食べ物の好き嫌いを克服させたい! 理由や解決策まで徹底解説

「子どもに食べ物の好き嫌いを克服させたい。」これはどんな親御さんにとっても叶えたい願いかと思います。とはいえ、強引に食べさせてもなお一層嫌いになっては本末転倒。そこで今回は、管理栄養士が子どもの嫌いな食べ物の克服の方法について解説します。

目次

好き嫌いを克服させたいと思うのは自然なこと

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親として子どもの成長のために好き嫌いをしてほしくないと願うのは自然なこと。しかしながら、そのような願いとは裏腹に、自分の嫌いな食べ物を残してしまう子が大半でしょう。この難題をなんとか乗り越えたいところです。

今回は、2人の娘をもつ管理栄養士が子どもが好き嫌いをしてしまう理由や解決策を徹底解説します。

好き嫌いをするようになってしまう理由とは?

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子どもが好き嫌いをするようになる理由には、単順に味や食感、見た目などが嫌いであることや社会的な影響などが挙げられます。

子どもの苦手な味

味覚の発達途中である子どもには、特に苦手になる味があります。それは苦味や酸味、辛味などの味です。たとえばコーヒーを例に挙げると、子どもにとってコーヒーは苦くてとても飲みづらい飲み物のひとつ。 

しかし大人にとってはこの苦味こそがおいしいと感じる方が多いです。この違いは、味蕾(みらい)とよばれる味覚のセンサーによってうまれます。味蕾は成長期の子どもに発達し、大人の3倍も味を感じることができるといわれています。そのため、苦味も大人よりも強く感じてしまうのです。

五味のシグナルを知る

また、味には大きく分けて5つあり、甘味・塩味・うま味・酸味・苦味があります。この5つのうち、甘味・塩味・うま味は子どもから大人まで好きな味です。 

しかし残りの2つである苦味や酸味は本能的に受け入れづらい味といわれています。苦味が毒、酸味が腐敗のシグナルとされているからです。そのため、苦味や酸味のある食べ物を嫌う子どもが多くなってしまうのです。また、辛味は刺激からくる痛覚のため苦手になってしまう傾向があります。

社会的な影響も関与している

子どもが好き嫌いをするようになる理由、もうひとつは社会的な影響が関係しています。子どもは、家族や周りの友達の影響をかなり受けやすいです。普段からの食生活や親の好みまで似てしまうので、親自身の食生活も気を付けなくてはいけません。 

さらに食事をする環境が、楽しくなかったり、ストレスを感じるような環境であると食べ物に対してネガティブな感情を持つことがあります。結果、その時の食べ物が嫌いになってしまったりすることがあるので気を付けましょう。

実践! 好き嫌いを克服する解決策14選!

では、好き嫌いを克服する方法はあるのでしょうか? ここからはおすすめの解決策14選を紹介していきます。

1.食事環境を見直す

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まずは子どもの食べ物の好き嫌いだけに焦点を当てるのではなく、ポジティブなアプローチを取るために、食事環境を見直しましょう。 

食事は楽しみながら栄養を摂るものであるべきです。楽しい雰囲気で食事をともにし、食べ物を楽しむ環境を提供することで、色んな食べ物を食べてくれるようになります。子どもが新しい食べ物を試すきっかけや嫌いな食べ物に挑戦する姿もみられるかも。

2.食べ物の楽しさを伝える

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食べることは楽しいものであることを伝えることがとても大切。食べ物の起源や歴史、異なる文化の料理について教え、食べ物に関する興味を育てましょう。食卓を楽しい場として捉えさせることが、好き嫌いを減らす一助になります。

3.好きな食べ物を工夫して提供する

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子どもが好きな食べ物を工夫して提供することで、新しい食材に慣れ親しむ機会を作ることができます。 

例えば、ハンバーグの中に嫌いな野菜を細かく刻んで入れてみたり、ピザのトッピングとして好きな食べ物と嫌いな食べ物を一緒に使用するなどしてみましょう。

4. 食べ物の見た目を工夫する

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子どもは食べ物の見た目にとても敏感。彩り豊かな盛り付けや、食材をかわいく切り抜いたりすることで、子どもの興味を引きます。 

