお子さんに確認してください」と言いました。
するとY太君のママは、バツが悪そうに
「… すみません。ほら、あんたも謝りなさい」と、Y太君にも謝罪させていました。
息子もその場では疑いが晴れてホッとした様子でしたが、この一件以来Y太君と遊ぶ機会は激減しました。その理由は、「また疑われるのがこわい」とのこと。
無罪は勝ち取ったものの、頭ごなしに犯人と決めつけられた息子の傷はなかなか癒えないですし、親としてもあの悔しさはいまだに忘れられません。
(ファンファン福岡公式ライター/餅キナコ)