食事を魅力的に見せる工夫をすることで、子どもが食べ物に興味を持つことができます。

5.親がお手本になる

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子どもは親の行動を真似ることが多いため、親は子どもにとって最も重要なお手本です。まずは親自身が健康的な食事習慣を持つこと。 

親が果物や野菜を積極的に食べ、バランスの取れた食事を摂る姿を見せることで、子どもが受け入れやすくなります。

6.「嫌いな食べ物でも食べなくてはいけない」というプレッシャーを控える

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「嫌いな食べ物でも食べなくてはいけない」というプレッシャーを子どもにかけることは、逆効果。無理に食べさせようとせず、子どものペースを尊重しましょう。そして食べられた時にはおもいっきり褒めることも大切。 

食べ物に対する成功体験をどんどんつくってあげることで自信に繋がります。食べられる食べ物の幅も広がっていきますよ。

7.辛抱強く見守る

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好き嫌いを克服するためには、かなりの時間を要する場合があります。辛抱強く子ども見守りながら、焦らずに取り組むことが大切です。嫌がる食べ物でも、継続的に提供することで受け入れられる可能性が高まります。

8. 食事の準備に子どもを参加させる

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子どもが食事の準備に自ら参加することで、食材や調理方法に興味を示すようになります。また、子どもが自分で作った料理は特別なものとして誇りに思い、食べる意欲も高まるのです。できることからお手伝いをさせて、食事づくりを楽しませましょう。

9.季節やイベントを利用する

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季節やお正月やハロウィン、クリスマスなどの特別なイベントを利用して、子どもに色んな食べ物を試す機会を増やしましょう。特別な日の料理は、苦手な食べ物であっても食べてくれる可能性が高まります。

10.食べ物の教育を取り入れる

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栄養の重要性や食品の成分について教え、食べ物が身体にどのような影響を与えるかを理解させましょう。食べ物について知識を得ることで、興味関心の意欲が高まります。 

また、家庭菜園を始めてみるのもおすすめです。食材の成長過程を見て楽しむことができます。自分で育てた野菜や果物は特別な存在として認識し、食べることを楽しむようになります。

11.一緒に買い物に行く

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子どもと一緒にスーパーマーケットや農産物市場に行き、食材を選ぶ楽しみを共有しましょう。食材を子どもが選ぶことによって、食べ物に対する関心が高まり、興味を持つきっかけになります。

12.子どものペースを尊重する

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子どものペースを尊重しましょう。好き嫌いを克服するプロセスは個人差があり、一朝一夕には改善されません。子どもが少しずつ食べ物に慣れていく過程を親が一緒にサポートし、ストレスをかけずに取り組みましょう。

13.家族のコミュニケーションを大事にする

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一緒に食事をする際にはリラックスした雰囲気を提供しましょう。テレビやスマートフォンを使わずに、食卓で会話を楽しんだり、家族とのコミュニケーションを大切にしましょう。ストレスや緊張がない環境で食べることは、嫌いな食べ物を減らすのに役立ちます。

14.これを食べなきゃダメ! という親の概念を捨てる

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子どもが特定の食べ物を嫌いで食べない場合、その食材を無理に食べさせるのではなく、代替えの健康的な選択肢を提供しましょう。 

例えば、牛乳が嫌いな場合は、ヨーグルトやチーズを摂ることでカルシウムを補うことができます。さらに乳製品でなくても、小魚などでもカルシウムは補うことができますよね。このように親が嫌いな食べ物に対しての固定概念を捨てることで親子の関係が良くなり、子ども自らが嫌いな食べ物に挑戦するということも。

嫌いになる理由を知り、コミュニケーションをとりながら克服しよう!

いかがでしたか? 食べ物の好き嫌いには、まず嫌いになる理由を知ることが大切です。やみくもに出しても余計に嫌いになってしまう可能性もあります。子どもの個性や好みに合わせて工夫し、楽しい食事体験を提供することで、好き嫌いを減少させ、色んな食べ物を食べる経験を通して一緒に健康的な食事習慣を築きましょう。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

2019年1月に設立したフードコーディネーターと管理栄養士が在籍する料理研究家の会社。レシピの企画・開発から撮影、スタイリング、栄養計算、商品開発を中心に事業を行う。ミッションは、「好きな人を想う手作り料理で幸せな食卓づくりを。」

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